ラリイ・ニーブン『リングワールド』を読んだ

リングワールド (ハヤカワ文庫 SF (616))
ラリイ・ニーヴン
早川書房
売り上げランキング: 319,581

これもSF仕事関係で今回初めて触れてみて、いわゆるスペースオペラ的な小説に触れてこなかったせいかさわりを読んだら非常に新鮮でおもしろかったので、せっかくだからちゃんと読もうと図書館で借りて読み切った。けっこう長いしいちいち描写から地球人の常識から離れた宇宙人の容姿とか世界の様子を思い浮かべるのが大変で、読み切る前に返却期限が来てしまって何度か借り直したりしつつなんとかという感じだったけど、ちゃんと最後(広げた風呂敷は何一つ畳まれてないけど小説の終わりとしてはここしかない、というラスト)までおもしろかった。


ブラーバを借りた

床ふきロボットのブラーバを同僚のクロカワさんが買ったけどあんまり使っていないというので借りて試用している。2週間ほど日常的に使ってみての感想としては、これはけっこううちの生活に合っている気がするな。子供や猫がいる家だといずれにせよ1日おきくらいでは床掃除をしないと部屋が大変なことになり気分もすさんでいくという悪循環に陥っていくけど、定期的に水拭きされて床が目に見えてきれいだと他のことももうちょっとちゃんとしようという気がわいてくる。試用期間が終わったら買おうと思った。

から拭きも試したけど、使っていくうちにとりあえず水拭き一択だということがわかってきた。水拭きクロスは専用のものが付属してるけど借り物だということもあり使ってなくて、使い古しのタオルをサイズを合わせて適当に切ってつけたら使えたのでそれにしている。ルンバと比較してよく言われることだけどブラーバは動作音がほぼなくて床拭き中も生活の妨げにならないのがいいというのも実際その通りで、子供が宿題してるときに掃除機をかけると子供の気が散るので掃除できない、的なことがないのが地味にいい。


『Asian Art Award 2017 supported by Warehouse TERRADA – ファイナリスト展』を見た

「Asian Art Award 2017 supported by Warehouse TERRADA – ファイナリスト展」


見てきた。谷口さんの作品を見るのが目的だったんだけど、他の作品もおもしろく見た。

大賞だという山城知佳子さんの『土の人』映像作品っていうか映画なのでは…と思って見ていたら腰掛けだと思って座っていた箱がマルチチャンネルのスピーカーで、足下からのうめき声を鑑賞者が感じながら(というか、踏みつけながら)観る作品になっていてなるほどと思った。山本高之さんの『Lie to Me』もおもしろくて、ていうかタイトルの通りおそらく「自分(カメラ)にウソの自己紹介をしてくれ」というようなお願いをして収録した市民の映像を編集した映像作品なんだけど、「ウソ」という行為のネガティブなイメージを解きほぐしてくれるようなピースフルな作品であり、演劇性というのかな、ひとがかりそめにフィクションをはらむときの身体の反応みたいなものが映されていて目が離せなかった。

VimeoTakayuki Yamamoto
山本さんの映像作品ほかのもおもしろそう

谷口さんの『何も起きない』はゲームエンジンで「『何も起きない』の世界」が作り起こされて動作している、という作品で、僕なんかが見るとどうしてもゲームのこととかを考えてしまうけど(室内の作品には『ルーマニア203』とかを思い出した)、そこをよけても考えしろの多い作品でおもしろく見た。contact Gonzoもファイナリスト展の並びのなかでの乱暴さが痛快でなんかよかった(小銭がなくてガチャは回せなかった)。

Tokyo Art Book Fairもちょっと見ようというもくろみだったんだけど、寺田倉庫は施設の性質上人が殺到すると破綻する、というのが先にこっちを見たことでよくわかったので(エレベーターが人間を各階に効率的に運ぶようにできていない)、大変なことになってる行列だけ冷やかして帰った。


セオドア・メルフィ『ドリーム』を観た

映画『ドリーム』オフィシャルサイト - 20世紀フォックス


素晴らしかった。TOHOシネマズ新宿では超でかいスクリーンでかかってて最高。早めに観に行くべき。

しかしやっぱり少なくとも「ドリーム」ではないな。リアリストたちの話で、宇宙というリアリズムの世界でリアリストたちが席を見つけたという話なんだと思う。


アラン・ケイ『アラン・ケイ』を再読した

アラン・ケイ (Ascii books)
アラン・C. ケイ
アスキー
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エクリの水野勝仁さんの連載を読んでいて、ふとアラン・ケイの本を読み直してみようと思ったので図書館で借りてきた。前読んだのはあんまり定かじゃないけど、Oh!Xに荻窪圭さんの書評かなんかで知って発売当時に買ってたはずなので高校2年か3年の春休みとかに読んだんだと思う。地元のスキー場で雪が融けた後のグラススキー用のリフトの監視みたいなバイトがあって、それをしながら読んでた記憶があるので。

