「紙のBCCKS」をリリースしました

Paperbccks

■ようやく…、って書き出そうとしてエディタ公開のときもそう言ってるのに気付きましたがはやりようやく、BCCKSでつくった本が、ワンタッチでそのまま「紙の本」として印刷製本することができるサービスその名も『紙のBCCKS』が昨日未明にサービスインしました。詳細はまだあんまりどこにも書けてないです(すいません)。やや堅苦しいですがサービス概要に本の仕様とか価格とかの情報はまとまっております。単価については「買う本」の値段としてはちょっと割高に見えるかと思いますけど、「作る本」としてはかなりがんばった値段にしてあります。

紙のBCCKSのためにバージョンアップされた本のフォーマットと紙本の自慢ポイントなんかはこちらの本『書籍002参考書』にまとまっております。あと自分の紙の本をつくるためのサンプルとしてこの本を再編集した「紙の本見本」を買いやすい値段で販売する予定(もうすぐ)なので、それが出たらぜひ買って手に取ってみていただきたいです。

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■「紙のBCCKS」はいちおうニュースリリース的には「電子書籍を紙の本に印刷製本するサービス」という言いかたで紹介することになっているんですが、今回開発に関わってきた僕(ふくむBCCKSチーム)からすると、逆にむしろこの「紙の本」こそがアーキタイプで、このかたちの「本」をだれでも、どこでも、つくって読める環境を実現するために外堀を埋めるような開発を続けてきたというべきではないかという印象があります。先日のマガジン航『本は、ひろがる』リリース記念公開鼎談で弦人さんが言ってたこと(「ページ数が決まってると埋めたり削ったりしたくなるから内容が締まるはず」という発言がありました)になるほどと思いましたけど、ひとつの「紙の本」という形も量も固定されたアンドゥーの効かない形に書き出される、あるいはそのような可能性を持たないと、そのコンテンツらしくあるべき外形が意識されず、そのコンテンツにあるべき価値も生まれず、そのコンテンツにお金を払う気にならない、といったことは往々にしてあるわけです。そういった意味で、「紙のBCCKS」というサービスが「本」とよばれるコンテンツをつくるための「計量カップ」になったりするとおもいろいなーと思います。ぜひためしに使ってみてくださいませ。


第22回HTML5とか勉強会で発表しました

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■依頼いただく縁がありまして、第22回 HTML5とか勉強会で「Processing.jsってなんだ?」というタイトルで発表をしました。こういった発表はひさしぶりだったり準備不足だったのもあり個人的には反省しきりで見ていただいたかたがた(USTやってたのもあとから知りました)にお楽しみいただけか心配なのですが…ひとまず資料を公開しておきます。

  • [第22回 HTML5とか勉強会発表「Processing.jsってなんだ?」発表資料][1]
    • ChromeまたはSafariでご覧ください(bccks readerと同じものです)
    • キー(カーゾル←→/jk/np/スペース)でページが進んだり戻ったりします
    • processing.jsのまざったページは最後のとこにあります
    • 宮沢賢治「雨ニモマケズ」のテキストは青空文庫から転載させていただきました

発表内でこのプレゼンシートもBCCKSでつくってます、というようなことを言ったのでやや誤解されてしまったようですが、BCCKSのサービスでプレゼン資料に向いたデータ作れたりするという意味ではないです。Keynoteでつくったページを画像に書きだして、見開きの画像として貼り付けただけですのであしからず(もちろんそういったスタイルをつくることもできそうですが、BCCKSはそういうサービスはしないかな…)。

あと発表の最後におまけで見せたProcessing.jsをページに埋め込むものも僕が勝手に実験としてつくったものなのでBCCKSでそういった機能ができるというわけはない、ということを念を押しておきます。

[1]: javascript:window.open(‘http://dotimpact.heteml.jp/work/html5/reader_b6.html‘, ‘第22回 HTML5とか勉強会発表「Processing.jsってなんだ?」’, ‘width=944, height=688, menubar=no, toolbar=no, scrollbars=no’); return false;


