A HAPPY NEW YEAR 2006

2006.jpg

■今年もよろしくお願いします。

http://dotimpac.to/happy/new/year/2006に年賀サイトを置くつもりだったのですが断念。なんもないっす)

ここに書くのは初めてになりますが、昨年12月からゼロベースに所属しましたよ。いまのところおもにインタラクションのデザインおよびプログラム係です。今年から本格始動という感じですけども、このサイトはこのサイトで引き続きわけのわからないエントリを書いて今年も「何の人だかわかりません」と言われるようにしていきたいものです。

ではよろしく。


情報収集のための11の質問に答える

情報収集のための11の質問に答えてみました。

RSSリーダーを使っていますか?(y/n)

はい。購読数は290くらい。

いまはFEEDBRINGERを使っています。

最初はbloglinesを使ってて、その後ちょっと前まではCEEK.JP RSS READERを平行して使っていたりしましたが、とくに意味もなかったのでFEEDBRINGERに一本化。新着はあんまりまじめに見ない(とくに英語圏のは)ので、極ヒマなときはだいたいおんなじフィードを入れてあるはてなRSSでそのときの新着を読み直したりします(はてなRSSは仕様が納得いかないのでメインでは使ってないけど、わりと個別の記事は読みやすいと思う)。

アンテナを使っていますか?(y/n)

はい。登録数114(かなり減った)

あるときRSSリーダで読めるサイトははずしたので。

ソーシャルブックマーク(SBM)を使っていますか?(y/n)

はい。MM/Memoをメインに。

あとはてなブックマークをバックアップ的に(del.icio.usにも同じブックマークレットで投稿してるけど、これはまったくメンテしてない)。

その他情報収集に使っているツールはなんですか?

mixiとか、webサービスの新着RSSとか。

mixiはコミュニティはあんまり入ってないけど、マイミクのみなさまの日記はいつも興味深く拝見してます。

あとwebサービスの新着RSSはわりとたくさん購読してます。これツール的ですかね。

それから自分用に、tracfeedとか、はてなブックマークの検索結果RSSとか。

他人にこれはお勧め!と思う方法は?

ブックマークレットは便利。

RSSリーダにしてもSBMにしても、ブックマークレットありきなとこがあると思うです。 ほかにもいろいろ(というほど使いこなしてはないけど)。

逆にこれはお勧めできないな、と思う方法は?

とくにないです。

情報収集で良く参照するサイトは?

MM/Memoのトップページはよく見ます。

はてなブックマークのホットエントリーにくらべていろんな情報が流れるのでおもしろい。 量もちょうどいいし。

自分のブログで良く言及・リンクするサイトは?

あまり人のサイトに言及してないです。

もちろん信用してたり楽しみにしているブログやサイトはたくさんありますが省略。

逆にここは参照してはいけない、と思うサイトは?

ないでしょう別に。

もちろん信用してなかったり軽蔑しているブログやサイトはたくさんありますが省略。

WEB以外で良く情報源にするものは?

雑誌とか

雑誌は大好きなのでなんでも常に読みます。立ち読みだけど。

最後にあなたが情報収集方法を知りたい人は?

情報収集の情報収集?

あんまり信用してないんですよね情報整理法とかアイデア術とか。 各人好きなようにするとよいと思います。


よく考えたらわりと遍在するJavaScript

■なんとなく僕も入門Ajax便乗企画。 いちおう貼っときます。まだ買えてないんですが。

■このあいだと旧友との飲み会で「JavaScriptが〜」というような話をdしてたら友人のacicくん(えーと、仕事ではサーバサイドJavaとかやってるひと)に「JavaScriptなんか使うほうが間違ってるっていう認識だけど」と返されて、うーん、まだそうなのかも。まだ汚名は返上されてないかも。と思ったところ。

ところでわれをひるがえってみるに、なんで今のAjax環境にわりとすんなり適応できてるかというと、よく考えてみると過去3年くらいでJavaScriptでいろんなものを作ってみていて、しかもいろんな(いわば)変態環境をとっかえひっかえするのに慣れていたので、「JavaScript(/JScript/ActionScript/などのECMAスクリプト系)はなんでもあり」というイメージがあったからではないかと思った。

なので、JavaScriptでなにができるか/なにを作ったかを、ここらで棚おろししてみます。

JavaScript+DHTML(Ajax)

