『and i made sure to hold your head sideways』をプレイした

and i made sure to hold your head sideways by q_dork


無料のインディーゲームだいたいエントリだけ見てプレイせずじまいなことが多いんだけど、これはたまたまプレイに至って、しかもとてもよかった。ゲームっていうか、インタラクティブな仕掛けのある絵本というかマンガというか、ハイパーカードのスタックというか、そういう感じのやつ。

最初の画面に出ている通り、矢印を上下左右に押すと画面に表示されたモノクロのドット絵っぽいグラフィックがレイヤー単位でばらばらに動くようになっていて、とある方向に動かすとグラフィックの要素がある情景のイラストを形作り、また添えられた短い文章を読むことができる。そのあと矢印キーを話すと次のシーンに移動する(これがちょっとわかりづらい)。最後までこれだけ。

game-play

泥酔して意識を失った友人を介抱したある日の深夜のエピソードが語られているらしい(よくわかってない)けど、そのストーリーがわからなくても、過去のかすかな記憶をたぐり出す過程のような感覚がゲームのプレイに凝縮されていてとても魅力的。音楽もよいのでヘッドフォンで聴きながらプレイするといいと思う。


『Gone Home』をプレイした

Gone Home: A Story Exploration Video Game
GONE HOME | このゲームでしか味わえない独自のストーリー表現 - PLAYISMブログ


去年の年末に期間限定の無料ダウンロードして置いてたのを日本語化してプレイ。ゲームというよりも環境ストーリーテリングを重視した作品と聞いていたんだけど、舞台立て(誰もいない不気味な屋敷)や、ポイント&クリックで手がかりを探すメカニクス、ストーリーの展開がわかりやすくフィールドの展開にリンクしているところなど、『幸福な消失』に比べるともうちょっとゲーム寄りだなという感じだった。どちらかというとそこで語られる苦みのあるストーリーの「ゲームっぽくなさ」を指して「ゲームっぽくない」と言われているのかな。

『幸福な消失』もそうだったけど、自分のゲームプレイにモノローグが被さるという演出にはやっぱり不思議な充実感があって、いまだに新鮮さを感じる。この感覚没入感のあるFPS(TPS)視点だから生まれるのか、2Dゲームでも可能なのかが気になる。

あと今回ノートPC+キーボードでのプレイだったからけっこう3D酔いした。テレビにコントローラでのプレイではとくに気になったことはないけど、画面との距離の問題かな。


『セガ3D復刻アーカイブスMANIAX』を読んだ

セガ3D復刻アーカイブスMANIAX
ニンテンドードリーム編集部 GAMEgene編集部
徳間書店
売り上げランキング: 12,314

セガ3D復刻シリーズ発売時のGameWatch掲載インタビューを再編集した単行本。こういう本出るといいなーと思ってたけど実際出てみると本自体も厚いうえにほとんどのページが極小文字の3段組。こんな本久しぶりに見た。

ほとんどのインタビューは初出時に読んでるけど改めて読んだらすごい時間かかった。今読み直すとこのシリーズにスタッフが捧げている(なかばあきれるほどの)情熱から連想するのは『この世界の片隅に』の片渕監督の情熱と同じもので、そう考えるとセガ3D復刻シリーズもある時代のある場所(ゲーム)そのものを疑似体験させるタイムマシンのようなものが目指されているんだなーと思う。セガ3D復刻シリーズは「ある時代のある場所(ゲーム)」をより純化させるために歴史改変(元のゲームのヴィジョンに忠実な3D化や、当時の技術の蓋然性に沿ったリメイク)を行っていることになるのも興味深い。

しかしこの本を傍らに買ってちょっと遊んで放置してた3D復刻アーカイブス1,2をちゃんとプレイしようと思ったんだけど見つからない…


U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS『七曜日』MV


error403さんが監督したので話題のMV。ミュージックビデオとしての完成度、アニメーションの気持ちよさもいいけど、いわゆる8bit(に限らないけど)ゲームのトーンの織り込み方、ひねり方が素晴らしかった。冒頭のグリッチしたドット列(これ初見の時点ではなんだかわからないんだけどMVを最後まで見るとわかる)に始まり、4色(2階調グレー+2色カラー)に全編統一されたローレゾグラフィック(ゲームボーイカラー!)がBGに埋め込まれた小窓(スーパーゲームボーイ!)! パックマニア! ジャンケンマン! コンティニューカウントダウン! コイン連投! 太鼓の達人! それらがわかるでしょ的な飛び道具としてではなくイメージの連鎖として複雑なリズムに合わせてクールにタイムラインに配置されており、ぐうの音も出ない。