で読み返してみたら、言うまでもないけど今読んでもまったく古びていないインターフェイスの思想が語られた論文群で、あらためて読んでもこのころにこういうことを言っていたのかと新鮮な発見が多かった(「コンピュータ・ソフトウェア」のなかでスプレッドシートについて「セル宇宙のシミュレーションをするもの」だと説明するところとかは今回よんで初めてなるほどと思った)。

最後の講演録「教育技術における共立の対立」はたぶん前読んだときは読み飛ばしてた気がするんだけど、今回読んでここが一番おもしろかった。アランケイいわく、成功する製品は「人間の深奥の欲求にこたえる“増幅装置(アンプ)”になるもの」である必要があるが、その人間の欲求とは大別して「夢想したい」と「コミュニケート」したいに分けられると。この2つの定義は欲求の定義が(あまり細かくは語られないものの)独特で、たとえば飛行機のような時空間を圧縮するテクノロジーは「コミュニケートしたい」欲求をかなえるものになるのだという。では「夢想したい」はどういう欲求なのかというと、これは「自分だけのファンタジーを制御したい」という欲求だと考えればよい。ファンタジーとは、例えば言語、スポーツ、ゲーム、音楽、コンピュータシミュレーションなど「単純明快で制御可能な世界」のことで、つまり世界を単純で制御可能なものに見せてくれるテクノロジーが人々の心をつかむのだと説明されていて、この説明は非常におもしろかった。この定義でいくとSNSは「コミュニケートしたい」欲求に応えるようでいて「夢想したい」のほうの欲求に応えているんだな。


吉田棒一『犬ウォーターメロンシュガー』を読んだ


犬ウォーターメロンシュガー』 吉田 棒一著


かなり前からBCCKSでエッセイというかなんというか、ひとことでいうと「テキスト系個人サイトの文章」みたいなのを出版されている吉田棒ーさんの新作。「テキスト系個人サイトの文章」みたいなのが好きな人なら間違いなく楽しめるし、「テキスト系個人サイトの文章」みたいなのが好きな人はもう結構な年なんだからこういうものにちゃんと324円払ってほしい。

僕はBCCKSの電子版で読んだけどまったくもって頭から順番に読んだりするタイプの文章ではないので紙の本でトイレとかに置いて雑に読み始めて適当に閉じるくらいのほうがいい。紙本はこちらのその名もチンポシステムズ出版で1200円で買える。


『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1』を観た

映画『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』


映画の日に。ダンケルクかベイビードライバーもっかい観ようかなと思いつつ時間が合わなかったので観れるやつのなかから選んだ映画だったんだけど、これは劇場で観てよかった。冒頭から30分ほどのテンションの高い新作パートの福眼感の高さと、アホかと思うような構成のTVシリーズ再編集パート。奇をてらっているというよりも純粋に作りたいものを精度高く作ったというベテランDJのロングミックスになってて楽しかった。

こっちのアクスペリエンス7MVのほうが作品の印象に近い


『第20回メディア芸術祭 受賞作品展』を見た

開催概要 | 文化庁メディア芸術祭


Unlimited Corridor は体験しておきたいなと思って駆け込みで朝から行ってきた。11時の開場ごろにはもう6人ほどの順番待ちになっていて、30分ほど待つと体験できた。僕の番のときはシステムのトラブル正直万全の体験というわけではなかったんだけど、まあそれも含めて貴重な体験だったなと。ある意味意図的に主観視点を回転させていくシステムなので、体験開始の時点で視点の角度にズレがあると直線(に見せかけた円筒沿い)を歩いているとどんどんズレが拡大していっちゃう感じだった。そしてこのズレは原理的に(本人が表明する以外では)検知できないんだと思うのでVRでユーザーをイリュージョンに導くシステムをつくるのはほんとに大変なんだろうなと。

いっしょに並んでた人

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メディア芸術祭の受賞作品展もけっこう長らく見ているけど、オペラシティでICC/アートギャラリー両方を使った展示という今回はかなり新鮮で(オペラシティの近くに以前住んでたので個人的に勝手なホーム感もあり)近年では楽しく見れた。今回の大賞作品『君の名は、』でロケハンされていた場所に近くて展示された映像や背景画展示に自動的な聖地巡礼感というかAR感みたいなのが生まれてるのもおもしろかった(ちょっと狙ってたのかな)。