■そもそもどのへんでJavaScriptをどっぷり使いはじめたかというと、じつはprocessingを使う前にJavaScript+DHTMLでプログラミングの授業をやってみた年があって(HTMLはある程度理解できるから、そのステップアップとしてなじみやすいんでは? という意図でした。結果的には挫折の道でしたが…)、そのへんじゃないかな。つまり3年前ですね。Ajaxより3年早かった! といえよう。早すぎた。当時はまだMacOS9の環境だったので悪名高いMacIEでいろいろしなきゃいけなくて、大変でした。

あとこの授業で使う画像素材をPhotoShopで加工するときに、アクションで無理なとこをJavaScriptでできるなーとかillustratorでも使えるんだーとか、そんなこともしてました。

BulletSurf/StickyWeb

■で、その授業のあとの夏休みで勢いでgenekistiScope(後述)のスクリプトを作って、そのあと作ったのがBulletSurf/StickyWebかな。「弾幕を避けながらアイテムをとりにいく感覚でポインタの動きを妨害するブラウザがあるといいんじゃないかなー」みたいなぼんやりしたアイデアをまんま作ってみた。内容的にはABAさんのBulletMLアプレットソース(.java)からのポーティングですな。あほなことしたもんだ。ちなみに当時よくわかってなくてBulletMLのxmlパースを自前(というかxparseっていうライブラリ)でやってたんだけど、いま考えるとMSXMLとかでふつうにDOMを操作すりゃよかったのかな。

当時得た教訓としては

  • イベントの互換性が超めんどい
  • DHTMLの座標操作が超めんどい
  • ブラウザによって動作速度が天と地ほど違う
  • でも実は、かなりなんでもできるかも

といったところだった(なので最近のJavaScriptライブラリは泣くほど便利でうれしいので、積極的に使っている。もう戻れない)。

当時はこの辺を参考にしていた。

kaiwarecotonoha / Calki ver.002 / Piccy

このへんは省略。

Photoshop / illustrator スクリプト

■あんまりやってるひとを(webで)見かけませんが、PhotoshopやillustratorなどAdobeのソフトはJavaScriptで制御できます。APIちゃんとそろってるし、デバッガもあるし、わりと使いでがあります。

Photoshopスクリプト

たとえばゲームなんかで使うキャラクタの回転パターンをPhotoshopで作るとして、レイヤーをコピーして単位角度で回転…というアクションを作って何回も実行すると画像が劣化して大変なことになったりします。なのでこれをするためのMakeRotImageというスクリプトを作ったりしました。

あとPhotoshopCS以前はレイヤーを別々にファイルに書き出すことができなかったんで、こういうふうに作った画像を保存するためのスクリプト(savaeEachLayers.js)なども作りました。それはまあいいか公開は。

illustratorスクリプト

illustratorスクリプトは、オープンキャンパスのワークショップで使った驚き盤のテンプレートを書くのを作ったりしましたな。illustratorのスクリプトは描画はほぼすべて制御できるのでかなり楽しいですよ。

GA的驚き盤作成スクリプト GenekistiScope(aiスクリプト版)

■で、驚き盤を作ってるうちに、自分は絵がかけないからなんか自動生成できないかなーと思って「ランダムに初期生成した驚き盤のパターンを選択して、Genetic Algorithmで適応進化させるスクリプト」というアイデアを考えて、illustratorのスクリプトを作った。これが2003年の夏。

レイヤーにパターンを複数生成して、illustratorのレイヤーの表示/非表示をスクリプトで判定して次世代パターンの適応に用いるという、なんというかillustratorのインターフェイスのハック的な利用がけっこう気に入ってました。おんなじように「export flash」という文字のレイヤーを表示してからスクリプトを起動すると、illustartorのSWFエクスポートを使って驚き盤がアニメーションするSWFが生成できたりもします。

Flash ActionScript

■で、順番的にいうと、JavaScriptをしこたま使ったあとにFlashのActionScriptを触りました。うわイベント設定とか座標指定が楽〜、でもタイムラインとシンボルがうぜー、あとスクリプトの動作遅くない? みたいな。

GA的驚き盤作成ツール GenekistiScope(flash版)

とりあえずillustratorのスクリプトなんかだれも使ってくれないので(プログラマーはillustrator持ってないし、デザイナーはスクリプトなんかに興味を持たないので)、flashに移植してみたのがこれ。かなりらくちんに移植できた覚えがあります。Flashがベジェ曲線を持ってなかったから自前で書いたりしたのがめんどかったくらいだったような。

flashはほかにもいろいろつくってますが省略。

WindowsScriptingHost(WSH)

