青柳菜摘『黒い土の時間』を読んだ

青柳菜摘「黒い土の時間」 | 黒い土の時間


装丁国語の教科書っぽいなと思ってたのでランドセルの上で撮ってみた

kotaro tanakaさん(@doppac)がシェアした投稿 -


箱を開いた。ゆっくり箱を開いた。

家の中で飛び立つと大変なのでトイレの蓋を閉めドアを閉め、トイレをテーブル代わりにして箱を開いた。ゆっくり箱を開いた。小皿の上の半分に切られた巨峰の匂いがさっきまで篭もっていた匂いを放つ。日本酒を垂らしてあるからか熟した匂いが立ち込める。体を少し右に傾け、黒く墨を流したような、光を受けると青みがかる翅を下に向けている。裏側の少し地味な模様が見えた。

という冒頭ですでにしてふくらんだ僕の期待はすこしも裏切られず、最後まで興奮しながら読み終えた。ほんとうに素晴らしい。この小説にふれて息を吹き返した気持ちや感覚を自分の観察箱の黒い土に埋めておこうと思った。

なので「これは…」と思ったひとは間違ってないのでさっさと上のリンクから注文して読もう。あ、王子にあるコ本やという本屋でも売っているそう。


Duang-Daao『ドゥアン・ダーオのトムヤムクン』を読んだ


ドゥアン・ダーオのトムヤムクン』 Duang-Daao著


初めて判型実寸のブログパーツ使ってみるけど、この本はBCCKSのレイアウトを使いこなしてとても美しい魅力的な本に仕上がっているのでこの見開きリーダーをPCで読んでみてほしい。上の「タチヨミ」から。

しかもデバイスサイズにしてもきれいになってるとこもいい。


ドゥアン・ダーオのトムヤムクン』 Duang-Daao著

種明かしするとこの本を作っているのはBCCKSの開発にも参加している鍵っ子が作った本なんだそうで、BCCKSの機能を使いこなしてあるのは当然といえば当然なんだけど、それだけでもなくて、編集者やブックデザイナーでなくても「こういう本にしたい」「読者にこういう気持ちになってもらいたい」という意図が明確にあればそのような本がつくれるということだと思う。『犬ウォーターメロンシュガー』のぶつ切りにした生魚みたいな乱雑さも個人出版本の痛快さではあるけど、他方でこういう魅力的な本が無料プラットフォームで作れるんだヨということも主張していきたい。

作りのことばっか言ったけど内容もいいんだよなー。タチヨミ以降のとこではトムヤムクンのいろいろなレシピはもちろんのこと、トムヤムクンに捧げられたマンガや小説もあれば、日本で出版されているタイ料理の本10冊12レシピから、材料や分量の平均を求めた「日本の平均のトムヤムクン」(!)レシピ、タイのみそ汁とも呼ばれるトムヤムクンと、日本のみそ汁の境界を探るため、みそ汁にレモングラスやパクチーといったトムヤムクンのスパイスを混ぜていき味わい、それに「トミソシル」みたいな中間状態の料理名(!)をつけていくという「みそ汁とトムヤムクンの境界を探ろう」ワークショップのレポートまで。本の概要からはまったく予測もつかない素晴らしい内容。電子版400円でいろんな味が楽しめる本。

BCCKS / ブックス - 『ドゥアン・ダーオのトムヤムクン』Duang-Daao著


ロロイ『塔』を読んだ


』 ロロイ著


不思議な塔を上っていく、という体の超超短編集。電子書籍のショートショート集をスマホで読むとそうそうこういうのでいいんだよなーと思うけど(BCCKSだとヨシカワシオさんの『懐中小話』もいい)、このロロイさんの『塔』は「不思議な塔の各階の描写」というルールになってるのが本全体としてもフレッシュでとてもいい。ショートショート版『100かいだてのいえ』っていうか。ちょっとゲームブック感もあるし。

他の人もこのルールで本をつくったのも読みたい。


吉田棒一『犬ウォーターメロンシュガー』を読んだ


犬ウォーターメロンシュガー』 吉田 棒一著


かなり前からBCCKSでエッセイというかなんというか、ひとことでいうと「テキスト系個人サイトの文章」みたいなのを出版されている吉田棒ーさんの新作。「テキスト系個人サイトの文章」みたいなのが好きな人なら間違いなく楽しめるし、「テキスト系個人サイトの文章」みたいなのが好きな人はもう結構な年なんだからこういうものにちゃんと324円払ってほしい。