あたらしいBCCKSエディタでだれでも「本」が作れるようになりました

Editor

■ようやく、というほかないのですがようやく、長らく開発していたあたらしいBCCKSで本を編集・出版するためのブラウザ上エディタを一般リリースしました。6月の発表会でのロードマップからはやや遅れつつも、無料ユーザーがだれでも本を編集・発行でき、そうして出版された本をだれでも好きな方法で快適に読むことができる、というあたらしいBCCKSのサービスのコアが立ち上がったことになります。今後も有料出版機能とかプリントオンデマンド機能とか進めていて間に合ってない機能はたくさんあるのですが、ひとまずいろんなかたに本を出版してみていただければと思います。

  • http://bccks.jp/
    • BCCKSのサービス概要はこちらのFacebookページがわかりやすいです
  • 本づくりの参考書
    • BCCKSエディタで作れる本のフォーマットの紹介や、編集のヒントをまとめた本です。
    • BCCKSエディタをはじめて使うさいに参考になるように、この本は自分の書斎でコピーして編集データをのぞけるようになっています。発行された本と見比べて参考にしてみてください。
  • BCCKSでの本の作り方ムービー
    • BCCKSエディタの使いかたをまとめた動画です。やや長いですが、エントリ単位の文章の編集やジャケットの作りかた、発行までの操作を順を追って紹介しているので、エディタの使いかたがよくわからないときは観てみてください。

■僕はWeb用リーダーに引き続きエディタのJavaScriptによるUI一式と編集関連のバックエンドの開発を担当しております。いま世の中にある電子書籍出版Webサービスの多くは(たぶん)ブログエンジンベースで、各ページの編集はいわゆるブログエントリーを執筆するのとほぼ同じUIが採用されていますが、BCCKSではより「編集」という作業にフォーカスするために、むしろTogetterStorifyの編集画面に近いアプローチで、テキストや画像のエレメントを並び替えたりスタイルを変えたりしながらプレビューページを自分の意に沿うよう変化させていく編集作業ができるエディタUIを果敢にもゼロから構築しました。エディタ画面をみてただけるとわかるのですが、今後エディタ右端に検索ペインが追加され、twitter、facebookほか自分の他サービスコンテンツや、転載許諾されたBCCKS内のエントリを本に自由に取りこめるような仕組みを導入してく予定です。

これまでのBCCKSには直感的に操作できるという意味では非常に優れたエディタがあり、それと比較して今回のエディタに違和感がある方は多いでしょうし、通常のブログエディタのようにテキスト修飾や画像挿入が自由に出来たほうが楽だという意見もありそうで、もちろんBCCKSとしてもこれ以外ないと考えてるわけでもないのですが、縦書きベースのリフローコンテンツをWeb技術で直感的に編集するUI、というのは世の中的にもかなり前人未到で、すぐにでき上がったりしないだろうなとも思っており(最終的にはInDesign on Webでいいのかもしれませんが、縦書きのインライン変換をはじめとする技術的な難関もふくめ開発パワー的に無理なので、今回はとにかくInDesingを目指したら負け、というスタンスで進めております)、ひとまず形になってある程度快適に使えるエディタを仕上げたのでいろんな人に触れていただいて意見をいただければなーと。個人的には先行モニターとしてつかっていただいた suge™ さんの「はじめてHTML覚えて、emacsで書いてはブラウザで確認って繰り返してwebのレイアウトをちまちまいじってた頃の楽しさがある。」という意見に共感しつつ、やや手間はあっても手をかけたデータが「発行」される小気味よさを伸ばしていけたらいいなと思っています。

ちなみにjs的にもDnD API / File API / FormData Post / textareaダイナミックハイライトなどなど、できそうなことはなるべくつっこんだ感じのつくりになっておりますので、試しにでも触っていただけるとうれしいです。


『Processing アニメーションプログラミング入門』(技術評論社 7/15発売)を書きました

■なんどか版を変えつつご愛顧いただいているtakachin君との共著『Built with Processing』(BNN新社)につづいて、こんどは技術評論社からProcessingの本を出させていただくことになりました。今回も「プログラミングはしらない、むしろ苦手、でもプログラムでできる表現は興味あるし、むしろやりたい」といったかたに向けた入門書となっています。7月15日(あたり)発売です。



Processingの入門書というどうにも狭いジャンルで同じ著者がなんさつも本を出すのにはわりと抵抗感があったのですが、編集さんからのすすめもあり、BwPではできなかったことをふくめ、スタンスや打ち出しを変えた別のかたちの入門書にできないかなというのが個人的なチャレンジでした。具体的には、つぎのような方針を立てました。