Windowsは組み込みのJScriptでファイル操作したりCOMを利用してアプリケーションを制御できたりして、これはこれで使いでがあります。こういうのもけっこうやってる。

iTunes COM Interface

iTunesのCOMインターフェイスは充実しててSDKも公開されてるので、この辺をさわり始めたんじゃなかったかな。ようするにデジオ関係と、recommuni関係。

Amazonからアートワークを追加.js

調べたらADODB.Streamでwebでとってきたデータをローカルにファイル保存したりもできるってことで、アートワーク追加とかも作りました。

自分で作ったのはこの辺かな。けっきょくJavaScriptの開発であんまりテキストは買ってなくて、基本的にはwebのリソースを参考にしながら書いたという感じですね。だからだめなんだけど。

まだやってないけど – GraceMonkey / XUL / Konfabulator(Dashboard,GoogleDesktop)

■このへんもさわってみたいなーと思ってるんですが、上を見てもらえばわかるとおり、「これは誰もやってないだろう、しかも誰もやらないだろう」というアイデアが思いつかないと動かないので、まあそういうのが思いつけばーという感じですな。そのうち。

ほかにもあったら教えてくだされ。こう並べてみて思うのは、インターフェイスにちかいレイヤーを制御するのにJavaScriptは使われがちなんですな。

萌ディタ

■あとこれだな。JavaScriptで制御したりプラグインを作れるエディタ。こないだma.laさんが「最強。カーソル位置制御とかがバグっててエディタとしてはどうかと思うけど」っていってたよ。でもアルファギークがアルファなエディタを使わないでどうするという気もするので、むしろ使っていきたい! 僕はやだけど。


Piccy ver.001

piccy001.png

■先日公開したPiccyを、問題の修正や新機能を追加してバージョン001として公開します。

バージョン001では動作の不具合の修正と以下の機能を追加しました。

  • 管理者認証機能
  • 写真、フォルダ、タグへのコメント
  • GPS携帯からの位置情報通知、ロケーションタグ機能
  • GoogleMapsによるロケーションタグ一覧

サンプルサイトをごらんください。サンプルサイトはパスワード「guest」で管理者ログインできます。

■ロケーションタグとGoogleMapsAPIもフォトアルバムを考えていた当初からやってみたかったので、とりあえず作ってみましたがどうでしょうか。

ちなみに写真と位置情報については、以前増井”富豪家”俊之さんとお話してたときに(Wikiばなですな)、「位置情報と時間の関連データが取れてれば後からどうにでもなるんだから位置情報をいちいち写真に添付するのはナンセンスだ」という話をしてて、もっともだなーと思っていたので、そういうものをつくってみたいなと前から思ってたんでした。

■[追記]

Piccyとは

■Ajaxを採用したオンラインフォトアルバムです。 気軽に管理できてストレスなく閲覧できる画像ビュアーを目指して開発しています。

詳しくは以下の解説ページもごらんください。

ダウンロード

設置方法

  • 圧縮ファイルを展開する。
  • info.txt のadminpassを必ず変更する。
  • info.txt の site_name や url などを編集する。
  • index.rb 先頭行のRubyのPATHをサーバーに合わせる。
  • サーバに転送する。
  • dot_htaccessは「.httaccess」に名前を変える。
  • index.rb に実行属性を付加する。他の属性は良きに計らう。
    • data以下のディレクトリに書き込み属性が必要かもしれません。

サムネイル作成機能を使う

ImageMagick/RMagickを使用することで、画像のサムネイルを作成することができます。 デフォルトでは機能はオフにされています。

  • info.txtのmakethumnailをtrueにする。スペースで区切ってください。

    makethumnail true

  • ImageMagickとRMagickをインストールしてください。
     必要ならば、thumnail.rbのrequireのパスを変更してください

位置情報記録機能を使う

auのGPS機能のある携帯電話からアクセスすることで、位置情報のあるタグを使用できます。 デフォルトでは機能はオフにされています。

  • info.txtのlocationをtrueにする。スペースで区切ってください。

    location true

  • ezwebからpiccyを置いたURLにアクセスしてください。

    http://(自分のサイトURL)/index.rb?cmd=location

  • 位置情報通知ページが出ますので、「位置情報を通知する」をクリックします。
  • 位置情報をが得られればフォームが出ますので、場所の名前を入力して送信してください。
     (場所の名前は入力しなくてもかまいません)

