WikiBana Vol.5 に行ってきた

※今回写真撮るの忘れてしまった。会場のとなりの児童館は運動会をしていたらしく、割れ気味の音量でハッスル音楽がのどかに流れていました

■10月15日に品川は高輪福祉会館で行われた「WikiBana Vol.5」に参加してきました。Wikiに関心のある利用者・開発者が集まって話題を交換するフリートークイベント。Wikiそのものへの興味はもちろん、参加しているみなさんの雰囲気や、毎回ちょっとづつやり方を変えてよりよくしているスタッフの熱意も刺激的で、いつも楽しみにしているイベントです。僕は今回で4回目。

Wikiをめぐる3×29のキーワード

■毎回イベントのスタイルが変っているんですが、今回はひとり3つづつ自分がwikiについて気になっているキーワードを持ち寄って、4人のグループでそれぞれ自分の持ち寄ったキーワードを中心に30分程度ディスカッションをするというセッションを3回…というスタイル。30分てそんなに会話がもつかなあと思ってましたが、ひとり3つで4人ということは12個の議題がテーブルにのぼるわけで、それぞれにみんなでふたことみことコメントをしているだけで30分はけっこうすぐに過ぎてしまうものでした。時間が短いぶん集中できるのはよかった。

今回29人の参加者がいたので、87のキーワードが集まったことになるんですが、何人もの人が挙げていたBuzzWord(?)は「WikiSpam」「Wikiの移行、バックアップ」「Wiki記法/WYSIWYG機能」「javascript,Ajax」あたりでした。

dotimpctのポジションペーパー

■ちなみに僕がもっていったキーワードはつぎの3つ。

1)「その場で編集」機能とWikiページの再編集

CalkiにAjax機能を入れたときに思った、wikiページの再編集支援機能があるといいなという話。この記事の最後らへんに詳しく書きました。

「たとえば今のwikiで2つのページをまとめようとすると2つのタブにそれぞれのページを編集状態にして、もうひとつのタブに新規作成ページにコピペしないといけないじゃないですか!」という例を出したら、けっこううなづいてもらえました。

2)どこまでもスクロールできる掲示板、落書き帳

こどもてれびの掲示板とか、ショウジ氏のおえかき掲示板 http://childtv.org/fbbs/ (いま停止中) http://bater.biz/bbs/ を見て、これってwikiかもなーと思った話。具体的には、これらのフリースクロールボードに、座標やオブジェクト間のリンク機能があれば、もうほとんどWikiといえるんじゃないかと。範囲指定してその部分にtagをつける、なんてのもよさそうだなー。

こういうフラットなページになってると、あるページを見ていてぜんぜん違うページが目に入ってくるのもおもしろいかもね、なんて話も出ました。

3)SNSコミュニティにwikiを

ていうかmixiのコミュニティの掲示板って雑談しかできないよね、という話。SNSコミュニティって生産的なコミュニティになる可能性は高いのに、それを支援する機能がないのはもったいないなと。しかもそれをSNSだけでなくオープンコンテンツとして公開できるとなおいい(SNS側から見えないページや、コミュニティメンバーしか見えないページもあってもいいし)。

ちなみにこの話にただただしさんから「それってはてなグループなのでは」とツッコまれたので、「でもはてなグループはダイアリーとの差別化でクローズなコミュニティになりがちですよね」という話をしたところ「確かに以前はその傾向はあったがモヒカン族グループあたりからオープンコミュニティの場になりつつある」という(モヒカンらしく容赦ない)反論をいただきました。たしかに…でも参入の敷居とその後のレスポンス(いまのmixiみたいに新着ページが見られるとか)を考えるとSNS経由というのはいいと思うんですけどどうでしょうか。

懇親会

■全体ディスカッションで中心的な話題を総括しつつ、イベントがお開きになった後は恒例懇親会にも参加してきました。こちらも面白かったです。参加できてよかった。

スタッフのみなさんはお疲れさまでした!

