土居伸彰『21世紀のアニメーションがわかる本』を読んだ

21世紀のアニメーションがわかる本 | 動く出版社 フィルムアート社


トークショーの前にと思って。アニメーションドキュメンタリーというジャンルの重要性の話など土居さんの前著『個人的なハーモニー』のおさらい的な部分もありつつ、本書の要旨である「21世紀のアニメーション」がどこに向かっているかいう議論はかなりアクロバティックというか乱暴ともいえる整理が炸裂していた。個別の作品の扱いがこれでいいのかという話は多そうだけど(僕はそこまで気にはならなかった)、「『私たち』の時代」の作品とは何かという定義については腑に落ちたというか、いわゆるポストインターネットの世界観とか、インディーゲームのナラティブとか、気になっているものを同じ枠組みで見ることができるんじゃないかと思った。

つまり『動物化したポストモダン』なんじゃないかという気もちょっとしたけど。


『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1』を観た

映画『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』


映画の日に。ダンケルクかベイビードライバーもっかい観ようかなと思いつつ時間が合わなかったので観れるやつのなかから選んだ映画だったんだけど、これは劇場で観てよかった。冒頭から30分ほどのテンションの高い新作パートの福眼感の高さと、アホかと思うような構成のTVシリーズ再編集パート。奇をてらっているというよりも純粋に作りたいものを精度高く作ったというベテランDJのロングミックスになってて楽しかった。

こっちのアクスペリエンス7MVのほうが作品の印象に近い


『クエイ兄弟 ―ファントム・ミュージアム―』を観た

クエイ兄弟 The Quay Brothers|松濤美術館


クエイってQuayって綴るんだな。そしてもともと東欧出身なのだろうと思ってたらペンシルベニア出身でフィラデルフィアの芸術大学を卒業後にRCAに進学したという経緯なのだそう。

アニメーション制作に使った小道具を再構成してジオラマにした「デコール」という展示が多数あって、それがおもしろかった。とくにレンズがはめ込んであってのぞき込むとマペットと舞台が迫ってくるタイプのがすごかった。ちょっとVRの感覚に近かった。

ストリート・オブ・クロコダイル

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片渕素直・浦谷千恵『この世界の片隅に 劇場アニメ絵コンテ集』を読んだ

株式会社双葉社 | この世界の片隅に 劇場アニメ絵コンテ集(コノセカイノカタスミニ ゲキジョウアニメエコンテシュウ) | ISBN:978-4-575-31187-7


映画公開後品切れになったあと、増刷されたというのでそろそろ買おうかなと思っていたらあっという間に書店のウェブストアで品切れになったのであわてて紀伊國屋本店に行って確保したやつ。ようやく目を通した(重くて持ち歩くのがつらい)。片渕監督絵もうまいなと思ってたら演出補で片渕監督夫人である浦谷千恵さんにカット意図とレイアウトを伝えて描いてもらいながら1カットづつ進めるという夫婦二人三脚スタイルでの絵コンテなのだそうだ。それどういう感じで作業するのかなー。監督が脚本→字コンテ(秒数計算)→浦谷さんに説明→コンテの絵を描く→修正、みたいな感じなのかな。それある意味コンテの時点で作品制作してるようなもんだな。実際あいまいな部分がまったくない絵コンテで、これを見て初めて演出について気づいた部分もいくつかあった。


土居伸彰『個人的なハーモニー ノルシュテインと現代アニメーション論』を読んだ

個人的なハーモニー ノルシュテインと現代アニメーション論 | 動く出版社 フィルムアート社


シアターイメージフォーラムのノルシュテイン特集上映で先行販売されてたのを買い、ゆっくりかみしめるように読み終えた。とてもよかった。個人制作のアニメーションにかぎらず、自分自身の感覚のみを頼りに現実とは別の「個人的な」世界を立ち上げる作品を創ろうとする作家にとって、この評論はそうした作品が持つ「個人的なハーモニー」のなりたちに関する論理的な支柱と、孤独にならざるを得ないその創作を進めるための勇気を与えるものになると思う。アニメーション研究という狭いカテゴリを超えて読まれてほしい本。