  • CD-ROMにサンプルプログラムを付属し、未完成のひな形プログラムを読者が修正・追加してサンプルを完成させながらプログラムを学んでいくレッスン形式の構成にする(これは編集さんのオファー)
  • 本の最後の段階で、あるていどの規模からなる完結した(「作品」と呼べるくらいの)プログラム作品が完成する
  • 各ステップでのサンプルプログラムは、最終的にできあがるプログラム作品の途中段階としてそれぞれで完結したプログラムにする
  • プログラムの説明をするためだけの便宜的な章やサンプルプログラムを〔極力)用意せず、すべてのサンプルや解説を最終的なプログラム作品の部分として機能するものとして構成する
  • オブジェクト指向を実践的に盛り込んだ内容にする
  • 個性的なイラストレーターを起用して、本文図版やサンプルプログラムの素材をたくさん用意して楽しい紙面にする

みたいな感じです。

ゲームプログラム本などではサンプルのゲーム作品をひな形サンプルから完成させていくような内容の入門書がよくありますけども、だいたいは序盤でプログラムの座学をへて、(それとは分離された)実践編にうつる感じの構成のものが多いみたいでした(ちがうのもあったらすいません。教えてください)。そうじゃなくて、「ゼロからプログラムを学びつつサンプルを打ち込んでいると、いつのまにか作品が完成する」みたいな本ができないかなーというのが考えていたところでした。いやそれはさすがにムリなんですけども、ひとつのパターンとしてゼロからはじめてあるていどの規模のプログラム作品を完成させるプロセスが疑似体験できるような内容にはできたかなと思っています。

で、どんな感じのサンプルを作る本かというと、こんな感じです。


ご覧いただいて明らかなとおりで、今回はサンプルプログラムのキャラクターデザインや本文図版制作などを土壁綾さんに全面的にご協力いただきました。 土壁さんの不思議ビビッドイラストがサンプルや本文に満載なのでこれだけでも新鮮で楽しい本になっております。内容的にもBwPではあまり盛り込めなかった図解を多くしてとっつきやすくしたつもりです。

冒頭の方針を満たすステップの構成とサンプルの内容のすり合わせがかなり大変で、サンプルを修正するとその後のすべてのサンプルに影響するあたりが地獄だったりして(震災の影響も多少あり)、当初去年の夏に出すはずが一年遅れてしまいましたがようやく刊行にたどりつきました。書店でぜひ手にとってみてください!

あと今回実験的にFacebookページを設置してみたので情報共有や質問などにお使いくださいませ(本内の誤記や不具合がもしあったらこちらにお知らせください)。


あたらしいBCCKS発表会とEPUB3.0とbxmlについて

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■もう一週間経ってしまいましたが、6月2日におこなわれた「あたらしいBCCKS」記者発表会にご参加いただいたみなさま、UstreamやTwitterでご高覧いただいたみなさまありがとうございました。前回のエントリを書いた時点ではあんまりそういう予定ではなかったんですが、発表会第二部では僕が開発担当している部分(bxmlというフォーマットの中身、BCCKSリーダーの機能などについて)をわりと詳細に紹介しつつ、BCCKSのCTO(今後は共同代表となることも発表されました)たけなかさんとEPUB(3.0)との関係や今後の電子書籍技術の共存のありかたなどについてこうしたい、こうなってほしいという話をしました。当日の発表資料、Ustreamのアーカイブ、Togetterや、いくつかの媒体での記事もまとまっているのであらためてどうぞ。

■さて、あまりそういう予定ではなかったのに第二部でフォーマットとリーダーの特徴や仕様の話をくわしくしたのは、EPUB3.0の仕様確定が間近なのもあって、電子書籍において「独自フォーマット」「独自拡張」「専用リーダー」といった言葉がそれだけでもういわゆるガラパゴス行きの船のように聞こえてしまうのではないか、と思ったためです(発表そのものも「この発表は『いま、独自規格ってどうなの?』がテーマです」というとこから始めました)。

