セバスチャン・ローデンバック『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』を見た
ユーロスペースで。もっとスタイルで押す感じの作品を想像していて、物語を丹念に追う映画的な作品だったのに驚いた(公式サイトの片渕監督の推薦文の通り)。淡々としていながらも退屈するところもない見事な作品。
アニメーションとしても見たことがない仕上がりで、こういう筆タッチのラフな絵を動かすとなるとフェードでつないだ紙芝居的なものか逆に非常になめらかに動かすかのどちらかのものになりがちだったと思うんだけど、この作品だと印象としては「動き始めると線が消える」というような不思議な感覚があった。『この世界の片隅に』や『かぐや姫の物語』との相似性は言うまでもないけど、フレデリック・パック『木を植えた男』もなんとなく想起した。あと筆タッチからの単純な連想だけどこのスタイルで『大日本天狗党絵詞』とかアニメ化してほしいな。