本編や懇親会での面白かったことメモ(思い出したら追加)

  • たろう使ったら負けだと思ってる」発言

    • これどこがおもしろいかというと、たろうさんはS式インタプリタを搭載してweb上でアプリを開発しようと思えばできる! というある意味Web2.0を先取りしたClockWorksというWikiエンジンをずいぶん前から開発されてるんですな…たろうさんの時代キター、というわけ。
    • ほんとのところはたろうさんが言ったというよりnagayamaさんが言わせてたんですが

  • いかにもモヒカン族的な模範解答を「モヒカン回答」と呼ぶ

  • あいまいな部分やだれかに内容を埋めて欲しい部分にフォームを作って簡単に追記してもらえるようにする「Fixme!」記法ってどうかな?
  • ももなさんのお話。引越しの膨大なTODOを管理するのにCheck*padを使用したら、技術に明るくない奥さんにもちゃんと活用してもらえたとのこと。そこでたださん曰く「そう! 引越しとWikiは合う!」
    • たださんも最近新居に引っ越したときに、wikiを活用したとのことでした。
  • 60秒くらいのループにだれでも音声を多重録音(古い音はボリュームが下がる)できる「声のwiki」podcast(otsuneさん発案)これはオモシロそうだなー。

いままでのWikiばなの感想


Processing days

processingdays.jpg ※dotimpactが「紙相撲の土俵をトントンすると、画面の相撲中継のムービーがコマ送りされる」という改造マウス作品のムービーを発表している様子。「紙相撲」が英訳できそうになくて困った。

書いたとおりTDCDAYのために Processing のプロジェクトリーダー Ben FryCasey Reas (ケイシー・リースという読みかたがなかなか馴染まない…)が来日していました。

で、TDCDAYでのレクチャーはもちろん聴きにいったんですけども、とある筋で両名を招いた日本のProcessingユーザー(…だったのかな?)によるパーティのようなものが企画されていまして、そちらにも参加させていただきました。

てことでそのあたりをレポートしておきます。

Processing Party at OFFICE

■今回の席は UCLA D|MA で学んでいる さいたつ さんが、ちょうど同時期に帰国するのでCaseyと連絡を取って食事でも…という話で当初進んでいたのだそうですけど、せっかくProcessingのリーダーと話できる機会があるのだから日本のProcessingコミュニティから(というか、日本のinteractive design関係の人から)作品が紹介できるといいだろうということで、mixiなどで声がかけられた30人ほどのメンバーでのパーティと軽いプレゼンテーションをするというなかなか貴重な集いとなりました。場所は外苑前の OFFICE というバー? というかイベントスペースというか。名前は知ってましたが初めて行きました。PC持っていって長居するにはいい場所ですねー。もうちょっと無線LANの電波が強いとよかったけど。

紹介された作品についてはまだ未完成でオフレコっぽいものもありましたが、ネットで見れる作品はリンクしておくと、

  • 石澤さんのデジカメの新しいインターフェイスのイメージプロトタイプをProcessingで開発した話
  • eto さんと 渡辺(kuni) さんのプロジェクトの発表と、kuniさんの P/ECE で開発したパーティクル系ゲーム( spout , interground )の紹介
  • Nikita Pashenkov さんの ALPHABOTS や自作デバイスの作品
  • Gil Kuno さんの the six string sonics(1台のギターを1弦ごとに分離したギターを6人で演奏してコンピュータで合成して曲を演奏する! というプロジェクト。かっこいい&笑える)の紹介
  • この春IAMASを卒業した増田さんによるProcessingの作品 haohaoの紹介(群体シミュレーションでの個体の動きにあるルールで線を描画させて、絵を描くという作品)やそのほかの作品など
  • ふくち さんの EffecTV のエフェクトがProcessingだとこんなに楽に開発できる! というお話。
  • 脇田 さんによる、SFC OPEN RESEARCH FORUM での会場インスタレーションの紹介。あれはRFIDリーダと連携したProcessingで動いていて、ソフトは学部2年生(だったかな)が1ヶ月で作ったそうな。おお。
  • Takachin さんによる Particle Typography のProcessingスケッチと、Takachinさんが立ち上げた日本のProcesingポータル Processing.jp の紹介

といった感じでした。それから僕もいちおう発表させてもらって、学校でProcessingを教えているという話と、どんな授業かということで1年の学生がやったマウス改造課題のムービーを見てもらいました。とりあえずウケたようでなにより。ちなみに当日は serendipity(mixi) さんに通訳をお願いできて非常ーに助かりました。ありがとう!