あと受賞作品のなかでは『培養都市』が面白かった。


旭山動物園に行った

ホーム | 旭川市 旭山動物園


そして北海道旅行3日目はバスで旭川に移動しての旭山動物園。『動物園にできること』を読んだこともあり、あらためて動物園に、しかも『動物園にできること』でも紹介されていた旭山動物園に行けるのはとても楽しみだった。ちなみに今回のゼロベース社員旅行、動物園ツアーだったせいもあるのか家族参加がとても多く、総勢22人うち子供8人(!)という動物園にバスで乗り付けるのにぴったりの団体行動だった。たまにはこういう遠足感もいいな。

旭山動物園、行ってみてまず知ったのは(正確には直前にバス運転手さんが説明してくれんだけど)、この動物園は名前の通り旭山という山のすその斜面をそのまま生かした施設なのだということで、獣舎がぎゅっと並んでいるというようないわゆる動物園のイメージとは違って空間が抜けてて印象がだいぶ違うんだよね(面積的な余裕があったり遠景がほかならぬ北の大地なのもあるんだろうけど)。入場者も少なめ(ブームの時は大変だったらしいけど)だったしゆったりした気分で園内を歩いているだけでも気分よかった。

動物園としての演出もたしかに絶賛されているとおり素晴らしかった。キリンを見下ろせる展示がやばかったな。

行ったときの北海道は前日けっこうな雨が降った後だったんだけど、それのせいでもうじゅう舎の屋外展示の地面がかなりのぬかるみになっててワイルドだった(トラやライオンの本来に生態環境に近くしてあるんだと思うけど管理も大変そう)。


札幌国際芸術祭2017を見てきた

一昨年の沖縄、去年の長崎に続き、今年のゼロベース社の社員研修ワークショップ兼慰安旅行は北海道に行くことに決めたところ、ちょうど札幌国際芸術祭の会期でもあったので、芸術祭の作品を鑑賞して各自が受け取ったイメージからディスカッションを広げるというアートワークショップをすることになった。芸術祭見れてラッキーと思ったんだけど展示ロケーションの広範さはいかんともしがたく、僕はメイン会場のモエレ沼公園はあえて捨てて札幌芸術の森の展示を見た。

札幌国際芸術祭 – SAPPORO INTERNATIONAL ART FESTIVAL
(もう会期終わりですが…)

札幌芸術の森自体も行ったのは始めてで、旅行で訪れてゆったり過ごすにはぴったりの落ち着いたスポットで気に入ったんだけど(天候不順が残念だった)、芸術祭の展示もよかった。

タクシーで連れて行ってもらおうと思ったのに、迷い込んで山の中で降りることに

∈Y∋の作品『ドッカイドー/・海・』は、けっこうな広さの展示ホールを完全な暗闇にして、床や壁に蓄光塗料で書かれたおびただしい光点の海(・海・=ドッカイドー)を見るという展示で、たぶんだけど、入場タイミングでの塗料の発光の強さで作品の印象がだいぶちがうんじゃないかな。僕は公開時間(1時間ライトで蓄光してその後1時間公開、というローテーションだったみたい)の最後の10分で滑り込んだので、暗闇に目が慣れるまでの異様に長く感じる時間を経てホールの空間に横たわるわずかな光の群れに気づくまでがスリリングだった。蓄光完了直後も見てみたかった。

クリスチャン・マークレーの映像作品もよかった。初期のレコードを物質的に扱うパフォーマンス映像の作品からリサイクル工場の映像シリーズ、最新シリーズだという道路に捨てられたゴミ(ガム、吸い殻、ドリンクのキャップやストロー…)の写真がアニメートされた映像作品まで、芸術祭のテーマと合わせて説得力が生まれる展示になっていた。とくに街路で踏まれて模様のようになったガム跡のラッシュが星空のようにも顕微鏡写真のようにも見え、やがてそのなかのひとつのガムがアメーバのように動き始めたかと思えばクローズアップされていくとフレアを吹き出す恒星のようにも見えていく『Chewing Gum』は最高で、しかもちょうど直前に見た『ドッカイドー』とも関連が感じられて楽しかった。

他の作品もちょっとづつは見れて、芸術の森のを往復してもらったタクシー運ちゃんの語り草になるぼんやりさ加減もあり全体的にとても楽しめた。期待していた毛利祐子さんの展示が当日非公開日だったため(札幌市立大学が受験日だったみたい。なぜこの時期受験?)見れなかったのは残念至極。そんな感じで朝〜午後1時まで芸術祭を見て回って、午後は最近ゼロベースに入社したイガラシさんのファシリテートで、芸術祭や芸術鑑賞の体験を深めるワークショップ。自分で捨てたとはいえモエレ沼公園に行って作品が見られなかったのは悔しかったので、モエレ組の人たちから作品についていろいろ聞けたのがよかった(伊藤隆介さんの『層序学』が評判よかったみたい)。