『Doki Doki Literature Club!』をプレイした

Doki Doki Literature Club!


実家に帰省した手持ち無沙汰な夜中に、話題の『Doki Doki Literature Club!』をプレイした。こたつにもぐり込んでGPDWinでプレイするヴィジュアルノベルは、むかしZaurusにKanonをインストールしてプレイした記憶につながるものがあった。

仕掛けは素直に驚いたしコンピュータとゲーム(物語)の関係に興味を持つ者としてそこにあるロマンティシズムにたいへん共感したけど、でもやっぱこの作品は「ヴィジュアルノベルというジャンルにおいて日本の諸作品が切り開いた可能性を多くの観客に知らしめるためのデモ」として成功しているというものなんだろうなーと思った。


『佐藤大×さやわか×東浩紀「サイバーパンク放談 \#2 ーー『ブレードランナー2049』は傑作なのか、あともろもろ」』を観た

サイバーパンク放談 #2 – ゲンロンカフェ


前回に引き続き観た。サイバーパンクリバイバル系の作品以外でもスターウォーズエピソード8(そういえば観損ねたままだ)やコインチェック騒動など技術とフィクションと倫理のあり方に関する熱い話題が多くておもしろかった。

『デス・ストランディング』についての話題のなかで、SF(サイバーパンク)のテーマ性が「社会批評性」と「従来の観念を超えるヴィジョン(いわゆる『神感』)」に大別されるとして、近年社会批評性が注目されがちだけど『デス・ストランディング』はあきらかに神感を打ち出してきているので期待したいという話が東さんから出ていて、ゲンロン6を読んだときに高木刑『ガルシア・デ・マローネスによって救済された大地』を読みながら『デス・ストランディング』を思い出してたのとつながって我が意を得たり感があった。


立命館大学アート・リサーチセンター『ゲーム展TEN』で『リアル・タイム・マシーン展』が紹介されてます

「ゲーム展TEN」開催中 ~ 立命館大学ゲーム研究センター: Ritsumeikan Center for Game Studies(RCGS)


立命館大学アート・リサーチセンターで、「(おもに国内の)デジタルゲームを扱った企画展」そのものの歴史や系譜、展望を扱った企画展『ゲーム展TEN』が開催されていて(1/29から公開されていて2/14まで)、僕の2005年の個展『リアル・タイム・マシーン展』も紹介してもらっている。去年の秋に井上明人さんに声をかけていただき、ゲーム研究センターの研究者の方々に取材してもらっていて(文化庁のメディア芸術に関するアーカイビングの一環だそう)、そのときに「できれば『ゲームの企画展についての企画展』をやりたいんですよね」という話をきいてそれは見てみたいですねーという話をしていたところ、実現かなったようでまずはめでたい。

扱われている企画展については、おそらく個別のゲームや作家にフォーカスした展示は避け、デジタルゲームというカテゴリ自体を扱う展示に絞るというような基準で選ばれているものだと思うんだけど、『東京藝術大学ゲーム学科(仮)展』があるなら、奥田栄希さんの『悲しいゲーム展』とか、METEORの『わたしのファミカセ展』とかはあってもよかったのでは…というか僕のだけ浮いてるのでは…と思った。「デジタルゲームをめぐる保存や利活用」という観点でいうと『パックマン展』は取材したほうがよかっただろうし(展示してないだけで取材はしてるのかもしれないですが)、ただ範囲を広げるときりがないというのもよくわかるので難しい。ちょっと展示期間中に立命館に行って展示が見られるかわからないけど、『ゲーム展TEN』のキュレーションの意図が現地で伝わるものになってるといいな。


せっかくいい機会なので、個展関係の記事をこのブログにインポートしておいた(Work in progressはいま公開するのはかなり恥ずかしいな…ミュージックバトンとか書いてあるよ)。

当時に近いかたちとしては、いちおう http://realtimemachine.sakura.ne.jp/collisions/works/exhibition に残っている。というかこのさくらのレンサバ自体がこの展示のため(『PONG-ED』でボールの位置情報を中継するソケットサーバスクリプトを置いてた)に借りたとこだった。