※現仕様では位置情報通知は誰からでもできてしまいますので注意してください。

GoogleMaps機能を使う

GoogleMapsに位置情報タグをマッピングしてみることができます。

  • GoogleMaps APIのキーを取得します。
  • info.txtのgmapkeyをにAPIキーを入れる。スペースで区切ってください。

    location ABQIAAAAgf6OSxrgd3QJC98-sUWrXBT6rMgtMUOAl…

謝辞、同梱ライブラリについて

以下のライブラリ、モジュールを使用しています。関係者の開発と提供に感謝します。

動作について

  • 動作についてはFirefox1.0.7、InternetExplorer6で行っています。
  • Opera,Safariなどのブラウザでの動作検証は行っていません。問題がありましたらフィーとバックいただけると助かります。
  • 報告はこの記事のコメントなどにどうぞ。

ライセンス


@IT連載「Ajaxで作るインタラクティブWebアプリケーション」(1)

@IT:リッチクライアント&帳票フォーラムの記事を担当することになりました。全3回の連載第1回が公開されています。

実践的な内容のAjax記事が欲しいという編集者さんとお話をさせてもらう機会がありまして、Prototypeやscript.aculo.usを紹介しながら、PiccyみたいなAjaxアプリケーションを実際につくるプロセスを解説するようなものなら書けるかなということで今回の連載となりました。Ajaxの技術は細かなテクニックやノウハウは各所のブログで公開されているものの、アプリっぽいものを最初からつくっていくような記事はあまりないようなので(強いて言うとAjaxでエロゲーを作るブログとか? ほかにあったら教えてください)。解説読んでたいしたことないなーともっと面白いもの作ってくれる人が増えるといいなと。あと2回続きますのでよろしくお願いします。ちなみにサーバ通信は最後の最後(!)になる予定です。まだ書いてないですけど。

第1回の執筆時には以下の日記/ブログ/ソースを参考にさせていただきました。順不同で感謝。

そのほか多くのJavaScript/Ajaxハッカーの技術とあけっぴろげのソースにも感謝。

書き起こしのAjaxアプリの意義の考えかたについてはAjax で隠れた技術を表舞台に出すをヒントにしました。きまぐれ日記の工藤拓さんもちょうど作って理解するAjaxという連載を始めるようなので、どんな内容になるのか楽しみです。

あとあれだ、サンプルの画像が意味もなくシンメトリー写真なのはまあ気にせず。無難なのがなかっただけです。ほんとはオランダのサッカーチームの写真とかがよかったんですが。


Tropy(とろぴぃ)のことを考えている

■ご多分にもれず、Tropy(とろぴぃ)のことを考えている。Tropyとは、結城浩さんがつくり、つい先日公開されていたソフトウェアだ。サーバ負荷の問題があり、いまは稼動していない。

現在「お休み」しているTropyのことを記憶と想像だけで語るのはむずかしくあぶなっかしいのだが、それをしてみたい。たぶんおぼつかないので、間違いのないところは結城さん自身による解説を読んでもらったほうがいいだろう。

Tropyには「どこにも中心はない」、と結城さんが解説しているとおり、http://www.hyuki.com/tropy/ を開いたとき表示されるページは、毎回ランダムに決定される。だから、Tropyを見た多くの人が、じっさいに最初にどんなページを見たかはわからない。にもかかわらずそれなりに確信があるのだけど、興味をもってTropyのページへ移動した人が、最初にTropyのページを見たとき、みんな「はっとした」んではないだろうか。Tropyのページは、いままで自分がみてきたいわゆるwebページの「なににも似ていない」、と感じただろうと想像する。それはおそらく結城さんが、「なににも似ていない」ようにTropyを設計していたからだ。

しかし、その「なににも似ていない」Tropyが、初対面の仕事相手のように緊張を誘うものだったかというと、そうでもなかったはずだ。むしろ逆だろう。ここはやや大胆に言ってみようと思うけども、Tropyのページを見たとき、そのページに書かれたテキストを、「どこかのだれかが実際につぶやいているところ」をイメージしたんじゃなかっただろうか。Tropyのページには、どれにもちょうど「どこかのだれかの実際のつぶやき」分くらいの真実が含まれていたような気がする。その「つぶやき」を、ほかならぬ「どこかのだれかの実際のつぶやき」を聞くために、多くの人は「Random」のリンクを何度もクリックしてみたんだと僕は思う。そして、おそらくそれも、結城さんがTropyをそのように設計していたから、そうだったのだ。