ゲンロンカフェ『佐々木敦 × 土居伸彰 アニメーション的想像力の現在:ノルシュテインから『この世界の片隅に』まで』を聴いた

アニメーション的想像力の現在:ノルシュテインから『この世界の片隅に』まで | ゲンロンカフェ


ゲンロンカフェ現地で拝聴。最初に土居さんの著書『個人的なハーモニー』の内容についての1時間にわたるかなり詳細な解説(佐々木さんが「急に学会発表っぽい雰囲気になってた」と言うくらいに)があり、そのあと自身が「アニメーションについてはまったくなにも知らない」という佐々木さんもたまたま観たという2016年の日本アニメ『君の名は。』『この世界の片隅の片隅に』あたりと本の内容との関連についてのトークになった。

『個人的なハーモニー』は僕は今読み途中だけど、どこを読んでも2016年のアニメ映画(土居さんは上記2作に加え『聲の形』も挙げていた)の内容と呼応するところがあり、実際「世界の片隅」という言葉は本の中でも使われている(土居さんは「売れるといいなと思って」入れたとおっしゃっていたけど、そもそもこうの史代作品が好きだということもあったとのこと)くらいなのだけど、でもこのタイミングでその関連を語るのはベタすぎるよねという感じもあるので、土居さんご本人からその件について聞けたのはよかった。土居さんとしてはとても勇気づけられる一方で、本来ひそやかなものとして受容されることしか考えられないような「個人的」なアニメーションと同質の要素が感じれる作品がだれも予想していなかったようなヒットになっている事態には恐ろしさも感じるとのこと。そりゃそうだよなー。他方でこのアニメーションの環境変化(とくに従来路線の個人制作のアニメーションを巡る状況は年々悪くなっているので)には対応する必要があるだろうとも。


『BLACKLAGOON』を観た

BLACKLAGOON | アニマックス PLUS


PS4の動画サービスアプリにあった「アニマックスPLUS」はてっきり有料のサービスなんだと思っていたんだけど、じつは無料のサービスでしかもPS4についてはかなりのアニメが全話無料で観られるのに気づいたので作品を探してみたら、『BLACKLAGOON』があったので観てみた。『この世界の片隅に』の片渕監督の脚本・監督作だけど作風がまるっきり違うと言われているやつ。

東南アジアでイリーガルな運び屋をする海賊チームをはじめとするならず者たちと、社会に裏切られそのならず者たちと行動を共にすることになった気弱な日本人がさまざまな事件で派手にドンパチするというB級映画テイストのバイオレンスアクションで、リアリティラインがちょっとパトレイバーっぽいなーと思いながら観た。片渕監督の良識派路線(『アリーテ姫』『マイマイ新子』『この世界の片隅に』)とは確かに距離あるなー。


『ユーリー・ノルシュテイン監督特集上映「アニメーションの神様、その美しき世界」』を観た

ユーリー・ノルシュテイン監督特集上映「アニメーションの神様、その美しき世界」


なんか観たことある気になってたけど実際はほとんど観たことがなかった(『キツネとウサギ』は観たことあったけど)ので観てきた。『霧の中のハリネズミ』と『話の話』は確かにすごい作品だなー。

土居伸彰『個人的なハーモニー ノルシュテインと現代アニメーション論』も買ってきたのでこちらも読んで噛みしめよう。


吉浦康裕『機動警察パトレイバーREBOOT』を観た

機動警察パトレイバーREBOOT - 日本アニメ(ーター)見本市


「本当にパトレイバーにそっくりなの、あの頃のパトレイバーにそっくりなの」

みたいな。でももやもやするなあ。

えーとえーと、たとえば、この完成度で映像じゃなくてゲームになるとかならうれしいかなあ。映像なら吉浦監督のもっと変な作品のほうが観たい。