黒田硫黄「アップルシードα」の1巻を読んだ

アップルシードα(1)
講談社 (2015-01-16)

なにが凄いって黒田硫黄がアップルシードを描くことがすでにサイボーグ以外のなにものでもないってところだな。原作とはぜんぜん位相のちがう絵のうまさと複雑さと情報量が展開されてくらくらする。

あとカバーをはずした表紙にある原作(青心社版1巻)の模写がいい。


九井諒子『ダンジョン飯』1巻を読んだ

ダンジョン飯 1巻 (ビームコミックス(ハルタ))
KADOKAWA / エンターブレイン (2015-01-15)

ようやく手に入って読んだ。いいなーこれは。ちまたの食マンガブームにちょっといじわるなひねりになってるとことか、王道ファンタジーに自然な生活感をかもした「異世界あるある」になってるとことか、いかにも九井諒子さんらしい。ちょっと懐かしい感じがあるのはテーブルトークRPGのリプレイぽいからかな。

これそのままゲーム化されないかな。


岡田美智男『弱いロボット』を読んだ

弱いロボット (シリーズ ケアをひらく)
岡田 美智男
医学書院
売り上げランキング: 196,895

こないだ紹介したみどるの連載で取り上げられていた(数理的発想法 「弱い」ロボットがらしい「人間観」を切り開く)岡田美智男さんの変わったロボット研究についての本。ロボット研究の本だけど工学系の出版社ではなくて医学系の出版社の看護やリハビリ、発達にかんする話題を扱う「ケアをひらく」というシリーズの1冊。ちなみにこの「シリーズ ケアをひらく」だと綾屋紗月+熊谷晋一郎「発達障害当事者研究」もすごい変わった本でおもしろいです。

厳密な会話理解による「正しい会話」の実現を目指す研究をするなかで、むしろ人間がよくするぜんぜん正しくなくて結論さえあいまいな「雑談」をコンピュータにさせてみようと考えたのが岡田さんの今につながる研究の第一歩だったそうだ。コンピュータに雑談をさせる研究での知見として「ちょっと聞こえにくいくらい音量を下げると雑談っぽい」ってのがあってちょっとおもしろかった。音声は女性の声を1.1〜1.2倍のピッチにしておくとか。全体的な思想もおもしろいんですが、そういう細かい工夫や気付きが書かれているのがよかった。


ヘンリー・ペトロフスキー『フォークの歯はなぜ四本になったか』を読んだ

フォークの歯はなぜ四本になったか 実用品の進化論 (平凡社ライブラリー)
ヘンリー・ペトロスキー
平凡社
売り上げランキング: 81,280

デザインの文化論としてたびたび紹介されるこの本をいままで手にとったことがなかったのに気づいて読んでみた。読んでみてわかったのは『フォークの歯はなぜ四本になったか』というキャッチーなタイトルはいわゆる「タイトルで問いかけ」とか「具体的な数字」とかよく聞く書籍タイトルの方程式としての名付けであって(わりと古い本のような気がしていたのでそういう文脈で見てなかった。単行本は95年発行)、本の内容は原著タイトルの「The Evolution of Useful Things」のほうがふさわしい内容だった。しかもフォークの歯がなぜ四本になったかは本書の記述でもかなりあいまい。

「デザイン」という言葉がひじょうに誤解を招きやすいことはすでに多くのひとに共有されている認識だと思うけど、それはつまり「デザイン」という言葉が「ゼロから何かを完成させた」という空気を出しすぎているためなのだが、実際のところすべての人工物は自然物を加工して用途に間に合わせたものであるという意味においてゼロからでも完成でもなく、むしろ「いまだ不十分である」という認識とそれに対する思案から次のかたちの人工物が生まれるという絶えざる変化の断面を発明ないしデザインと呼んでいるにすぎない。ということが、フォークに代表される日常的な実用品、あまりに日常的すぎて「なぜその形でなければならないのか」が問われにくい人工物の形の来歴を残存する資料から紐解いていく。

なんというか、いわばフォークやクリップやファスナーのコミットログを読むようなコラムで正直冗長な感じもあるけど。


町田洋『夜とコンクリート』を読んだ

夜とコンクリート
夜とコンクリート
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祥伝社 (2014-03-10)

「暇なんで」

「若さと暇さが合わさる唯一の時、大学の夏休みなんで」

『夏休みの街』

この本そのものが大学の夏休みぽい印象を受けたのはこういった雰囲気の作品を自分がおもに大学の夏休みに触れたからかなと考えている。ミスタードーナツでアイスコーヒー飲みながら読みたい。




宮崎夏次系『夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない』を読んだ

最近まんがをどれを読んでも打ちのめされるなと。良すぎてなにも言えない。

それにしても(というかこのくらいのことしか言えないが)コマのカッティングが完璧。


池田浩明『サッカロマイセスセレビシエ』を読んだ

サッカロマイセスセレビシエ
池田 浩明
ガイドワークス
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これも去年からながなが読んでたのをようやく読み終えた。 新刊でもなくて、去年秋に移転したユトレヒトの新店舗に行ったときに買ったもの。

都内の個性的なパン屋とそのパンとその作り手を紹介する分厚い本。池田さんの情熱的な、情熱的すぎてほとんどギャグにすら感じられるほどの、パンの味と食感を表現する筆致がすばらしかった。