それからもちろんProcessingの次期バージョン(0080)についてもCaseyからプレゼンが。グラフィックをJavaじゃなくOpenGLで描画するモード(かなり速い)がついたりとか、ライブラリ(物理計算、衝突判定付きのパーティクルライブラリとか)の充実とか、ソースを分割できたりするあたりが目玉みたい。公開が楽しみです。

■プレゼン以外でも初めて会った人といろいろ話ができたり、作品を見てもらえたりできてすんごく面白かったです。またこんな機会があるといいですね。そのころにはProcessingコミュニティが増えててより大きなパーティになるともっといい。

TDC DAY 2005

■えーと、あとで書きます。


WikiばなVol.4 Wiki博覧会に行ってきた

wikibanavol4.jpg ※産業プラザ6Fは眺めがよかったです。

■3月12日に大田区産業プラザで行われた「WikiばなVol.4」に参加してきました。WikiとWikiばなというものがどの程度認知されているのかよくわからないんですけども、Wikiというのはおおまかに言うと「いつ誰からも書き換えられるWebページ」というコンセプトとそのためのソフトのことで、「Wikiばな」というのは、このなんでもありのWebコラボレーションツールとどうやってうまくつきあっていくか、Wikiが今後どうなっていくかについて、Wikiっぽく「ざっくばらん」に話し合うというイベントです。

Vol.4である今回は万博イヤーらしく(なのかな)「Wiki博覧会」ということで、各地で発表されている定番/先鋭/変態Wikiエンジンについて、開発者やユーザーみずからにプレゼンテーションしてもらおうというイベントでした。僕は前2回のWikiばなにも参加していて、過去はわりと少人数によるディスカッションが主だったのですが、今回はわりと学会ぽいというか、たくさんのWikiについてみんなで知ろうという会になってましたね。

*Wiki博の各パビリオン紹介 というわけで、各発表についての気の抜けた感想を書いておきます。

Hiki(かずひこさん)

「Rubyの国、松江からやってまいりました!」というツカミからしてばっちり。関西系プレゼン! じつはHikiは書法がなじめなくてあんまり使ってないんですけど、「とにかくアジャイル」というスローガンは素敵。使ってみたくなりました。

PukiWiki(増井さん)

僕がふだん立ち上げるWikiもほとんどPukiWikiだし、「たぶん日本で一番設置されているWiki」というのには納得。でもなぜなんだろう、というとこはちょっと気になりますね。

増井さんの発表はPukiWikiのプレゼンモードを使われていました。

PukiWiki本が夏あたりに出る予定だそうですが「まだ1ページも書いてません」とのこと。それはまずWikiを立ち上げるとこからでしょう。

FreeStyleWiki(たけぞうさん)

FSWikiはPDF出力に興味があって導入しようとしたんですが、重すぎてサーバで動かなくて断念したままでした。PDF出力機能ってもうちょっと注目されてもいいような気がするんですが(出版用の草稿にwikiを使う、という話も多いみたいだし)、どうなんでしょうね。

MoinMoin(とくひろさん)

とくひろさんもMoinMoinのページでプレゼンしてたのかな?

NOTA(洛西さん)

NOTAすごくオモシロそう。タブレットPCで使ってみようかなと。

wema2(kanさん)

wema2のバージョンアップぶりにはかなりどよめきがおきていました。インクリメンタルに付箋が絞り込まれる機能はかなりいい。

付箋の動きを録画するプラグインとかどうかなーと思いました。

ContentEditableWiki(たつをさん)

前回Wikiばなでも発表されていたWYSIWIGWikiがバージョンアップされていました。リンクははてな方式というか、ページ名のオートリンクで実現。なんとなくこのへんはもうちょっとシステムにあった仕組みが模索できそうな気が。

ThreadWiki(久末さん)

名前空間とツリービューが特徴のスレウィキ。ツリービューでページの移動や順序変えがドラッグ&ドロップでできたりすると、ほかにはない使いかたがでてきそうなんですがどうでしょうか。

RandomNote(ninjinさん)

ninjinさんのプレゼンのフリースタイルぶり!