というわけで、あたらしいBCCKSがイメージする電子書籍を実現するためにつくっている「bxml」というフォーマットが、とくに事実上デファクトとすべきEPUBとどういう関係にあり、どう拡張していて、それはEPUBユーザーにとってどう見えるのかという話が第二部の発表だったのですが、やはりまだ心配なのでここでも説明したいなーと思った次第です。要点でいうと3つになります。


(現状の)EPUBの仕様では満足できる組版、ページレイアウトが実現できなそう

■EPUB3.0の中身はHTML + CSS(2.1 + 3.0少々)なので、Webページでなんでもデザインできるという意味ではなんでもデザイン可能なのですけど、「ページネートする」「リフローする」「組版のルールを(最低限)守る」という3つの条件をのせると途端にむずかしくなり、仕様が足りていないのかなというのが実情だと思っています。でしかも、むしろ一般にはこの3条件を満たすもののことを「電子書籍」と呼びたく、商品価値を感じるのではないかというのが前のエントリに書いた僕個人の問題意識です。

もちろんCSSで組版やページレイアウトを実現する仕様はたくさん提案、議論されてるようですし(ページネートについてはどうなんだろう? 印刷CSS系の仕様? あまり知らないので知ってたら教えてください)、EPUBにもいずれ採択され、リーダーにも実装されていくのは間違いないと思ってるんですけど、現状でどうにかするには拡張するしかないかなと思いました。

なので、EPUB3.0の仕様の枠内でページレイアウトの情報を付加する独自仕様を埋め込む

■bxmlがEPUBの仕様とどこを共有し、どこに独特の仕様をいれているのかについては発表で触れているので発表資料とかUSTアーカイブを見ていただけるとうれしいです。簡単にいうと、

  • bxmlでは、コンテンツHTMLがsectionタグ(html5で導入されるドキュメントのセクショニングをおこなうためのタグ名ですな)で文節され、それぞれのsectionに「ページレイアウトスタイル」が指定されていることを前提とする
  • 「ページレイアウトスタイル」は、「ページレイアウトCSS」と呼んでいる独自のスタイルシートに指定されていて、BCCKS readerはこのページレイアウトCSSでのレイアウトをもとに、section単位のコンテンツをページネート、リフローしながらレンダリングする

という感じです。現状マークアップの指定やページレイアウトCSSの仕様については固まっていない部分もあるのですが、仕様拡張の方針はこんな感じでいけるのかなと思っています。

なので、bxmlはEPUBとしても読める(予定)

■ここ重要なとこです(というか、「そこ重要なとこなんだからもっと強調したほうがよかったのでは」と発表後に言われました)。bxmlとわれわれが呼んでいるものはコンテナの構造とコンテンツのフォーマット(HTML5)においてEPUB3.0と同一なので、bxml用のページレイアウトCSSと別に、EPUBリーダーでのスタイリングを行うためのCSSを同梱すれば、うまくすればたとえば拡張子を変えればEPUBリーダーでも読めるデータになりうるだろうと考えています。ただ、EPUB3.0の仕様は完全に決まっていないので決まったらあらためて(今後のバージョンアップに関する議論も参考にしながら)すり合わせないといけないのと、実際に読めるかどうかはEPUB(3.0の、しかも挙動が微妙に違うさまざまな)リーダーでの実証を経なければならないですね。なので、現状だと「互換」とは言えないし言わないようにしよう、と思っています。


■発表の締めの言葉は「だから…仲良くしていきましょう!」としていたんですけど、bxmlはEPUBが推進しているような電子書籍フォーマットの標準化、ユニバーサル化、オープン化とかを無視するつもりはさらさらない一方、いまの日本語の紙の書籍文化がつちかった組版やレイアウトルール、本を本たらしめるデザインをスポイルしたくないという気持ちが強いというかなり変な独自フォーマットだと言えると思います。世の中には「紙の本のデザインや体験に縛られすぎるのはどうか」的な先進的な意見もすくなからずあるので、ここまで独自wwwな試みがうまくいくのかよくわかりませんし、もっと普通にPDFが勝利、とかWebで無料で広告が勝利、みたいなシナリオもいぜん可能性高いわけですけど、そのへんも含めて仲良くしていけるとよいと思ってます。仲良くしていきましょう!!