あとはこの個展の作品の原型である実験映像『プロジェクト:ビデオ同期』シリーズ。当時シェアハウスしてた友人らとしていた「オリジナル基板と移植版に同じコントローラつないでゲームすれば移植度がわかるのでは?」というバカ話を実際にやってみたら、移植度うんぬんというより純粋に体験として面白かった、というのがこの一連の活動の原点かな。

当時のmixiの日記とかを振り返っていて思い出したけど、女子美の助手が終わるころガビンさんから「個展とかやらないの〜(やれ)」という背中押しを何度もされていて(ガビンさんに誘われて仕事をやめて短任期の非常勤助手をはじめて、その後のことも決まってなかったので)、でも作品制作そのものもやったことないのでぼんやりしたまま任期も終わり30歳にもなってしまったところ、ギャラリー企画展に次の作家を探していたクキモトさん(当時藝大先端にいた)にガビンさんが僕をつないでくれて、結果なにか制作せざるをおえなくなった、という経緯だった。まあでもやっぱり追い詰められてでも個展としてやっておいたおかげで今回のように13年を経て紹介してもらえるような機会もあったわけでよかったなと。


ゲー夢エリア51『ギャラクシアン創世記 ‐澤野和則 伝‐』を読んだ

(同人誌)ギャラクシアン創世記 ‐澤野和則 伝‐ [ゲーム探偵団(ゲームミュージック館)]


遠山茂樹作品集3部作につづく、ギャラクシアン、ポールポジションの企画者澤野和則さんのインタビュー同人誌。僕は恥ずかしながら澤野さんがナムコのビデオゲーム最初期作品を多く企画していたことを認識していなかったので、それら作品がエレメカ時代に培われた映像技術とミニマムな娯楽の要素の融合というコンセプトでそれこそリッジレーサーあたりまで一貫していると語られていたのが新鮮でおもしろかった。澤野さんが語るような短時間でプレイヤーを最大限楽しませることを至上とする直球ストレートの企画(『ポールポジション』の企画書に「(コンセプト通りの作品になれば)コースは直線であっても十分ゲームとして成立する」と名言されていたのが印象的だった)、80sデザインを見事にキャッチアップしていた当時のナムコデザイン課の仕事の両輪が80年代ナムコを支えていたんだな。


赤野工作『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』を読んだ

ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム 赤野 工作:書籍 | KADOKAWA [~ https://www.kadokawa.co.jp/product/321702001852/]


カクヨムのサイトに載っているのでどうしても読むことができなくて(カクヨムに限らず横書きスクロール形式の小説読書にどうにも適応できない)、本を買って読んだ。全身をサイバネティクス化して生き延びている22世紀の老ゲームマニアが、21世紀後期のマニアックな低評価ビデオゲームを、90年代〜2000年代初頭の個人サイトでひっそりと更新されていたゲームレビューサイトさながらのゲーマー一人語りとして綴っていく、という体のSF小説。ゲームマニアの内輪受けっぽいネタがゲームマニアの内輪受けっぽい文体で書かれているんだったらやだなーと思いつつ読み始めたんだけど、各回で取り上げられるゲームのアイデアがたいへん気が利いていてとても楽しめた。とはいえ長かったなー。Web小説ベースだとこうなってしまうということかな。

タイ語はなんとかなった

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V.A.『Diggin In The Carts - A Collection Of Pioneering Japanese Video Game Music』

出るの忘れててちと遅れて購入。hallyさんのライナーついてるならCDで買おうとタワーレコードで探したところ、ゲームミュージックコーナーにはなくてちょっと残念だった(クラブ・テクノコーナーにあった)。