Youtubeは動画停止時「.」「,」キーでフレーム単位のコマ送りができるのを最近知ったので全フレーム堪能した。


中川大地『現代ゲーム全史』を読んだ

現代ゲーム全史  文明の遊戯史観から
中川大地
早川書房
売り上げランキング: 47,867

年末から読んでたんだけど読み終わらず、ようやく読み終えた。日/米のビデオゲーム産業史にとどまらず、つねに「時代の最先端」であったビデオゲームを通してその時代精神の移り変わりを浮かび上がらせ、さらには情報技術の展望からひらける人類の遊戯史の次の局面までをも夢想するところまでを語りきった大著。これだけの本を書くのにどれだけの研鑽が必要なんだろうか。著者の中川さんとは過去少しだけお話したことがあり(この本のあとがきで触れられているゲーム批評本の企画で声をかけてもらっていた)、その個人的な感慨からも拍手を送りながら読んだ。

大著なだけに少々力みが感じられるというか、それこそ超大作JRPG的な遊びのなさと胃もたれ感があったかな。この本でいちばん「これは!」と思ったところは松村正太郎が日本に持ち込んだ原子力・TV・プロ野球が、コンピュータ・テレビゲーム・野球盤(エポック社)に通じている! というアクロバティックな論だったので、いっそのことこういう自在なゲーム論を入れてもっとさらにボリュームを増した『現代ゲーム全史II』とかを期待したい!


『BATTLE GAREGGA 20TH MEMORIAL BOOK BLUE SCAPE』を読んだ

プレミアムエディション | バトルガレッガ Rev.2016 / M2 Shot Triggers


M2の『バトルガレッガ Reb.2016』は買うつもりではいたんだけど、ガレッガというゲームにそれほど思い入れがあるわけではないので通常版でいいかなと思っていたところ、ミカドのイベント「ガレッガナイト」で大塚ギチさんがプレミアムエディションに収録されるブックレットについて「雑誌編集者として本気で作る」と宣言されていて、それはちょっと見てみたいなと思ってプレミアムを予約していた。

内容はたしかに90年代のゲーム(とくにアーケードゲーム)雑誌を思わせる内容になっていておもしろかった。「ムック本にはこの判型が必要」とムリヤリプレミアムエディションの箱を大きくさせたとのことだけど、「ゲームのプレイ画面の管面撮影写真」の持つテンションというのは確かにあって、これが見せたかったんだなというのを随所に差し込まれたゲーム画面の大判グラビアに感じた。並木さんのサウンド周りのインタビューも、アーケードゲームのサウンドドライバについてこんなに詳細に触れられた記事はあまり読んだことがなくて興味深い。他の会社のゲームで使っていたサウンドドライバをもってきて使ったりしてたんだな。当時は大らかだから気にされなかった的なことなんだろうか。


『INSIDE』をクリアした


PS4版を待って買った『INSIDE』をクリア。ボリューム的にちょうどよかったし、内容も評判通り素晴らしかった。ゲームをプレイした印象が湿度とか温度のような繊細な感覚として記憶に残るものは初めてな気がする。あとあの首を絞められるときの苦しさね。

中盤の展開(というか、ゲームのキーになるメカニクス)で、ああこれオチもそういう感じ(プレイヤーとプレイヤーキャラクターの関係を宙吊りにするメタフィクション)なのかな、とちょっと読めた感じがあったんだけど、そうではなく、ゲーム史上でも類例のない感じのプレイヤーキャラクターを操作することになるラストだった。


『風ノ旅ビト』をクリアした

風ノ旅ビト | プレイステーション® オフィシャルサイト


ずいぶん前に買ってたんだけど、ちょびちょび進めててようやく最後までプレイできた。序盤の砂漠よりも後半の雪原と吹雪が印象に残っている(たんに前半忘れただけかも)。

しかしこれ、やっぱり『風ノ旅ビト』というより『Journey』というのがタイトルとしてふさわしいなと最後までプレイして(そして最初に戻って)思った。「旅人」ではなく「旅」のゲームなんだよなと。


『TIME LOCKER』

TIME LOCKER - Shooter Game

ちょっと前に話題になっていたF2Pのスマートフォン向けシューティングゲーム『TIME LOCKER』のAndroid版が公開されたのでプレイしてみた。ゲームのトーンや演出にコンシューマゲームよりWebスペシャルコンテンツ全盛期のFlashぽさが随所に感じられて、開発者のotsukaさんはソーシャルゲーム系の会社からドロップアウトされたとインタビューで読んだけど、もともとはFlash畑(もしくは、Flashコンテンツの表現に魅了されていた)方なのかな。今だと逆に新鮮な感じ。