あたらしいBCCKSと電子書籍リーダー

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■去年の夏ごろから開発スタッフとして参加しているBCCKSのマルチデバイス対応リニューアルプロジェクトでつくっているものが、なんとかようやく発表できる段階となり、6/2の発表会をひかえてそのあたらしいBCCKSでつくられた「本」をPCリーダーで読めるサンプルが公開されました。田中はこのPCリーダーの縦書組版をふくむレイアウトエンジンの実装や、新しいブックデータのフォーマット検討作業、あとサービス側のエディタなどもろもろを担当しております。ていうかまだ終わってないんですけどね。

  • あたらしいBCCKSリーダー
    • ※ちなみにWindows環境のかたはできればSafariで、フォント表示設定を「Wndows標準」から変更したうえで見ていただけるとベターです。
    • さらにIPAフォントをインストールしておいたりするとモアベターです。こんな感じになります

計画とサービスの全容については発表会でみっちり発表されるはずなので6/2をお待ちいただければと思うんですけども、僕が担当してる電子書籍リーダーの技術方面については実際に開発にかかわってみて個人的に考えたところもあるので勝手に書きつけておこうと思います。

■電子書籍というものがすでにある音楽や映像の電子流通とやや事情がことなるところに、一般に「書籍」というものに、たんなるデータではなく「データを表象するデザイン」が期待されているという点があります。本質的にはデータストリームである音声や映像などとことなり、書籍はデータとしての内容が必要なのは当然ながらも、その可読性や内容の価値を説得するデザインやパッケージングがしつらえられて初めてそれなりの商品価値が生まれるのであり、もっというと商品価値に相応するデザインやパッケージングがなされた状態のもののことをわれわれは「書籍」と呼ぶことが多いはずです。

この「書籍」なるものにたいする期待に応えるべくいわゆる電子書籍やそのリーダーアプリケーションは提供されなければならないわけですけども、さらに困難なことに「書籍のデザイン」とされるものはそう単純なものではなく、いくつものレイヤーでのデザインが集約されていなければなりません。その最たるものが書籍における「ページ単位のデザイン」と「ドキュメント単位のデザイン」の関係です。このうち「ドキュメント単位のデザイン」については、htmlのマークアップとcssによるスタイリングというある程度枯れたWeb技術があり、現在本命といわれているリフロー型電子書籍フォーマットとされているものはどれもhtml+cssを採用してドキュメントをデザインしていますが、このドキュメント単位でデザインされたコンテンツにどうやって「ページ単位のデザイン」を定義すべきか、という問題については、現状の電子書籍技術およびWeb技術はミドルウェアどころかノウハウも蓄積されていないんじゃないだろうか、ということを僕は今回電子書籍リーダーを作りながら考えていました。Webの世界ではスクロールバーがあれば解決できていたことだからです。

電子書籍にスクロールバーがあったらいけないか、ということについては議論の余地がありますが、すくなくとも現状の「書籍」にたいする期待に添うものとは言えないでしょう。そして、立体物、物質としての魅力をもたない電子書籍にとって、唯一「書籍」としての商品性を主張できるのが「ページ単位でのデザイン」になるはずです。またそれは読書のインターフェイスとしての機能性(どんなデバイスでも最適に読めるとか、文字の大きさが変えられるだとか)もあわせもつ必要があり、しかもレンダリングをWebコンポーネントにおまかせできずドキュメントのパースから画像や文字のプロット、レンダリングまでをすべて面倒見る必要があるため技術的な難易度も高い〔面倒くさい)。電子書籍とそのリーダーにおけるページデザイン/レンダリングはおそらく最も重要な技術になりますが、たとえば現在策定中のEPUB3.0のドラフトを見ても、ページ単位でのデザイン、スタイリングに対する仕様や議論はほとんど出てこないように見えます(そこまで精読してるわけじゃないのであったら教えてください。あるいはEPUBは汎用の刊行物コンテナの仕様なので特定のビューに対する議論はしないみたいな方針なんでしょうか)。