リリース情報で曲目を見た段階で変わったセレクションだなーと思っていて、実際聞いてみても最初は結構「?」という感じだったんだけど、しばらく聴いていたらなんとなく聴きどころがわかってきた。おそらく「メロディ、リズム主体でなく短いシーケンスの繰り返しからなる」かつ「音源チップのサウンドの特徴(魅力)が出ている」トラックが選ばれた結果、有名な、あるいはポップで勢いのあるステージ1とかの曲はなく、あまり有名でないゲームのそれもステージ5とか中盤ステージのトリップ感のある曲ばかりが集められたゲームミュージックコンピレーションになったというのがこのCDなんだと思う。激シブすぎる。

でも「短いシーケンスの繰り返しからなる」「音源チップのサウンドの特徴(魅力)が出ている」という観点で聞き込むとたしかになかなかいい(収録時間の問題なのかループが少ないのが残念)。『源平討魔伝 BIGモード』とかは有名な名曲だけどグルーヴィーな曲に聞こえて新鮮だし、『ワルキューレの伝説』のエレキマン王の曲なんかはなぜかPCエンジン版のアレンジで収録されてるんだけど、このCDの並びだとアブストラクトなチップチューンに聞こえる。3曲収録されているゴブリンサウンド(知らなかったけどメサイヤのサウンドチームの名前なのかな)の曲もいい。あとはまさに「ディギン・イン・ザ・カーツ」で発掘された、リードトラック『THE 麻雀・闘牌伝(スティーヴ・ライヒばりのミニマルミュージック)』をはじめとする日の当たらないゲームの知られざる名曲たちも最高(セレクションの文脈でいうと複数収録されている斉藤博人さんの曲がそこだけ「いわゆるゲームミュージック的な曲」なのでちょっと不思議ではあった)。

国内盤に寄せられたhallyのライナーはこのアルバムにふさわしいもの(批評的にセレクションされた初めてのゲームミュージックのアルバム、という)ではあったけど、全曲徹底解説的なものを勝手に期待してたのでちょっと拍子抜けだった。ちなみにOTOTOYだとデジタルで変えてこのライナーもpdfでついてくるのに後から気づいた。


Akihiko Taniguchi/Chie Taniguchi『nothing happens』


TRANS BOOKSで買った谷口暁彦さん、タニグチチエさんによる写真集『nothing happens』、物理写真集やポスターも素敵なんだけど、付録2である『nothing happens』アプリ版が予想以上におもしろかったというか、何か別のものの原型のように思えた。

『nothing happens』は、谷口さんの先日まで展示されていた新作『何も起きない』からいくつかのシーンを切り取って写真集にまとめたもので、それを買うとついてくるUSBメモリに納められているアプリ版『nothing happens』はその電子版…といいつつpdfとかではなくて「写真集を再現した3Dモデルデータをリアルタイムレンダリングで読めるアプリケーション(Unity製)」になっている。

そこまでは知っていてなるほどおもしろいなと思って買ったんだけど、実際に起動してみて驚いたのは(実際はよく読むと上のツイートにも書いてあるんだけど)この「写真集を再現した3Dモデルデータ」が配置されているのは、この写真集の題材である『何も起きない』という作品の舞台である「あの部屋(の3Dモデルデータ)」なのであり、つまりこれは、作品の一部を編集した本がその作品の一部であることが、現実として目の前で体験できるアプリケーションなのだった(起動したままにしておくとアプリ内で時間が経過して日が暮れたり昇ったりもする)。何も起きていないかわりに大変なことになっていた。

あと、今回このアプリを体験してみて、「読書環境も含めて提供されるVRによる未来の本」というものが他にもあり得るんじゃないかと感じた。本1冊のために専用のシーンを作り込んだりするのはオーバースペックだろうなとは思いつつ、なんとなく「VR読書」みたいな話には鼻白むものを感じていたなかで今回の体験は新鮮だった。「VR『はてしない物語』」とかあったら読んでみたいよね。