僕はBCCKSの電子版で読んだけどまったくもって頭から順番に読んだりするタイプの文章ではないので紙の本でトイレとかに置いて雑に読み始めて適当に閉じるくらいのほうがいい。紙本はこちらのその名もチンポシステムズ出版で1200円で買える。


牧野武文『レトロハッカーズ』

レトロハッカーズ合本第1集
牧野武文 (2013-05-16)
売り上げランキング: 31,468

THE ZERO/ONEの『ハッカーの系譜』という連載がおもしろくてちょっと前にひととおり読んでいた。著者の牧野武文さんといえば僕は横井軍平さん関連の本を書かれてた方だなと認識していたんだけど、調べてみたら90年代から活躍されているテクニカルライターさんだったのね。で、『ハッカーの系譜』と同じ系統の電子書籍を『レトロハッカーズ』シリーズとして販売されているのを知ったので順番に読んでいる。

『レトロハッカーズ』は雑誌『ハッカーJAPAN』で連載されていたコラムをKDPでセルフパブリッシュしたものだそうで、バベッジ、エニグマ暗号、ニコラ・テスラといったいかにもな「ハッカー」はもちろん、伊能忠敬や早川徳次、三億円事件についてなど、ある種の技術の持つパズル的な側面と、そうしたものに惹かれる好奇心旺盛で大胆な発想を持った人々を分野を問わず紹介するという内容。鉄道、軍事、歴史などその手のマニアにとっては有名な話が多いのかなと思うけどさまざまな分野から「レトロハッカー」のウンチクが語られていてとてもおもしろい。いま合本版を4巻まで読んだところだけど、コラムごとに分冊もされてるので気になる話だけ探して読んでもいいのかも。おすすめです。


BCCKSでマメ本のすすめ

写真は波野發作『ストラタジェム;ニードレスリーフ Vol.0』のマメ本版

BCCKSの新しくなった紙本をみなさまにぜひ見ていただきたいということで、カラー・モノクロ問わず全てのタイプ(書籍、カードブック、マメ本)の自著紙本の価格を1/10まで15%割引するキャンペーンを始めました。

【15%オフ!】紙本キャンペーン実施中(自著全タイプ対象) :: BCCKS情報局

新しくなった紙本の仕様の詳細については公式のお知らせ弦人さんのfbに譲りますが、メインで使用するオンデマンド印刷機が変わり、それに合わせて使用する紙が変更になりました。一般にオンデマンド印刷機は印刷のキメやカラーでの色再現がオフセット印刷の印刷物と比べるとどうしても見劣りしてしまう(ちょっとカラーコピーぽいというか)ところがあるため、BCCKSの紙本ではあえてラフでやや黄味の強い紙を使うなどいろいろな工夫で「いかにもオンデマンド」と思われない仕上がりになるようチューンしていたんですが、新しい紙本ではシャープな印刷を生かす紙を選びなおしてあります。ぜひ仕上がりを見ていただきたいです。

でさて、今回の紙本キャンペーンでは初となるカラー書籍やカードブック(カードブックは裏に印刷がなく1枚づつはがせる仕様なので年賀状…は間に合わないけど寒中見舞いに使うちょっと凝ったポストカードを作るのもありです)も目玉なんですが、ここはぜひ「マメ本」をおすすめしたい。これも割引セールは初。

紙のブックスにかわいい「マメ本」登場! :: BCCKS情報局

「マメ本」はBCCKSの書籍タイプの各判型(文庫、新書、10インチ、A5変形)を高さ100mmに縮小した特殊な判型で、だいたい手のひらに収まるかんじのかわいいサイズになっています。豆本的な本を印刷製本するサービスは調べるといろいろあるようですが(アクシス出版の豆本セットとかBeanstagramとか)、価格的にも内容の自由度的にもBCCKSのような形で提供されているサービスは他にあんまりないと思います。ちなみに本のデータは通常の書籍タイプの本を編集して(128ページ以内の制限がありますが)マメ本として発注する形なので、ふつうのサイズの本としても注文できます(し、同じデータで印税を乗せて有料の紙本として販売開始したり、電子本として無料/有料で公開したり、国内主要電子書籍ストアに配信したりできます)。

マメ本はダース(12冊)単位の発注で、モノクロ48ページの本なら3,000円のところ、キャンペーン中は15%オフで2,550円。1冊当たりだと212.5円(税込みだと229.5円)。「12人に配る手のひらサイズのオリジナルコンテンツ」を作ってみる遊びとしても悪くない値段ではないでしょうか。キャンペーン期間はちょうど年末年始の休みでもあるので、この機会にどうぞ本づくりをお試しいただけると。