ブラッド・ペイトン『ランペイジ 巨獣大乱闘』を観た

映画『ランペイジ 巨獣大乱闘』オフィシャルサイト


特に何の期待もなく観に行ったけどとてもよくできた娯楽作でおもしろく観た。元ネタのゲームが80年代ものだからなのか、演出も80年代感(ダサいという意味じゃなくて、ウェルメイドという意味で)があった。巨大オオカミ+ハリネズミのラルフのアクションがフレッシュでもっと観たかった。

そういえばオリジナルのゲームプレイしたことなかった(Beepにマスターシステムの移植版の記事が載っていておもしろそうだなと思って読んだ記憶がある)のでやってみようと思って探したら映画のプロモーションでアーケード版の移植がWebで遊べるサイトがあった(Rampage Arcade Game – In theaters April 13, 2018)。キーボードだとあんまりちゃんとプレイできないけど、ちまちましたキャラや細かく壊れるBGとかアーケードというよりもパソコンゲームっぽい感覚のあるゲームなんだな。


スティーブン・スピルバーグ『レディ・プレイヤー・1』を観た

映画『レディ・プレイヤー1』オフィシャルサイト


静観していたらアヴェンジャーズが封切られてあっという間に上映規模が小さくなっていたので慌てて観に行った。どうせならと新しいTOHOシネマズ日比谷に行ってみることにしたんだけど、ゴールデンウィークにそういうことをするものではなく、シネコンのある階にたどりつくエスカレーターに乗るだけに行列させられて映画に遅刻してしまった。

静観していたのは原作はすでに読んでいて(原作の邦題『ゲーム・ウォーズ』はきっと映画邦題が先にこれに決まっちゃってて渋々合わせたんじゃないかと思ってたけど、そうじゃなかったみたいね)、この作品に触れて「マジでか!」と思うポイントは一応体験済みだからなーと思っていたからで、観てみても実際そんな感じもあったけど(ゲーム系の参照は原作よりも目立たなくなってるのが残念)、80年代ポップカルチャーの知識の深さが「強さ」になる世界があれば俺が最強のはず…という、ようするにアメリカ版のなろう小説みたいな脂ぎった原作が、当の80年代の神の一人であるスピルバーグ本人によってポップな娯楽作品に翻案されているところにはクラクラした。フーツラ系の書体で「READY PLAYER ONE」とドカンと出るエンドタイトルがいちばんアガる感じがあった。


山田尚子『リズと青い鳥』を観た

『リズと青い鳥』公式サイト


『響け! ユーフォニアム』シリーズをいままでまったく観る機会がなく(『リズと青い鳥』がそのシリーズからのスピンオフ劇場版なのも知らなかった)、というかいわゆる京アニ作品というのにちょっと苦手意識があり(『氷菓』は地形効果もあって楽しめたんだけど)、山田尚子監督作品も『たまこマーケット』は評判を聞いてTVシリーズと劇場版ともに何度かチャレンジしたんだけどなじめなくて挫折している。関係ないけど、苦手なりに京アニブランドには作り手も受け手も了解する世界観やクオリティへの一貫性があるよなと思っているんだけど、劇場作品につけられるなんか地球がぐわーんて回るみたいなぼんやりしたイメージのモーションロゴはなんでああなっているんだろう。なにか文脈があるのかな。

そんな中ようやく先日観た『聲の形』は自分の苦手意識からするとわりとすんなり作品に入れて内容にも感銘を受けたところだったので、『リズと青い鳥』も飛び込みで観てきた。結論としてはとてもよかった。中盤まではなんとなく作品世界に気まずさを感じていたんだけど、これも振り返って考えてみると演出意図によるものだったのかも。お話としてはスポ根青春ものによく見られる定型(それこそ同じく牛尾憲輔さんが劇伴担当の『ピンポン』と同じだ)ともいえるものだけど、セリフの芝居や間の取り方が、少しづつながら勇気をもっていわゆる(日本の)アニメの枠(あるいは、僕がなんとなく京アニ作品に感じている窮屈さ)を乗り越えようとしているような感じがした。どこかで読んだ監督のインタビューによると、劇中登場する飛び立てる青い鳥を鳥籠に囲ってしまう寓話と、本編中ほぼ校舎内のみに限定したショット構成を重ねているとのことだったけど、この作品自体が、鳥籠から自分の羽で広い世界に飛んでいきたいという宣言のようにも思えた。ただ劇中劇にあたる「リズと青い鳥」パートはなんとなく消化不良というか、本編パートとの有機的な関係が観じれられなかったなー。

