『ミュシャ展』と『アスリート展』を見た


そろそろ終わってしまいそうなのでまとめて見てきた。

とにかくでかさに感動すると聞いていたチェコ国外初公開だという『スラブ叙事詩』シリーズ19点はたしかに圧巻で、ひとつひとつのでかさと細密さとそれがずらっと並んだ会場構成ふくめて、自分が縮小して巨大になった画集を見ているような気分になった。ミュシャの画風ってアニメ・マンガ・ゲームなどでファンタジックな世界をイメージさせるアートスタイルとしてコピーされまくったわけで、「この画風でキャンバスがでかい」ということにあんまり現実感がなく、むしろ「自分が縮小してイラストが巨大に見えている」というシチュエーションのほうが納得感があったのかも。

アスリート展のほうは、安定のクオリティとも言えるし、既視感が強いとも言えるなという展示のなかではやはりアスリートの世界のスケール感を実感できる「驚異の部屋」がよかった。あとサッカーの試合の戦術分析をインタラクティブに操作できるシステムが展示されていた「戦術とビッグデータ」が意外とおもしろいなと思って見たんだけど、いかんせんサッカーの戦術について明るくないので詳しい人がシステムの見方やなにがわかるかが解説してくれるといいなと思った。


こども科学センター・ハチラボ『はらだ博士の驚きの部屋 コンピュータとこの世界のおもしろがり方研究』を見た

はらだ博士の驚きの部屋 コンピュータとこの世界のおもしろがり方研究 | CANVAS | 遊びと学びのヒミツ基地


ソフトウェア開発者をメインにフィーチャーした、と考えると科学センターの企画展としてなかなか異色なのかもしれない展示、終わりそうだったので子供を連れて行ってきた。

ビスケットは概要は知っていたけど子供に遊ばせたり自分で触ったりするのは初めてでなるほどこうなるのかーと思っていたら小三児はさくさく使い始めてアップルやパイナップルやペンが飛び交いランダムにPPAPになるオブジェクトを作っていた。5歳の次男もしっくりきたらしく、一回に終わらず2度3度と絵を描いて横が上に動かして楽しんでいた。さすがの取っつきやすさに加え、「水族館にきみの作った魚をいれよう!」というつくるものの誘導も(ありがちではあるけど)上手だなーと思った。展示としてはアニメと動きがつくれるバージョンのビスケット以外にもインタラクション(クリック)がつけられるバージョン、音楽がつくれるバージョン、3Dスピログラフを作れるアプリ、フラクタル的なパターンが作れるアプリなどがあったけど、子供ふたりはいちばん単純なアニメバージョン以外には食指が動かなかったみたい。展示やアプリの見た目があんまり違いがなかったので同じものかと思ったのかも。

授業でビスケット使ってみようかな。「毎週別々のプログラミング言語を入門させてプログラミングの不偏項だけを理解してもらう」というのを一度やってみようと思ってたのでやるなら今年しかないな。絶対大変だけど…


『あそぶ!ゲーム展-ステージ2 ~ゲームセンターVSファミコン~』を観た

あそぶ!ゲーム展-ステージ2 ~ゲームセンターVSファミコン~ SKIPシティ 彩の国 ビジュアルプラザ


そろそろ会期が終わりそうなので遠征。前回(ステージ1)より解説や開発資料展示が多くなってるなと思った。ゼビウスやドルアーガの塔の開発資料はガン見したかったけど子連れだったのでほとんど見られず残念。

ゼビウス初見(たぶん)の子供(9歳/5歳)の時の反応で新鮮だったのは、ドモグラムが道路に沿って進んできたのを喜んでたり、「あ、基地っぽいとこがある」「なんで海のなのに戦車が!」などゲームのキャラクターやシーンを受け止めて気にしてたとこと、アンドアジェネシスを何度かミスして超えた後のエリアでザカートが出てきたら「あ、これボスが出そう!」と空中敵のパターンをすぐに覚えて反応してたとこ。ゼビウスはやっぱキッズの心をとらえるところがあるんだろうなーと思った。そういえば、ゼビウスの地形や地上構造物の配置(あとドモグラムとかグロブダーの動き)を自由にできるマップエディタってあってもよさそうだけど見たことないな。

今回のゲームを触った子供の感想は、「どれも難しすぎてすぐに死んじゃう」というもので、まあその通りだなという感じだった。ゲームの展示ってもっといい形ってあり得るのかなあ。


中村至男『中村至男展』を観た

中村至男展|展覧会・イベント | クリエイションギャラリーG8


最終日に駆け込みで観てきた。中村至男さんの作品がG8のガラスの箱みたいなスペースに合ってたし作品もまとめて観られてよかった。

「見る、読む、聞くを限りなく同化させようと試みたスタディ」だという映像作品のシリーズ(松井さん/森田さん/エイドリアン)が可能性感じておもしろかった。しゃべる人の映像のくちびるの部分にトラッキングさせて、その瞬間発音している音(ひらがな/カタカナ)を表示するもの。単語を1つづつ高速で表示して英文を読むメソッドを連想した。