Tropyを見て、べつに最初からこういうことを考えていたわけではない。「Tropyが何をしていたのか」を考えるようになったのは、すでにたくさん開発されているTropyクローンをひととおり見てからだ。それらは、同機能を実現しているという意味では間違いなくTropyクローンだった。のだが、それらの多くは、Tropyよりも、「Tropy以外の別のもの」に似すぎているように感じられたのだった。どういうことだ? と考えはじめたのは、それからだ。じっさいのところ、まだよくはわからない。

結城浩さんご自身によるTropy設計判断というメモが公開されていて、Tropyのいろいろな要素を、なぜそうしたのかがわかるようになっている。僭越ながらコメントをつけさせてもらうと、これらの判断そのものは、プログラムやデザインをする人なら、特にwebアプリケーションの開発者やwebデザイナーなら、だれでもやっていることであり、驚くところではないと思う。驚くべきはそこではなくて、結城さん自身が語っているとおり、開発の時点ではTropy(開発されていた時点では、まだ名前のついていなかった「それ」)が、いったいどういうものなのか結城さん自身にもわかっていなかったにもかかわらず、そうした自覚的な判断をしていたというところではないかな。

Tropyでは、書かれたページの全貌や関係を、できるだけ”把握させない”ように工夫されています。できるだけランダムに、できるだけバラバラに。

このような、Webの慣習に逆行しているようなページに、いったいどんな意味があるのでしょうか。

結城自身にも、まだよくわかっていません。

でも、あなたには、わかるかも。

たぶん結城さんは、そのページをみて、それがまだ「なににも似ていない」ことを目指して、それを見た人が「はっとする」ところを想像しながら、Tropyと名づけられるそれを作っていたのではないかと思うのだった。

■私見ですが、現時点で本家にもっとも近いTropyクローン「Fropy」をどうぞ。


胡口桂子「1円も儲からずにTシャツを作る方法」

■言うまでもない、のかどうか。この本、つまり「1円も儲からずにTシャツを作る方法—オンラインTシャツショップGbMの伝説」について語る前に、やはりオンラインTシャツショップGbMについて解説しなければならないのかもしれない。

GbMとは、Tシャツ業界に別段縁があったわけでもない漫画家で映像作家のタナカカツキ氏と、編集者でライターでタナカカツキ氏の知人であったコグこと胡口桂子氏が、1999年に突如立ち上げたオンラインTシャツショップであり、原則そのサイトでしか販売されていないオリジナルTシャツのレーベルである。「GbM」とは「Gin bako Money(ギンバコマネー)」を意味し、そのロゴがTシャツのボディにもタグにもでかでかと誇らしげにプリントされているが、その由来はここには書かない。くだらないので。GbMが本業でもないこの7年間の活動でラインナップしたTシャツは実に74種類、そのすべてにタナカカツキの描き下ろしイラストをフィーチャーし、そのすべてに通常では考えられない特殊な加工や多版プリントや刺繍をほどこし、そのすべてに高価な特色後染を含む節操のないほど多彩なボディカラーを配し、そのすべてにわざわざ毎シーズン違うオリジナルタグをぬい込み、そのすべてにいわゆる「こだわりのアーティストTシャツ」と呼ぶにはあまりにも控えめな価格を設定し、さして宣伝も営業もせず、自宅の部屋に在庫のダンボールを積み上げ、オーダーに合わせてTシャツをたたみ、フルカラーのカタログをバレンで折り込み、頼まれてもいないのにノベルティのステッカーを封入し、年が変われば年賀ダイレクトメールを郵送し、なおかつ1円も儲からなかった。それがオンラインTシャツショップGbMだ。そしてこの本、つまり「1円も儲からずにTシャツを作る方法—オンラインTシャツショップGbMの伝説」は、そんなGbMの7年間の活動を追ったネットビジネス書…、ではない。そうではない。ここからはその話だ。

僕の記憶が確かならば、初期のころGbMは「攻め型」のオンラインTシャツショップを自称していたはずだ。GbMは「攻め」なのだと彼らは言っていた。実際のところ僕はGbMの活動をそれほど知っているわけではないんだけども(Tシャツもあんま買ってないし)、この本を読んでGbMはいったい何をどう「攻め」ていたのかが、なんとなくわかってきた。こういうことだ。GbMはオンラインTシャツショップを自称し、事実そうであったにもかかわらず、「まるでTシャツショップではないのかのように」活動してきたのであった。それが彼らの言う「攻め」なわけだ。「1円も儲からない」とは、TシャツショップであるGbMが「まるでTシャツショップではないかのように」活動するための方法のひとつだ。

