Unityで授業をする


担当していた講義が2017年ですべて終了することになって、これで十数年つづいたセンセイ業も終わりだなーと思っていたところ、年度末も押し迫ったころにガビンさんから手伝ってもらえないかという依頼があり、もうちょっと続くことになった。

これまでと違うところはUnityで授業するとこで、僕からは授業内容としてこれまで自分がやってきたのに近いプログラム演習よりの企画案(Chrome拡張を作ってWebをいじるみたいな)を出していたんだけど、昨年度やったUnityの授業が予想以上に反響があった(卒業制作にUnityを使う学生が出てきたりとか)とのことで、昨年度の授業の流れを引き継ぐ形で授業をやることに。ちなみに昨年度担当していたのはsartoruhiga先生で授業テキストを大幅に参考にさせて(というかほぼパクらせて)いただきました。最初に学生にやらせる演習が3DTextの数字を3次元空間のいろいろな向きに配置したサンプルシーンを配って「数字が正しい向きでシーンの真ん中に見えるように視点を操作しよう」というものになっていて、チュートリアルとして素晴らしかった。

昨年の授業の流れがあるとはいえ僕はUnityまったく触ったことなかったので大丈夫かなと不安だったんだけど、触ってみれば、これいまさら言うまでもないことなんだろうけどUnityはたいへん素晴らしいソフトで、コンピュータがそれほど得意でない学生にデジタルベースの作品をつくってもらう環境としてかなり可能性があるものだということがわかった。よいところいろいろあるけど(非商用無料だとか、機能がフルスタックだけどそこそこわかりやすいとことか)、美大の学生の授業という観点でいうと、Unityは「素材を用意(制作)する」という工程をスキップしてもそれなりの作品を仕上げていくことができる環境になっているという点が大きいんじゃないかと思う。学校や学科でだいぶ違うだろうけど僕の知る限りで、すくなからぬ美大の学生は「プログラム作品に素材(絵)が必要」となると全体の進捗そっちのけで(とくにプログラムに苦手意識があったりすると逃避にもなるので)絵をつくるのに没頭してしまうところがあるんだけど、Unityはシーンにプリミティブや標準アセットを配置して質感や反応を設定していくだけでも彼(女)らの創造性を発揮できるツールになっていて、「自分の素材」から出発しないぶん工夫が生まれて結果的に新鮮なものが生まれやすくなるように思う。もちろんUnityというパワフルなツールに使われてしまうという問題もあるし、それを超えるためにプログラミングについて知ってほしい(今回の授業ではほとんどプログラミングについては触れられなかった)というのもあるけど、そこは今後の課題。

授業テキストには 去年に続きScrapboxを使った(今回は僕が作ったのを学生は閲覧のみ)。GUIツールの操作説明はGyazo GIFがいっぱい使えるのは便利。

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