個人用のWiki風ツールには興味あるので、RandomNoteの次の展開も見てみたいです。

MirrorMan(malaさん)

今もっともとんがったWikiエンジンMirrorManは、人間の思考のミラーリングのためのインターフェイスを目指しているとのこと。最終目標だという「MirrorMan上でのリアルタイムリモートペアプロによるMirrorMan開発」というのは、最近聞いた中で最大級の野望に聞こえました。

malaさんもMirrorManのプレゼンモードでプレゼンしてました。

懇親会でmalaさんがどうやってjavascriptの開発やらデバッグをしてるのか聞こうと思ってたんですが、お話できなくて残念でした。

Clockworks(たろうさん)

Wikiというか、cgiベースのS式インタプリタ。かっこいいかも。

qwikWeb(etoさん)

MLとwikiの連携が主ながら、いろんな機能をプラグインで節操なくとりいれていくとのこと。ビデオ編集プラグインはかなり便利そう。

mp3もカット編集したいなーとetoさんに言ったら「じゃあそれは作ってもらうということで」と言われました。えー!

qwikWebにもプレゼンモードがあるそうで、発表に使っていました。


という感じ。プレゼンモードがあって実際にそれで発表している方が目立ってた印象で、まあWikiのイベントだからというのもあるんでしょうけど、PowerPointのスライドのフォーマットとWikiページのフォーマットってかなり近いしプレゼン資料の公開のことなんか考えても全部Wikiでできるってのはたしかにかなり魅力的だなーと思いました。こんどやってみよう。

あとはやっぱりjavascriptによるダイナミックな機能かな。 Wikiを使ってると、いくつかのページを参照しながら新しいページが書きたいみたいなことがわりとあるので、wemaみたいに新規作成ページに既存ページがポップアップしてくれたり、逆に付箋にメモ書きした内容でそのまま新規ページを作ってくれたりすると便利そう。あと TiddlyWiki みたいに今あるページを順序立てて並べて新しいビューをつくるみたいな機能もなんか可能性がありそうな気がしてます。

■参加できないかなと思ってた懇親会もキャンセルに滑り込んで参加できました。これがまた面白かったんですがそれはまたあとから書きますね。

■ああそうだ、 Calki もよろしく!


広島国際アニメーションフェスティバルに行ってきた(2)

hiroshimaanim2.jpg1日目に続いて、2日目のイベントレポートです。

ポール・ブッシュ特集

■フェスティバルではコンペ作品上映以外にも、特別プログラムと呼ばれる企画上映がありまして、長編作品の記念上映とか、ある作家のレトロスペクティブ(過去作品の一挙上映)だとか、あと世界のフィルムスクール、アートスクールの学生が自主制作した作品から優れたものを集めたプログラムなどなど、いろんな企画がいくつかのホールで並行して上映されおり、どれを見に行くかで参加者を悩ませます。

この日僕が見たのは今大会の国際審査委員であるポール・ブッシュさんのセミナーをまじえた特集上映。ポール・ブッシュさんの作品を僕は前回の大会で見てまして、その、「まったく同じ演技をした多数の役者のフィルムをフレームごとに入れ替えて、『多重人格を視覚的に表現』する」という、「ジキル博士とハイド氏」という作品のアイデアとアホらしいほどの労力のかけかたに感動していたんで今回のセッションもかなり楽しみでした。

過去の作品も「ジキル博士とハイド氏」みたいなものばかりかとおもったらそうでもなく、ライブアクションの映像を元にすべてのコマをカリグラフィ(絵を感光させてフィルムを現像するんではなく、フィルムそのものを針などで削って、線を描き着色してアニメーションを製作するという非常に肩の凝る手法)で表現した長編(!)など、わりと手法(ただし、どれも手間がかかる)をとっかえひっかえして作ってるみたい。わりと学究肌っぽい感じもしました。

ダーウィンが眠っている間に While Darwin Sleeps

■そのポール・ブッシュの新作がこれ。昆虫標本の静止画がつぎつぎと切り替えられて、昆虫の進化のアニメーションのように見えるという。これはかなりかっこよかった。

  • もう一回見たい度:★★★☆☆

リチャード・ウイリアム・セレクション

■つぎに見たプログラムがこれで、リチャード・ウィリアムは「ロジャー・ラビット」をはじめ、ハリウッドの重要なアニメーションを手がけた偉大なアニメーターにして、こないだ日本語翻訳版が出た「 アニメーターズ・サバイバルキット 」の著者。すいません、知りませんでした。仕事があまりに膨大なため、とくに重要な作品(ロジャー・ラビットやピンクパンサーのオープニングなど)をリチャードさんの解説つきで観られました。