さて。この本でコレクションを一覧すればわかるとおり、GbMのつくろうとしているTシャツとは、ひとことで言えば「素の」Tシャツ、のようなものだ。なにかばっちりデザインされたカッコイイものとか、見る前からかわいいようなものは目指されていない。むしろ、古着屋のワゴンの底のほうに1枚だけあるような、どこのだれが作ったんだかわからないような、デザインの意図が読めない、でもどこか憎めない、自分がはじめて見つけた感じのするおもしろさを持った、そういったTシャツが目指されている。おそらくそんなオリジナルTシャツをつくろうとしているメーカーは世界で探してもGbMしかいないだろう。だって本来それは、オリジナルTシャツのデザインによって目指せるものではないからだ。GbMが「まるでTシャツショップではないかのように」活動する姿勢は、ここにもあらわれている。

そしてGbMがさらに変わっていることには、Tシャツを「デザイン」しないかわりに、そのTシャツの「ストーリー」を用意するのである。もちろんTシャツに印刷されたキャラクターに設定があるとか、そういうことではない。言ってみればGbMは、自分たちが作ったオリジナルTシャツを古着屋のワゴンに放り込んで、それを底から引っ張り出すわけだ。デザインの意図が読めない、でもどこか憎めない、自分がはじめて見つけた感じのするおもしろさを持った、そういったTシャツを発見したときについぼんやり思い巡らすようなエピソードやストーリーを、GbMはTシャツの「解説」として用意する。この本、つまり「1円も儲からずにTシャツを作る方法—オンラインTシャツショップGbMの伝説」にコグ氏は、74種類すべてのTシャツについてそれを書き下ろしている。この本の内容の大部分をしめる膨大な文章は、GbMのTシャツそのものとは特に関係のない、こういってよければとりとめのない、しかし驚きに満ちわけもなく輝く、自分がはじめて見つけた感じのするおもしろさを持った、夢物語のようなものだ。Tシャツショップの本なのに! 変わっている! と言わざるをえないが、GbMとは、そしてGbMの考えるTシャツとは、つまりそういうものなのだということだろう。

したがって、お分かりと思うが、つまりこの本「1円も儲からずにTシャツを作る方法—オンラインTシャツショップGbMの伝説」は、GbMの7年間の活動を追ったネットビジネス書…、ではなく、「まるでTシャツショップではないかのように」活動を続けてきたオンラインTシャツショップGbMの、最新の活動である。GbMは、だれも目指してないような「素の」Tシャツを、ふつうよりずっと丹念な手間をかけながら、7年間も作り続け、さらにはそれを誰かが見つけたときの74通りの気持ちまでも文章に綴り、いぜん1円も儲からないまま、なぜかそれを本にした。それがGbMというTシャツショップの「攻め」なのだと、彼らは言っている。

GbMの伝説は、おそらくまだ続くのだろう。


ギム・ドワイヤー&ケヴィン・フリン「9.11 生死を分けた102分」

ギム・ドワイヤー&ケヴィン・フリン「9.11 生死を分けた102分」を読んだ。ほんとうにすごい本だった。

■言うまでもないが、この本の言う「102分」というのは、2001年9月11日のワールドトレードセンター北タワーに、ハイジャックされたアメリカン航空11便が激突した瞬間から、2棟あったタワーが両方とも完全に倒壊するまでの時間を意味する。この本は、352名を数えるという生存者、犠牲者の家族や知人、および救助隊員らへのインタビューと交信記録をもとに、ワールドトレードセンターのその「102分」すべての瞬間において、何が起き、人々は何を判断し、どう行動したかを克明に報告しようとするものだ。2機の航空機がビルに突入し、爆発し、ビルに火災が起き、やがて倒壊した。死傷者や被害者の脱出のために現場は混乱し、救助隊がそれを助けた。そこまではすでに誰でも知っている。そうではなく、ビルの内部にいたある人物が、建物を襲った衝撃が93年のテロのような地下の爆弾ではなく、航空機の突入によるものだと知ったのはその瞬間から何分後だったのか。南タワーが倒壊している瞬間、北タワーで避難や救助にあたる人々のうちそれに気付いていたのは何人いたのか。誰が誰とともに行動し、誰が誰を助け、励ましたのか。何人がどうやって倒壊寸前のビルから脱出し、何人の救助隊員が誰と誰を救助したのか。そしてどれだけの被害者と救助隊員が、どういう状況で、倒壊に巻き込まれたのか。そういうことをこの本は明らかにしようとしている(もちろん、本に登場するのは被害者のごくごく一部でしかないのだが)。その作業のためにこの本の執筆には3年間が必要だったとされている。