ちなみにアプリ版『nothing happens』は書いてないけどCmd/Ctrl+qで終了だそうです(ESCキーは効かない)。

Trans Booksで買った谷口さんの「nothing happens」

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nothing happens

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スーパーマリオギャラクシー

発売日に買って、例によって自分はプレイしないまま子供たちがプレイしているのを見ている。2コンでキャッピーが操作できるおすそわけプレイモードはゲームしたいけど操作はうまくできない年少の子がプレイに参加するのには最適なつくりになっていてものすごくありがたい。内容もゲームがおもしろいのは当然として、デザインの力をフル活用してリッチでスムーズなプレイ体験を提供するというSwitch以降の(あるいは『Splatoon』以降の)「クールな任天堂」のラインがキープされていて恐ろしい。他方一連の任天堂スマホゲーでは旧来の「ダサい任天堂」の体験がキープされているのも興味深いのだけど。


CEDECでのゼルダの伝説開発セッション

CEDECのタイムシフトは Video Speed Controllerで1.5倍速くらいにしつつで、10そこらくらいのセッションを観た。「キャラクターらしさ学習AI: 多数のキャラクターの個性や違いの可視化によるシナリオライティング支援システム事例」というセッションが面白かったらしいけど見逃しちゃった。とりあえずゼルダの伝説についてのセッションは全部ちゃんと聞けて(あと画面キャプチャなどとれて)よかった。

ワールドマップ制作のノウハウの話はもちろん面白かったんだけど、やっぱり一番衝撃的だったのは、ゲームエンジンに統合された(正確にいうとデバッグ版のゲームエンジンと接続された開発環境(「ゼルダエディタ」と呼ばれるゲーム内のすべてのアセットとデータを管理、制作支援する開発環境をすべての開発者が使用していたという)に統合された、かな)タスク管理システムを開発することが世界の磨き込みやゲームの完成に寄与した、これがなければ不可能だったという話だった。ゲームでもWebサービスでも開発のなかでなんらかの形でタスク管理システムを使用するのは普通のことだと思うけれど、開発する主体に密接なものとしてタスク管理(やその場にまつわるコミュニケーションシステム)を組み込んでいくアプローチというのはあまり聞いたことがない。そしてこれはもしかしたら、Wikiエンジン(江渡さんの『パターン、Wiki、XP』で示されたアレクザンダーのパターンランゲージから連なる文脈)に近い発想なんじゃないかな。ワールドマップ制作過程の話の中でも、制作途中のワールドに開発者がプレイヤーとして降り立ち、実際にその場を冒険し(デバッグ移動を使わず時間がかかってもキャラクターを実際に動かしながら)、その場の雰囲気や感覚を確かめながら地形や遊びを作り込んでいったというプロセスが語られていたけど、これもアレクザンダーのいう利用者(プレイヤー)参加型の建築手法に近いものかもしれない。

今回のゼルダの開発プロセスについては、CEDECのセッションでも扱われなかったものもあるっぽい(ゲームの要素のよい部分、悪い部分について匿名で投稿し、意見への賛否が可視化される掲示板があったとか →週間ファミ通2017年4月20日号『特集 開発秘話から紐解く新たな『ゼルダ』の姿』を読んだ)ので、誰か徹底取材して1冊の本にしてくれたりしないかな。


CEDECをタイムシフト受講してみた

今年のCEDECは任天堂社員によるゼルダの伝説BotW開発についてのセッションが多数あり話題になっていたので、ためしにセッション録画の期間限定視聴が可能になるタイムシフトパスを購入してみた。通常申し込みで11,340円(事前登録だと10,800円だったみたい)。

受講申込 | 公式サイト | CEDEC 2017 | Computer Entertainment Developers Conference

支払うと会期から1週間後(8/31-9/8)の期間限定で、CEDECでのセッションの多く(配信ありとなしの違いはよくわからないけど)がストリーミングビデオで視聴できる。配信されている動画はいま数えたら178個あってとても全部は見れないな。ゼルダ関係だけでも1時間のセッションが8つある。ゼルダのセッションを中心に視聴していて、まあ4Gamerのようなサイトでのレポートはけっこうちゃんと内容をカバーしているんだなと思った部分もあるけど、期間限定とはいえ1万円でこれだけのコンテンツが見られるのはとてもいいなと思った。