あとやっぱりこの「ふつうのアニメと違う繊細さ」には牛尾憲輔さんの音によるところも大きいのかもしれない。「エンドクレジッツソング」ことエンディングの最後の曲がよかったのでもう一度聴きたい。


クリス・マッケイ『レゴ®バットマン ザ・ムービー』を見た

映画『レゴ®バットマン ザ・ムービー』ブルーレイ&DVDリリース


WOWOWで録画で。前作『LEGO ムービー』ほどの衝撃はなかったものの気が利いてて楽しく観た。子供といっしょに観たけど子供もおもしろかったみたい。『LEGO ムービー』シリーズは日本で言うところの『クレヨンしんちゃん』の映画みたいな感じで親子それぞれの視点で面白がれるシリーズとして続くといいな。


リー・アンクリッチ・エイドリアン・モリーナ『リメンバー・ミー』を観た

リメンバー・ミー|映画|ディズニー公式


3月末に観た。予告を観た時点ではさほど興味を惹かれなかったんだけど、観てみたら物語をシンプルにとどめそのかわり「死者の国」という世界の構築に命をかけた作品でひさびさに素直にピクサーすごいと思った。もう一回観たい。表現力に乏しいフルCGで映画を成り立たせるための奇抜な設定とてんこ盛りででマニアックな脚本、というピクサーのアイデンティティからすると(タマフルでも言われてたけど)奇抜な設定をのぞくとディズニースタジオ的に成り立ってる作品なのかなとは思う。

いろいろよかったけど、印象に残ってるのはマーガレットの花びらでできた死者の国に渡る橋のイメージと、「嫌われていてで、覚えていて欲しい」というセリフかな。作品世界の切り口が慰霊+観光という感じでちょっとゲンロンっぽいなと思った(極彩色のビジュアルが梅ラボ作品に重なるところもあって)。さらにはVRコンテンツ『Coco VR』も含めるとサイバースペース=VR=ゲーム=ショッピングモール=テーマパークという問題系も接続できるんだと思うけどこちらはまだ未体験(やってみたい)。骸骨がギター弾くとこで『Mr.ボーン』とかも思い出したけど。



高橋ヨシキ『高橋ヨシキのシネマストリップ』を読んだ

商品一覧:高橋ヨシキのシネマストリップ


奥さんが買ってきて借りて読んだ(スモール出版の本ばっかり読んでる)。

取り上げている映画がいわゆる秘宝系というか、ジャンルムービーのものばかりになっているけど、「極端な世界設定や大胆な誇張を盛り込むことで、現実世界で誰もが気づいていながら見て見ぬふりをしている『本当のこと』を描いている映画」を紹介するというセレクトのロジックが明快でよかった。各紹介で恒例になっている「この映画を一言で言うと…」という要約の身も蓋もなさも素晴らしい。全体を通して高橋ヨシキさんの真っ当さが際立つ一冊だった。




マーティン・マクドナー『スリー・ビルボード』を観た

映画『スリー・ビルボード』大ヒット上映中!


スイートなおとぎ話『シェイプ・オブ・ウォーター』と好対照の胸を焼く強い酒みたいな映画だった。映画らしい決着があるわけでもなく、感情移入もしにくい作品だけど、取り返しのつかない過去への後悔と無力な現状への憤りを背負う登場人物たちがその愚かさにおいて身を寄せ合うというラストは、解決不能な問題をにらみ合う現実の自分らにもつながるぎりぎりの境地なんだろう。