■世界一のフロア数を持っていた2棟のビルのほとんどの階での出来事と、そこにいた被害者と救助隊員の状況と判断と明らかな限りの交信記録とを、 102分の時間に沿って並列させるという、とてつもない構成をこの本はとっている。事故調査委員会の報告書であれば、こんな複雑な構成は不必要だっただろう。けどおそらく著者らは、この把握が困難なほどの同時性こそが、当時のワールドトレードセンターで進行していた事態なのだと確信しているはずだ。混乱と絶望と恐怖、すれ違う報告と伝わらない重大なメッセージ、統率を失った組織の無力と個人の判断の力。こうしたすべてが9.11のワールドトレードセンターに交錯し、人々はそのすべてを経験した。その状況は救助に向かっていた警察官や消防隊員についても同様であり、彼らもある種の被害者であったというのがこの本の基調だ。倒壊寸前のビルの上層部へと、鎮火が不可能なことを知りつつ消火用の重装備をかついだまま、非常階段を使って一段づつ上っていかざるを得なかった消防隊員たちは、その時点で報告や指令を受ける本部とのチャンネルをほぼ完全に失っていたのだと著者らは指摘する。そのために比較的低層にいた隊員たちが、倒壊するビルから脱出できず犠牲になったのだと。9.11の悲劇は「911(アメリカのエマージェンシーコールナンバーだ)」の悲劇でもあった、というのがこの本の最終的な結論のひとつだろう。

■そしてまた、この本はワールドトレードセンターの物語でもある。テロリストに「資本主義の象徴」と呼ばれたこのビルは事実、経済効率のために避難路の確保や耐火構造の検証を極限まで、致命的なまでに軽視していた。40年前に建築法を改正してまで推進されたこのビルの建設は、そこに働く人々の生活を変え栄光のランドマークとしてマンハッタンの風景になっていた一方で、ビル中央に集中したたった3つの非常階段が同時に寸断された場合、上層居住者はどのように脱出したらいいか、といった想定をまったく考慮しないまま、「ボーイング707が激突しても倒れない」と謳っていたという。航空機が突入した階層の上にいた1500名を越す被害者は逃げ場を失い、地獄のような煙と熱に苛まれながら、崩れる床や天井に沈んだ。彼ら彼女らはその直前まで電話やメールで家族や同僚と連絡を取りあっており、その悲痛な声が記録に残されている。この本では、倒れるはずがなかったワールドトレードセンターの2つのタワーがなす術もなく倒壊する姿を何度も、タイタニック号の沈没に例える。二十世紀最大の悲劇は、二十一世紀最初の悲劇の教訓になり得なかったのかと。そしてこの悲劇の教訓こそは、後世に伝えるべきであると。


■ちなみにamazonのレビューに「訳が直訳に過ぎる」という評があるけど、僕はそうは思わなかった。入り組んだ構成を日本語の呼吸に組みなおした良質な訳だと思う。執拗なほどの描写の連続を直訳的だと判断したのかもしれないけど、これは原文もこうだったろうと思える。著者たちはすでに存在しないワールドトレードセンターとそこにいた犠牲者たちの102分を、1センテンスでも多く書き尽くそうとしているのだ。そうなるに決まっているではないか。



WikiBana Vol.5 に行ってきた

※今回写真撮るの忘れてしまった。会場のとなりの児童館は運動会をしていたらしく、割れ気味の音量でハッスル音楽がのどかに流れていました

■10月15日に品川は高輪福祉会館で行われた「WikiBana Vol.5」に参加してきました。Wikiに関心のある利用者・開発者が集まって話題を交換するフリートークイベント。Wikiそのものへの興味はもちろん、参加しているみなさんの雰囲気や、毎回ちょっとづつやり方を変えてよりよくしているスタッフの熱意も刺激的で、いつも楽しみにしているイベントです。僕は今回で4回目。