単語を1つづつ高速で表示して英文を読むやつ、ちゃんと名称があったよなーと思って調べ直した。RSVP(Rapid Serial Visual Presentation)だった。


21_21 DESIGN SIGHT『デザインの解剖展: 身近なものから世界を見る方法』を見た

21_21 DESIGN SIGHT - 企画展「デザインの解剖展: 身近なものから世界を見る方法」 - 開催概要


金曜日に行こうかなと思ってたんだけど子供の風邪の看病してたので最終日に駆け込むことになった。佐藤卓さんの「デザイン解剖」プロジェクトはなんとなく知ってたけどちゃんと見てなかったので、展覧会で触れて意義が再認識できてよかった。人が多すぎて細かく見られなかったけど。

製品から解剖され並べられた各要素のなかで一番興味を引かれたのは「ネーミング」で、これはほかの要素のデザインとは別の力学で成立しているようでおもしろい。iPadで見られた学生課題の解剖レポートもネーミングだけ全部見た。品からの優位性として冠したネーミングなので、0.5ミリ。


『メディア芸術祭20周年企画展 変える力』/『『Windows』/『『フィットネス. | ftnss.show』を見た

Japan Media Arts Festival | メディア芸術祭20周年企画展

TOKIO|GALLERY OUT of PLACE

アキバタマビ21 | akibatamabi21|exhibition


3331に行っていろいろ見てきた。

メ芸20周年展はほぼ通り過ぎたに近かった。『10番目の感傷(点・線・面)』はかなり狭い部屋に三連の時計の秒針の音が支配的に響くぜんぜn印象の違う展示になってたのが興味深かった。あと興味深いといえば受賞漫画作品アーカイブ展示の部屋に置いてあった歴代のメ芸受賞作品紹介冊子で、僕は第5回くらいから見覚えあるなという感じだったんだけど、第1回の冊子がすごくてお役所感全開メディア芸術感ゼロの非DTP冊子で立ち上げ当時の状況がなによりもよく分かる資料だった。

昔のメ芸冊子お役所感よかった

kotaro tanakaさん(@doppac)が投稿した写真 -

Houxo Que、須賀悠介の二人展『Windows』はとてもよかった。Houxo Queさんの作品は写真や作品に関する言説はよく見ていたけど実物を見るのは初めてで、静止画で見るのと大違いなのを痛感した。須賀さんの作品はいい感じのジャンクスマホをオークションで手に入れてそれを元に彫ったという「スクリーンの割れ」の彫刻作品で、これもよかった。

アキバタマビのフィットネス展もなかなか飽きない展示でよかった。なべたん氏の作品はいつもの自分をコンピュータにする系統の作品で好きだった。


ナムジュン・パイク 没後10年展『2020年笑っているのは誰 ?+?=??』を見た

watari-um - exhibition ナムジュン・パイク、没後10年、2020年笑っているのは誰


休日にフリータイムをもらったので最終日かけこみで見てきた。ヨーゼフ・ボイス、ジョージ・マチューナスとの出会いの逸話(パイクがバイオリンを破壊する演奏をするのをバイオリン奏者が止めようとして、そこにマニューナスが『演奏を妨害するな!』と一喝したという)がおもしろかったな。

いまブラウン管のテレビの映像観ると(映像ソース自体が一般的なビデオ信号よりも出力が大きかったりしているのかもしれないが)やたらとぎらぎらして生き物としての映像が脈を打っているようであらためてすごい魅力的だなと思った。いま再現するの故障も多そうだし大変そうだけど。

テレビ(のガワ)をキャンバスにペインティングしてる作品は昨今の液晶モニタにペインティングする作品を連想した。


東京都立近代美術館『トーマス・ルフ展』を見た

Thomas Ruff


めずらしく休日にひとりの時間をもらったのでゆっくり見てきた。メディアとしての――したがって、他のメディア(写真集やWebサイト)で確認しても意味をなさない――「写真家」の「写真」のあり方をいっきに見せられる展示(「写真」のあり方そのもののタイポロジー?)でシンプルにおもしろく見た。

会場内は撮影可になってたんだけどけっきょくなにも撮らず。あとで記録として美術館のビルボードを撮っておこうとおもったらポスターイメージの「ポートレイト」がカメラに(当然ながら)顔認識されたのが面白くてファインダーをスマホカメラで撮ったんだけど、会場でもこれやればよかったなと思った。まあでも、こういうの1枚だけとってもだめだっていう話ですよね。

今回時間あったのでコレクション展も見られた。「奈良美智がえらぶMOMATコレクション」が新鮮でよかった。


ICC『オープンスペース 2016』を観た

ICC | オープン・スペース 2016 メディア・コンシャス


今年はわりと早く帰省を切り上げて帰ってきたので(渋谷もお盆は人通りが少ないのが意外だった)、もう1日くらい休むことにしたんだけど、月曜日だと定休日だったので月曜は仕事して火曜にICCに行った。