というわけで、あたらしいBCCKSでは、リフローときれいなページレイアウトを両立させるべく、htmlの特定のマークアップパターンで分割されたテキストブロックごとに、版面設定、エレメントのページへの配置スタイルなどのページレイアウトスタイルを定義する独自仕様のスタイルシートを用意する、独自フォーマットを使用することにしました。独自フォーマットといってもコンテナの仕様はEPUB互換なので、EPUBリーダーむけスタイルシートを用意することでEPUBリーダーでも読むことができるものになる予定です。もちろん各デバイススクリーンの寸法や解像度に合わせたページレイアウトを多重定義して、それぞれに最適なページデザインでのレンダリングを行うiPhone/iPad/Androidアプリも開発中です(こっちは僕の担当ではないですが)。

今回開発にたずさわって書籍デザインのキモについてはじめて知ったり実感したことも多いのですけど、本のページデザインというのは、版面(はんづら:ページの中で組版を行う矩形領域)とそこに流れる本文サイズと行間というものをかなり固いルールとしてさまざまな条件を考慮して設計し、文字や写真をこの版面の矩形をなるべく満たすように配置しながら時にはずしたりすることで基調を保ちながら本としてのリズムをつくるところにあるのだそうです。こういうことはできるようにしてほしい、という条件を組み込んでようやくスタイルをテストできるようにしたリーダーをつい先日ご存知スタジオボイスを廃刊に追い込んだ前科二犯のグラフィックデザイナーこと松本弦人さんに渡したところあっというまにできてきたのが公開されてるサンプルブックです。

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これを最初に見せてもらったときはテキストが「本」にデザインされるこういうことかーと思いました。この仕組みでの他のデザイナーの「本」がどうなるのかも見てみたいですなー。

まだサービスとして一般公開するには開発の難関をいく山か越えねばならないのですが、ひとまず6/2の発表会をご期待くださいませ!


ブックス文庫を使って授業課題の「本」をつくりました


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■9月末から10月にかけて、女子美の一年生後期授業「コンピュータ実習B」を担当しておりました。学生は2組80名超、週4日なんで講師も4人2日づつというハードな授業が先日なんとか終了したところですが、この授業のなかで、現在BCCKSがクローズドベータで運営しているオンデマンド出版サービス「bccksBunko(ブックス文庫)」を使った作品集を使う課題をしましたのでせっかくなのでレポートしておきます。

ブックス文庫についてはサイトのほうを見てもらえればわかりますが、「文庫サイズモノクロ48ページ、1冊525円から出版可能!!」という、いわゆってしまえばいわゆるオンデマンド出版サービスですね。電書だ自炊だとやたらと「紙の本」がおとしめられがちな世の中ではありますが、BCCKSの場合は「もともとオンラインでコンテンツをつくれるサービスだったのに、いまから紙をはじめる」という、時流の逆行ぶりがただごとではないサービスとして提供されようとしているわけです。ちなみにクローズドベータは第一期モニターが受付完了していて、今後も時期をみて増員されたりするみたいです。今回はBCCKSさんに授業課題での使用をご理解いただいて特別にモニター参加させていただいています。

ブックス文庫むけの課題としては今回、学生全員に「Looking Into a Drawing」というタイトルで、「ある風景の写真と、その風景の一部をその場でドローイングしてその絵と風景がつながるようにかざしながら撮った写真とを並べる」というルールの写真を制作してもらいました。これは講師の一人である西本太郎さんがアイデアとして紹介してくれたflickrグループの「Looking Into the Past」(昔の写真と同じ地点で撮った写真を公開するグループ)をアレンジしたものです。学生には各自テーマを決めてこのルールの写真を連作してもらい、BCCKSの本として編集してもらってもいますが、ブックス文庫には各自そのなかから1枚づつ提出してもらって、それぞれを見開き裁ち落としのレイアウトで配置した写真集になっております。BCCKS側での編集、出版の作業は助手やら講師やらでおこない、バグに遭遇したりしてバタバタしつつも10/10に出版完了し、10/16には無事に届いて10/18の授業最終日に学生に配布することができました。ちなみに今回160pまでのプランでカラー/カバーありで95冊発注したので、1冊1,922円になりました。

