『赤瀬川原平の芸術原論展』図録を読んだ

展覧会カタログ - 赤瀬川原平の芸術原論展/1960年代から現在まで - 広島市現代美術館

『赤瀬川原平の芸術原論展』図録ようやく読んだ。ウィリアム・マロッティさんの評論『オブジェを持った無産者:1960年代における赤瀬川の政治性ポリティクス』がよかった。赤瀬川の初単行本『オブジェを持った無産者』所収の(千円札作品以前に描かれた)短編「あいまいな海(初出時タイトル「スパイ規約」)」についてその記述にみられる思想の政治性と作品との関係を論じ、つまりいわば赤瀬川がれっきとした“思想犯“であることを明らかにする評論で、なんというかUCLAの研究者の空気を読んでない感じが逆によかったですね。あるいは赤瀬川さんについて語ろうとする人は赤瀬川さんのようであろうとしすぎてしまうきらいがあるかもしれないなと。

 革命的な、あるいは破壊的な効果のたえには、ニセモノをシステム内に流通するだけでは十分ではない。それでは既存の枠組みを複写するにすぎない。肉体を標的にするため、発射音のうるさいピストルであえて自らを露呈するスパイのように、革命的偽造者はその標的――肉体と精神、およびそれらを構築するシステムの一部である紙幣――を露呈するために、あえてニセとわかるニセモノを使い、それによって人々と、彼らをシステムの中に取り込む手段を変革しようとするのだ。

ウィリアム・マロッティ - オブジェを持った無産者:1960年代における赤瀬川の政治性ポリティクス