水野 勝仁ほか『UI GRAPHICS ―世界の成功事例から学ぶ、スマホ以降のインターフェイスデザイン』を読んだ

UI GRAPHICS ―世界の成功事例から学ぶ、スマホ以降のインターフェイスデザイン
水野 勝仁 深津 貴之 渡邊 恵太 菅 俊一 緒方 壽人 iA 鹿野 護 森田 考陽
ビー・エヌ・エヌ新社 (2015-12-17)
売り上げランキング: 16,171

BNNお得意のデザインスタイルブックに、スマートフォンの全世界的な普及とともにドラスティックな変化を遂げているインターフェイスデザインの潮流を思想面から補う論考が添えられた、フレッシュさが際立つかっこいい本だった。HOW TOじゃなくて、いままさに起きている変化を伝えようとしている、本というよりは雑誌の特集のような内容(雑誌『MASSAGE』の編集者庄野祐輔が編集されているからかな)。こういう本に中学とか高校生のころに触れるとやられてしまうんじゃないかな。


Persuasive Technology焼肉

ナガトモさん主催のPersuasive Technologyについてディスカッションしながら焼き肉を食べる会が社内であったので参加した。実際のところPersuasive Technologyについて話している時間よりたんなる暑気払いとして焼き肉を食べる会になっていた気もするけど。

Persuasive Technologyは利用者に強制をすることなく行動や主義の変更を説得するための技術というかデザインの方法論のこと。ナガトモさんにこのスライドを教えてもらったんだけど、これ見ると含意としては利用者の慣習や無意識の選択によって決まっている社会的なロスを軽減するためのデザイン/技術という側面が強いのかな。焼き肉会でも話が出たんだけど、たんに行動を誘発したり誘導したりする技術とするとそれいわゆるデザイン全般なのではというぼんやり話になるし、ある企業や団体の利益のために利用者の行動を誘導するのはいわゆる環境管理型権力になるので、行動が変化した結果が最大幸福に寄与するという前提をはずすとだめなのかなと後から思った。

Introduction Persuasive Technology & Behavioral Economics from Arjan Haring

あと焼き肉おいしかった。


赤瀬達三『駅をデザインする』を読んだ

駅をデザインする (ちくま新書)
赤瀬 達三
筑摩書房
売り上げランキング: 6,319

この五十年ぐらいの間、多くの鉄道会社の駅づくりで、土木部門が本気で駅に集散する人々の快適さを考えたことはなかったのではないかと思う。

赤瀬達三 - 『駅をデザインする』

この本の写真で営団地下鉄時代のサインを久しぶりに見たけど、やっぱりよくできているなというのと、あらためて今の日本の主要駅のサインデザインは(この本でも徹底的に批判されているけど)ひどいというのを痛感した。でもそもそもサインデザインの問題ではなくて、駅に代表されるパブリックスペースについてのイメージや重要性の認識が乏しいのが問題なんだな(だからこの本は「駅をデザインする」なのだし)。


21_21 DESIGN SIGHT 『単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?』を観た

単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?

先週始まった単位展に長男と行ってきた。21_21 DESIGN SIGHTの企画展はすごい混むイメージがあったのでちょっと覚悟して行ったんだけど、まだそれほど混んでなかった。物販コーナーが充実していてオリジナルグッズや関連書籍はもちろん、ナカダイ とのコラボ(?)で産廃マテリアルのはかり売りをしていて、子供は素材感あふれるマテリアルに興味津々なようだった。

展示のほうも1時間では見きれないくらいいろんな角度から「単位」を表現した展示が揃っててあますところなく見たいところだったのだけど子連れでそうもいかず断念。今度あらためて見たい。長男は奥田透也+菅 俊一「命の単位 ゾウ・ヒト・ネズミの鼓動」が気に入ったみたいだった。


ヘンリー・ペトロフスキー『フォークの歯はなぜ四本になったか』を読んだ

フォークの歯はなぜ四本になったか 実用品の進化論 (平凡社ライブラリー)
ヘンリー・ペトロスキー
平凡社
売り上げランキング: 81,280

デザインの文化論としてたびたび紹介されるこの本をいままで手にとったことがなかったのに気づいて読んでみた。読んでみてわかったのは『フォークの歯はなぜ四本になったか』というキャッチーなタイトルはいわゆる「タイトルで問いかけ」とか「具体的な数字」とかよく聞く書籍タイトルの方程式としての名付けであって(わりと古い本のような気がしていたのでそういう文脈で見てなかった。単行本は95年発行)、本の内容は原著タイトルの「The Evolution of Useful Things」のほうがふさわしい内容だった。しかもフォークの歯がなぜ四本になったかは本書の記述でもかなりあいまい。

「デザイン」という言葉がひじょうに誤解を招きやすいことはすでに多くのひとに共有されている認識だと思うけど、それはつまり「デザイン」という言葉が「ゼロから何かを完成させた」という空気を出しすぎているためなのだが、実際のところすべての人工物は自然物を加工して用途に間に合わせたものであるという意味においてゼロからでも完成でもなく、むしろ「いまだ不十分である」という認識とそれに対する思案から次のかたちの人工物が生まれるという絶えざる変化の断面を発明ないしデザインと呼んでいるにすぎない。ということが、フォークに代表される日常的な実用品、あまりに日常的すぎて「なぜその形でなければならないのか」が問われにくい人工物の形の来歴を残存する資料から紐解いていく。

なんというか、いわばフォークやクリップやファスナーのコミットログを読むようなコラムで正直冗長な感じもあるけど。