よしながふみ『大奥』を読んだ
ゲンロン8のサイン会中継で激賞されてたので読んでみた。完結してるんだと思ってたらしてないのね。
どういう話かはなんとなく知っていたとはいえ江戸幕府のこともよく知らないしBL系の作品も読みつけないので最初かなり混乱したけど、だんだんと慣れて内容に没頭できるようになったらおもしろみが理解できるようになった。読んでみてわかったこととして、この作品の設定(ジェンダーロールが逆転した時代劇)やBL的な(といっていいのかよくわからないけど)恋愛描写の必然性に、漫画の記号性が関わっているんだなと思えた部分があって、服装や髪型での差別化が困難ななかで極めて微細な記号の差異で描き分けられるこの漫画のキャラクターの世界において、社会のなかで男女の立場が逆転するに至るSF的な考証とは別のレベルで性別は容易に反転しうるしもっというとあるキャラクターと別のキャラクターも容易に混同しうる、そういう不確定性もふくめたかたちの「恋愛」が描かれているんじゃないか。歴史が好きな人にはもうちょっと別の文脈があるんだと思うけどそんなことを思った。