オンラインのブックはこちらで見られます。出版したブックはそのまま販売もできるんですが、授業の本は印税が誰に入るべきか微妙なんで販売はしておりません。

実際に使ってみて、こうした授業だとかワークショップのたぐいなどで、ブックス文庫をアウトプットにするのはかなり使えるんではないかなーと思いました。ブックス文庫の印刷や製本、レイアウトの「本物の本」感については天然文庫を購入するなりして実際に手で確かめてみていただきたいですけど、たとえば1日くらいでBCCKSで作成したポートフォリオやプロジェクトドキュメントが、1週間そこそこ後にこの形ででてくるというスピード感までふくめたコストパフォーマンスは驚異的だなと。授業を構成するうえで課題の最終的な落としどころというのは結構迷ったり困ったりするものなのですが(やりすぎると授業時間内に終わらずそのために出校したりとか大変だったりする…)、その意味でブックス文庫のまとめやすさと仕上がりの充実感はすばらしいものがあります。そのあたりお悩みのかたがいたら検討してみたらいかがでしょうか。

ちなみに今(というか今日まで)開催中の女子美祭の授業課題展示にて、このブックス文庫も展示されているのでお寄りのさいはお手に取ってみてくださいませ。


「PAC-MAN展」のために「顕微鏡パックマン(Microscopic PAC-MAN)」を制作しました

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■いわずとしれたナムコの看板ビデオゲーム「パックマン」の生誕30周年を記念するパックマン30周年プロジェクトの一環として開催されるAll about パックマン的な博覧イベント「PAC-MAN展」のインスタレーションのひとつとして、「顕微鏡パックマン Microscopic PAC-MAN」という作品を制作しました。

その名の通り、モーレツに小さいディスプレイで表示されたオリジナルパックマンを、顕微鏡で10倍〜くらいに拡大して覗きながらプレイすることができる、という作品です。ポケットプロジェクタを加工して1cm角くらいの液晶にVGAでゲーム画面を表示してるので、1439 PPIくらい?(計算まちがってなければ)の映像でしょうか。world smallest pacmanに解像度では勝ってるな。

企画は単純だったのですが制作は試行錯誤と展示プランの二転三転をへてようやく形になりました。XRGB-3のdot by dot mode2(ゲーム映像を等倍表示できる機能)が9月にリリースされると聞いたときには神のおぼしめしかと思ったんですが、XGBは基板のビデオ映像は内部的にVGAまでは拡大してフレームを持っているらしく(憶測)、パックマンのオリジナル解像度といわれる224×288にはできませんできず残念。そこまでいけるとよかったんですが。

ゲームとしては普通にプレイできるので、ズームしたりフォーカスを外してみたりしながら遊んでみてください。あと他の展示もおそらく二度と観られない実動品やら資料やらがたくさんあるのでかなりおすすめなイベントなってますよ。ぜひぜひ遊びに来られるととよいと思います。

あとTEE PARTYでいかすパックマンTも販売中ですヨ。





このブログはもう更新されません

■うそです。あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いしますっていうか今年もよろしくお願いする気があるなら旧年に相応のふるまいがあってしかるべきだったろうとおもうわけですが、なかったですね。とくに8月以降になかった。おばかアプリも公開するとかいってしなかったですね。してないです。ていうかしたいです。あれ触るとけっこうおもしろいんですけどねー。でも数分で数百メガとかメモリリークするのはおもしろくないですからね。なんとかしないとなんとも。まあすべて旧年中の話です。

などとこんなふうに、ここにももうちょっと書くべきなにかを書いていけるべきよう換気をしておく次第です。

えーと、いまさらかくほどでもないですが、

などはもうちょいアクティブですのでTLやdashboardのにぎわいにおやくだてください。

あ、やってみるといがいと140文字以上書くのって新鮮! みんなももっかいブログ始めるといいかも!


iCookpadをちょっと修正しました

■iCookpad、なんか思いがけないほど好評のようで、やっぱiPhone / iPod touchで見れてうれしい人がいるんだなーと思ったいっぽう、いろいろ不具合ほったらかしで申し訳ないです。

とりあえず以下を修正しました。

  • レシピ詳細ページ
    • コツ・ポイントを表示するようにした
    • つくれぽの数を表示するようにした
    • 手順リストに番号を振り、不要な欄は表示しないようにした

■ちなみにこのブログ関連の情報をアナウンスしたり受け付けたりするtwitterアカウントを作ってみました。なんかありましたらお気軽にどうぞです(ご期待に添えるとも限りませんけども)。

あとgithubにてソース一式も公開しております。