Wikiをめぐる3×29のキーワード

■毎回イベントのスタイルが変っているんですが、今回はひとり3つづつ自分がwikiについて気になっているキーワードを持ち寄って、4人のグループでそれぞれ自分の持ち寄ったキーワードを中心に30分程度ディスカッションをするというセッションを3回…というスタイル。30分てそんなに会話がもつかなあと思ってましたが、ひとり3つで4人ということは12個の議題がテーブルにのぼるわけで、それぞれにみんなでふたことみことコメントをしているだけで30分はけっこうすぐに過ぎてしまうものでした。時間が短いぶん集中できるのはよかった。

今回29人の参加者がいたので、87のキーワードが集まったことになるんですが、何人もの人が挙げていたBuzzWord(?)は「WikiSpam」「Wikiの移行、バックアップ」「Wiki記法/WYSIWYG機能」「javascript,Ajax」あたりでした。

dotimpctのポジションペーパー

■ちなみに僕がもっていったキーワードはつぎの3つ。

1)「その場で編集」機能とWikiページの再編集

CalkiにAjax機能を入れたときに思った、wikiページの再編集支援機能があるといいなという話。この記事の最後らへんに詳しく書きました。

「たとえば今のwikiで2つのページをまとめようとすると2つのタブにそれぞれのページを編集状態にして、もうひとつのタブに新規作成ページにコピペしないといけないじゃないですか!」という例を出したら、けっこううなづいてもらえました。

2)どこまでもスクロールできる掲示板、落書き帳

こどもてれびの掲示板とか、ショウジ氏のおえかき掲示板 http://childtv.org/fbbs/ (いま停止中) http://bater.biz/bbs/ を見て、これってwikiかもなーと思った話。具体的には、これらのフリースクロールボードに、座標やオブジェクト間のリンク機能があれば、もうほとんどWikiといえるんじゃないかと。範囲指定してその部分にtagをつける、なんてのもよさそうだなー。

こういうフラットなページになってると、あるページを見ていてぜんぜん違うページが目に入ってくるのもおもしろいかもね、なんて話も出ました。

3)SNSコミュニティにwikiを

ていうかmixiのコミュニティの掲示板って雑談しかできないよね、という話。SNSコミュニティって生産的なコミュニティになる可能性は高いのに、それを支援する機能がないのはもったいないなと。しかもそれをSNSだけでなくオープンコンテンツとして公開できるとなおいい(SNS側から見えないページや、コミュニティメンバーしか見えないページもあってもいいし)。

ちなみにこの話にただただしさんから「それってはてなグループなのでは」とツッコまれたので、「でもはてなグループはダイアリーとの差別化でクローズなコミュニティになりがちですよね」という話をしたところ「確かに以前はその傾向はあったがモヒカン族グループあたりからオープンコミュニティの場になりつつある」という(モヒカンらしく容赦ない)反論をいただきました。たしかに…でも参入の敷居とその後のレスポンス(いまのmixiみたいに新着ページが見られるとか)を考えるとSNS経由というのはいいと思うんですけどどうでしょうか。

懇親会

■全体ディスカッションで中心的な話題を総括しつつ、イベントがお開きになった後は恒例懇親会にも参加してきました。こちらも面白かったです。参加できてよかった。

スタッフのみなさんはお疲れさまでした!

本編や懇親会での面白かったことメモ(思い出したら追加)

  • たろう使ったら負けだと思ってる」発言

    • これどこがおもしろいかというと、たろうさんはS式インタプリタを搭載してweb上でアプリを開発しようと思えばできる! というある意味Web2.0を先取りしたClockWorksというWikiエンジンをずいぶん前から開発されてるんですな…たろうさんの時代キター、というわけ。
    • ほんとのところはたろうさんが言ったというよりnagayamaさんが言わせてたんですが

  • いかにもモヒカン族的な模範解答を「モヒカン回答」と呼ぶ

  • あいまいな部分やだれかに内容を埋めて欲しい部分にフォームを作って簡単に追記してもらえるようにする「Fixme!」記法ってどうかな?
  • ももなさんのお話。引越しの膨大なTODOを管理するのにCheck*padを使用したら、技術に明るくない奥さんにもちゃんと活用してもらえたとのこと。そこでたださん曰く「そう! 引越しとWikiは合う!」
    • たださんも最近新居に引っ越したときに、wikiを活用したとのことでした。
  • 60秒くらいのループにだれでも音声を多重録音(古い音はボリュームが下がる)できる「声のwiki」podcast(otsuneさん発案)これはオモシロそうだなー。

いままでのWikiばなの感想