「アニメーターズ・サバイバルキット」(これ、動画を描くひとの教科書になるのはもちろん、テキストの部分にも動きやタイミングに関して示唆的なことがいっぱい書いてあってすごくおもしろいです。アニメーター以外のひとも必読です)にもあるんですが、リチャードさんは「リアルで正確」なアニメーションを本来身上としていて、トムとジェリーとかバックスバニーみたいな足が伸びたり体が縮んだりするようなアニメーションを認めつつもよしとしていなかったんですが、ロジャー・ラビットではそういうスタイルの、つまり1940年代のアニメーションを再現することを要求され、さまざまな研究のすえに(監督の要求も超えて)それを完璧に再現して、結果的にそれが一番有名な仕事になってしまった、ということらしいです。でも実際ロジャーラビットのオープニングは素晴らしいし、ロジャーラビットのキャラクターが過去作品のどういうリミックスのすえに成り立っているか、なんてこぼれ話はたいへん面白かった。

遥かなる戦場 The Charge of Light Brigade (のアニメーションパート)

■でそのリチャードさんのプログラムで見た、(あんまり有名でないらしい)映画のアニメーションパートが素晴らしかった。イギリスの新聞に載っているような外交や政治を揶揄する銅版画の1コマ漫画を動かしたような。かなりモンティパイソンのような。もっかい観たいですね。 きくところによると DVDが出てる らしい。

  • もう一回見たい度:★★★★★

アニメーテッド・センチュリー The Animated Century

■リチャードさんのプログラムが終わってからもぐりこんだ隣のホールで上映されてた作品。途中からだったんですけど、これもとんでもなかった。

世界のアニメーション史を扱うTVの特別番組として作られたフィルムだそうですが、アニメーション史で重要な作品をあまさず触れたうえ、ちゃんと動画のクリップが収録されているんですな。フライシャーやディズニー、ワーナーから、トルンカやノルシュテインから、はては攻殻機動隊とかまで。その数120作品だって。

どう考えてもDVDとかにはならないだろうなあ。こういうのはどこに向かって祈ればまた見れるんでしょうか。

  • もう一回見たい度:★★★★★

2日目(8月20日) コンペ作品よりぬき

ストーミー・ナイト Stormy Night

■こちらもNFB(カナダ)の作品。自分が書いた本を原作にして映像化したらしいですが、えーとこれはもともとアニメーション作家で本も書いたってことだったのかな。逆だったらすごいけど。

嵐の夜に眠れなくなった女の子が自分の存在とその不思議について物思いしはじめる、という思春期ストーリーがやわらかなタッチですっきり描かれた、気持ちのよい作品。ちょっと優等生すぎ?(なんつうのは、思春期もたいがい過ぎたおっさんの考えですな)

こちらは審査委員特別賞受賞。マイケル・デュドク・デゥ・ヴィットさん(前回グランプリ「 岸辺のふたり Father and Daughter 」監督)がプレゼンターで、氏が推したとすれば納得。

  • もう一回見たい度:★★★☆☆

サウス・オヴ・ザ・ノース South of the north

■じつは2日目のコンペ作品は全体的に低調だったのですが、そのなかで最も観客を沸かせていたのがこの作品(そのため票が集中したのかみごとコンペ観客賞を受賞しました)。ロシア発。

性格が両極端のふたりのイヌイット(イヌイットネタってアニメにしやすいのかしらん)漁で争ったあげくふたりして難破してしまい、しぶしぶ二つの船をつなげて陸地をめざすも、さまざまなハプニングが待ち受けているのであります。細かいギャグや目配せの入れ方がとてもうまくて楽しめました。うますぎてなんだか普通のアニメを見た感じなんでもう一回見たい度は低めだ(受賞作品上映で2度目も見られたしね)。