毎年いちおう見に行くんだけど子連れであんまり細かく見れないまま出てしまうようなことが多いなか、ラインナップを見て今年はちゃんと一人で見に行こうと思っていた。今年のは作家のテーマを見せるタイプの作品よりは日常的な感覚とテクノロジーの接点を操作して鑑賞者の主観に介入しようとするような、正式な意味での「メディアアート」が集められていてどの作品も面白く体験した。日本人の作家がほとんどなのは10年目の節目に合わせて満を持してという感じなのか、それともたまたまなのかな。

なかでも谷口暁彦さんの『私のようなもの/見ることについて』は、作品を構成する映像は動画やライブパフォーマンスで見ていたものでその部分の衝撃を個人的には受けなかったものの(ここで初体験の人はかなり衝撃的な体験になるんじゃないだろうか)、コントローラを用意して体験型の作品にすることで映像の意味や扱っているテーマの鑑賞者への受け取られ方がかなり変わるものになっているように思った。このセット(谷口さんの3Dモデルアバターが仮想空間に配置された文章を巡回して見せていくもの)のシリーズは「essay」と呼ばれているようなんだけど、これまでそれこそエッセイのような線的な情報としてしか提供されていなかったひとの断片的な記憶や思索が、フリーローミングな空間として提供されることの面白さや可能性を初めて味わった気がした。まあ空間内にあるのは実際には記憶や思索そのものじゃないんだけど、「断片さ」が妙に生々しさをもっているので想像力が刺激されるところがあるように思う。

仮想空間を自由に動けるというだけでなく、ゲームでいうところのNPCのような役割で同じ仮想世界を動くアバターがいて(これは作品のナレーションと連動するおそらく谷口さん自身の操作のリプレイ)、いちおう「順路」のあるこの仮想空間の自然なナビゲーションになっており、かつ、作品の一部であるもう一つのプロジェクション画面はそのNPCアバターの主観映像であり、アバターによって「見られる」主体としての鑑賞者としての自分としての谷口さんの3Dスキャンアバターも作品の一部として鑑賞できる、という作品の構成としての完成度と複雑さも素晴らしかった。

もうひとつ素晴らしかったのが研究開発コーナーとして作品と併設された『明治大学 渡邊恵太研究室 「インタラクションの現象学 人間の輪郭、世界体験の変容」』で、これも渡邊さんの研究については以前からよく知っているし『融けるデザイン』も読んだので情報としてはかなり既知だったものの、展示の完成度や説得力が素晴らしく、改めて感心できた。とくによかったのが研究内容全体(かなり長い)を伝えるいわゆるプレゼンスライドが見られるモニタ設備なんだけど、モニタが3連になっていて最新3枚のスライドがFIFOで流れていく仕掛けになっているのね。体験するとわかるけど、これ自体がスライドをめくって研究内容を知るという体験の自己帰属感をすごく高める仕掛けになっていて感動した。電子書籍にも必要なのは3連モニタのFIFO表示なのかもしれない。


LIXILギャラリー『文字の博覧会 -旅して集めた“みんぱく”中西コレクション-展』を観た

LIXIL|企業情報|文化活動|LIXILギャラリー|巡回企画展|文字の博覧会 -旅して集めた“みんぱく”中西コレクション-展A Treasury of Written Characters

もう一回『シングストリート』観たいなと思ってヒューマントラスト有楽町に行ってみたら観ようと思っていた回は早々に満員で入れなかったため、ひさしぶりにLIXILギャラリーに行ってやってた企画展『文字の博覧会』を観てきた。

中西亮氏が印刷会社の社長のかたわらライフワークとして収集した世界の古代文字が書かれた粘土板や貝葉、写本などのコレクション(没後日本民族博物館に寄贈された)に関する企画展。自分が解せず見覚えもないような文字が活字でびっしり打たれた印刷物を見るときの圧倒される、もしくは恐怖する感じは独特の感覚で嫌いではないんだけど(今回の展示だとエスキモー文字の新聞にはそれを感じた)、手書きの文字はそれが古代の未知のものであったとしてもそれが自分と同じタイプの人間の手によって書かれている、という安心感があってわりとずっと見ていられるなと思った。こういうのは本や写真と実物とでは受ける印象がだいぶ違う。

あと中西さんの手書きの旅行記が展示されていたんだけど、なんというか初々しさのある字(ゆっくり息をとめて描かれたようなもので、時間もかかっただろうと思われた)や作り込みの旅行記になっていて、学生時代とかなのかなと思いきや年代で計算してみると50代とかだったりして背筋を正される思いがした。

図録も買ったけど安定のLIXIL(INAX)ギャラリークオリティ。

文字の博覧会―旅して集めた
西尾哲夫 臼田捷治 浅葉克己 永原康史 八杉佳穂
LIXIL出版
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