画面構成や展開は縦スクロールシューティングにかなり近いんだけど、画面スワイプによるプレイヤーキャラクターの操作に合わせて敵キャラクターも動くという特殊なシステムが特徴のゲーム。ちょっとローグライクっぽくなってるのかなというのが予想だったんだけど、敵や地形、ドロップアイテムのランダム性はあるものの、手を止めて次の展開を予測しながら動きを決めるようなプレイにはなりにくく、結局は力押しの一手というゲームのような気がする(まだ高次面に進んでないので先は変わってくるのかもしれない)。おそらくローグライクにしようという意識はあるはずでシューティングが始まる前のロビー部分の作りにはそういう方向性を感じるし、「自分が動くと時間が進む」というコンセプトの元になっていると思われる『SUPER HOT』にもローグライクの詰将棋的なプレイ感覚があるんじゃないかと思うんだけど(未プレイなので想像)、ローグライク的なスルメゲーというよりは短いプレイ時間で爽快感を得られる方向にチューニングされたのかな。

実際にプレイしてみて思ったのは、プレイヤーがスワイプしている間だけゲームプレイが進行するというこのゲームのシステムは、ゲームのルールというよりも、「自分のテンポでプレイできる」という自己帰属感に奉仕するものなんだろうということ。サウンド面の演出もそうなっている。それはそれであるというか、スマホゲームはボリュームを調整するみたいに、ゲームスピードを無段階調整できてもいいものなのかもしれない。

あと思い出したのは『キングスナイト』で、「シューティングRPG」というコンセプトをローグライクに寄せたメカニクスでリメイクしたようなゲームもありそうだなと思った。


イェスパー・ユール『ハーフリアル ―虚実のあいだのビデオゲーム』を読んだ

ハーフリアル ―虚実のあいだのビデオゲーム
イェスパー・ユール
ニューゲームズオーダー (2016-09-30)
売り上げランキング: 73,497

half-real - New Games Order, LLC.
(発行元ニューゲームズオーダーのサイトでpdf版も販売中)


素晴らしく面白く、興奮したまま読み終えた。僕はこういう本を長らく待ち望んでいたんだと思う。

half-real』(原著は小文字つづりなんですな)は、デンマーク出身のゲーム研究者イェスパー・ユールの博士論文をもとに2005年に刊行された書籍で、すでにゲーム研究の古典とされる論考。原著から10年を経て刊行された待望の邦訳版がこの『ハーフリアル ―虚実のあいだのビデオゲーム』で、これでようやく僕のような英語の原著を読み下せない人間もこの古典の内容に触れることができるようになったわけだけど、確かにこの本は「ゲームとは何か」「ゲームがコンピュータと出会ってなにが起きたのか」そして「ビデオゲームとはどういうものなのか」といった問いに、10年やそこらでは古びない議論や指摘を与えてくれる。例示されるゲームは『チューチューロケット!』とかでなるほどと思ったりするが、もちろんそういうことは本質とは関係なく、つべこべ言わずに読むべきという本。

訳者の松永さんも巻末で解説している通り、『ハーフリアル』の主張のひとつは先行する「ゲームの定義」に対する議論を整理し、6項目からなる包括的で説得力のある定義を提出しているところだ。この定義はこの本において「古典的ゲームモデル」だとされる。古典的というのはそれより新しいモデルがあるという意味ではない。本書のもうひとつの主張は、いま一般にゲームと呼ばれるものの大部分を指すところのビデオゲームは、この「古典的ゲームモデル」の全部ないし一部が、虚構世界の「実装」として利用され、ゲームモデルと虚構世界とが互いをうながしあうように経験される、新しいかたちの表現形式として発達したものとして考えるべきだというものだ。

僕が興奮したのは、ビデオゲームとは「ゲーム(古典的ゲームモデル)」に虚構世界が付加されただけのものなのではなく、虚構世界の出来事や行為の「現実的な側面」の実装としてゲームモデルが利用されているものなのであり、しかもそれはプレイヤーにとっては逆向きに経験される、つまりプレイヤーは虚構世界の舞台設定やキャラクターの意匠を通じて、そこに埋め込まれたルールを理解するのだという指摘だった。いわばプレイヤーが虚構世界の中にゲームを発見するという構造こそがビデオゲームの本質なのだ。これはこの本の議論からは飛躍した僕の妄想なのかもしれないけど、そのように考えると、僕が昔からビデオゲームのなかに見出そうとしていた感覚を説明できるように思えた。

ほかにもインターフェイスやインタラクションの分野に接続できそうなしびれるような指摘がたくさんあり、ゲーム研究の学術書という狭いカテゴリにどどまらず広く読まれるべき本だと思う。ぜひみんな読んでほしい。もっかいリンクを貼っておきます。


ハーフリアル ―虚実のあいだのビデオゲーム
イェスパー・ユール
ニューゲームズオーダー (2016-09-30)
売り上げランキング: 73,497

half-real - New Games Order, LLC.
(発行元ニューゲームズオーダーのサイトでpdf版も販売中)