  • もう一回見たい度:★★☆☆☆

インスティンクト Instinct

■おのずとヘンな作品を期待してしまうエストニアからの、やっぱり変な作品。技術的にはすごく優れたクレイアニメです。

設定からして全部変わってるから説明が大変なんですけど、えーと、白い神様と黒い神様(悪魔?)がいてですね、いわゆる大ガメが支えてる系のひらっぺたい世界で天地を創造してるわけですよ。泥からキリンとかゾウとかシマウマとかをささっとつくって、重りのついた長いひもを結んで、その重りをぽいっと世界の外に投げると、動物がその世界で活動するわけですな。活動つってもヒモに引っ張られてるだけだから世界のはしっこでつっかえちゃうんで神様あわててその動物の重りを世界の反対側に投げてやると。あと動物同士がひもに引っ掛かってこけたりするからヒモを持ち上げて動物を通してあげたり、手が空いたらアトリエに戻って次の動物を作ったりして大忙し。神様系のRTSをクレイアニメで見せてるような感じで、ここんとこがまずヘンに凝ってておもしろい。

でまあ、その神様作業を白い神様はうまくやるんだけど、黒い神様のほうはどうも不器用で、人間をつくろうとしてついうっかりパルテノン宮殿とかストーンヘンジとか、余計なものをさんざん作った後にようやく人間ができたと思ったら・・・という。こっからのやり取りとかオチも妙に凝ってて、好きな作品でした。また見たいですねえ。

  • もう一回見たい度:★★★★★

広島国際アニメーションフェスティバルに行ってきた

hiroshimaanim.jpg ※写真はイメージです

■8月19日から23日にかけて5日間開催された、第10回広島国際アニメーションフェスティバルに行ってきました。毎年行ってるわけではないんですが、前回に続き連続の参加となってますね。回数としては3回目です。

広島国際アニメーションフェスティバルというのは

■2年に一度、毎回広島市のアステールプラザにて行われているアニメーションの映画祭です。今年は第10回大会で、つまり20周年でした。

どのくらい知名度があるものなのかよく知らないのですが、これよくある自治体とか広告代理店が旗を振る町おこしやプロモーション的なおざなりイベントではなくてですね、芸術としての(かならずしも商業的でない、作家の表現手段としての)アニメーション作品の振興をめざす国際アニメーションフィルム協会(ASIFA)が主催する、れっきとした国際コンテストなんですな。だから世界中(韓国からアルゼンチンまで)のインデペンデントのアニメーション作家から、アードマンだとかNFB(カナダ国立映画制作庁、のアニメーション部門。ひじょうに優れて個性的な短編アニメーションを毎年送り出しています)とかの有名スタジオまでがこぞってコンペに応募してくるし、その公開審査では当然、その世界中の作品から選ばれた優れた(千をゆうに超える応募作品からの一次選考の時点で、少なくとも技術や表現のレベルでは水準以上のものばかりです)アニメーションがまとめて見られるという、たぶんこれは国内に較べられるイベントがないくらい充実した映像の祭典です。それがじつは、2年に一度コンスタントに行われているわけです。

あとアニメーションという表現の多彩さ、「なんでもあり」さも魅力で、紙やセルやCG、クレイや人形はもちろん、実写のストップモーション撮影(いわゆるピクシレーション)、砂とか油絵とか布とか編み物とか、ありとあらゆるものを使ったどう考えても手間の根気のいる作品が、しかも長くは30分短くは30秒、制作期間は短くても3年! とかいったものが、「スクリーンの上で動く」という原理のもとにその表現の粋を競うというおそるべき状況も、ほかに類を見ないように思います。

まあそんな広島アニメを今年も楽しみにして行ったわけで、せっかくなので面白かった作品(ともう一回観たい度)をメモしておきます。 (リンクは 快速化学 のコンペ作品情報)

1日目(8月19日)

ティクハヤ・イストリヤ(Quiet Story)

■勢いのあるペンと透明水彩の塗りによる(デジタルかもしれないけど)絵本ぽいタッチのロシア作品。薄いグリーンが重ねられた画面がきれいでした。

話はクマの親子が森で…というわりとたあいのない(というか、やや意味不明な。全編セリフなしだったんですけど)ものでしたが。いまプログラム見ていてはじめて、登場するクマの親が「母親」だと知りました。それともなく父クマかと思ってたよ。

この作品はコンペ優秀賞でした。

  • もう一回観たい度:★☆☆☆☆

スケルトン・ウーマン(Skelton Woman)

■鉛筆のタッチとイヌイットの顔が印象的だった作品。イギリス発。
イヌイットの民話にもとづくらしいんですが、なんとも不思議なストーリーで、こういうのがいちばん観てない人に勧めるのがむずかしい。プログラムの作家コメントには「心ならずも骸骨を釣りあげてしまった漁師を語る、悲しくも美しいイヌイットの民話」とあるんですが、アニメーションの印象だと悲しくも美しくもないっていうか、むしろユーモラス。

もう一回見たいなーと思ってたんですが、賞はかすらず。

  • もう一回観たい度:★★★☆☆

ニブルス Nibbles

■前回の広島でも優秀賞を獲っていたChristopher Hintonさんの作品が作風も独特のスピード感もそのままに今年もエントリー(今年はアメリカから)。

このひとの描画って独特で、割り箸を鉛筆削りで尖らせてインクをつけて描いたような、インクぼたぼた描線カスカス、滲みも汚れもそのままというスタイルで、シンプル(というかかなりラフ)なキャラクタをものすごいスピードで動かします。よくこう、アニメのことよく分からない小さな子にパラパラアニメを描いてもらうと、マンガのコマみたいにフレームごとに話の展開を進めてしまって、パラパラしても速すぎてよくわからない、みたいな状態になりますけど、ちょうどああいう感じで全編進むのをイメージしてもらうと近い。

でもそれが、ちゃんと必要な動きとかタイミングを押さえていて、アニメーションとしてむしろ新鮮に映る(ちゃんとそのように狙っている)ところがすごい。この作品も優秀賞。これはまたどっかで観れるかも。

  • もう一回観たい度:★★★☆☆

ザ・トラムNo.9・ゴーズ・オン The Tram No 9 Goes On

■ウクライナ発のクレイアニメ。いわゆるモデルクレイじゃなくて、油粘土みたいな土色のクレイで、粘土ならではのユーモア(トラムの乗客がつぶれるとか、ちぎれるとか、それをまたくっつけるとか)がたくさんあった作品。おもしろかったです。

こちらも優秀賞で、最終日にもういっかい観られました。

  • もう一回観たい度:★★☆☆☆(2回見たので)

フランク Frank

■これはメディア芸術祭とかでもかかってるから有名ですな。日本の布山タルトさんの作品。ジム・ウードリングの世界を3DCGで再現してます。話の筋とかも漫画のとおりなんだとか。

コンペ後の酒場で杉浦茂もやるべきだ! とか言ってたんですが、もうやってるらしい…わかってんなあ。

  • もう一回観たい度:★★★★☆(杉浦茂のほうを)

ザ・トール・コレクター The Toll Collector

■アメリカのパペットアニメーション作品。ティムバートンを思わせるキャラクター造形と雰囲気あるアニメーションになってたんだけど、うとうとしてしまってぜんぜん観てなかったかも。

作品としてはいまいち、ときいてるんですが、そんなわけで再見してみたい。

  • もう一回観たい度:★★★☆☆

バッド・ボーイ A Bad Boy

■わりとふつうのカートゥーンっぽいロシア作品。両親が目を離したすきに家で悪さしてペットに罪をなすりつける系。普通におもしろかったです。

  • もう一回観たい度:★☆☆☆☆

メドレノイェ・ビストロ Medlennoye Bistro(Slow Bistro)

■ロシアの作品なんですが、どっちかっていうとエストニアのアニメみたいな、濃厚なナンセンスとブラックユーモアがただよった作品。大好き。

客がただただ料理を待たされる、という内容なんですが、その待たされる客が、なんというかカフカ的な変化を… これも観ないと伝わらないですね。

ぜひもう一度観たかったんですが受賞もなく、これはまた見る機会あるのだろうか…

  • もう一回観たい度:★★★★★

ロム・サンズ・オンブル L’Homme Sanz Ombre

■ガッシュかなにかで塗ったかのような重厚な画面が縦横無尽に変化していくという、アニメーションとしては特筆したいものがあった作品でした。ジョルジュ・Sという名前で有名な作家だそう。これはNFB(カナダ)発。

男が自分の影を売り渡すというストーリーと展開もおもしろくて、ぜひもう一回みたいな。NFBの作品なので、トリウッドとかで上映されたらいいなあ。

国際審査委員特別賞受賞。

  • もう一回観たい度:★★★★★

エアメール Air Mail

■フィンランドの人形アニメ作品。これもいい感じだなと思って見てたら途中寝てしまってあんまり覚えてません。おもしろかったらしいです。見たいぞ。

  • もう一回観たい度:★★★★☆

二日目以降もまた書きます。