読書猿『アイデア大全』を読んだ

『アイデア大全』


もともとは電子書籍版(Kindle/KOBO)の出来がよいという話をきいたのでKindleで買ってみて読んだんだけど、すごい面白かった。古今東西の発想法を紹介しつつ、それら発想法のルーツや他の発想法、学問、人文知とのつながりを探ること、つまり発想法的な手法で発想法そのものについての視点を変え、視野をひろげ、新たな発想へと導くための本になっている。読書猿さんのblogでの解説も素晴らしかった。

電子書籍としての出来のほうは、紙本の黄色い塊のような装丁を再現しようとたしかに頑張ってる…のは確かだけどこの方向(Kindleでできる限り凝る)はやっぱり限界あるなーと思った。


白石和彌『日本で一番悪い奴ら』を観た

映画『日本で一番悪い奴ら』 | 大ヒット上映中!


WOWOWで録画してあったのをようやく観た。テンポもいいしなんというか「リアリティのあるコメディ」として描かれていて最後まで面白く観れたんだけど、このほとんど『土竜の唄』みたいな荒唐無稽な話が道警の手口や経緯に関してはほぼ実話だという現実の重みもあって複雑な気持ちになる。抜けの良さと気持ち悪さがちょうどいいバランス。

公開当時たまむすびに綾野剛と白石監督がゲスト出演した回がおもしろかったのを思い出したので聞き直した。

関係ないけど綾野剛の印象と真鍋大渡さんに近いものを感じる。


ロネ・シェルフィグ『人生はシネマティック!』を観た

映画『人生はシネマティック!』公式サイト


添野知生さんの

というツイートを観て、それ大好物なのでは? と思って観たんだけど果たして大好物だった。『ブレードランナー2048』の鈍重な話し運びにひたっていたのであまりにさくさくと進む序盤の展開にこんなんでいいんだっけと不安を覚えたんだけど、これでいいんだよな!

もちろん狙ってのことだろうけど、ダンケルク撤退についての新作映画を2作も観られるのは今年しかないと思うので観るなら今しかない。「女性と戦争」「女性と専門職」というポイントで『ワンダーウーマン』『ドリーム』にもつながりを感じた。


『大島智子 個展 パルコでもロイホでもラブホでもいいよ』を見た

大島智子 個展 パルコでもロイホでもラブホでもいいよ


見てきた。大島さんやその作品はtwitterなりtumblrなり、あるいはtofubeats『No.1』MVでの被写体なりである時期以降のインターネットにふわふわと漂っているものだったなという思いはありせど僕自身はそれほど好んだり追いかけたりしていなかったつもりだったので、個展があると聞いて行くでしょという気持ちになったところが自分でいちばん新鮮に思えた。

男性にとっての生理の話題みたいなもので彼女の作品を軽々しくいいとかわかるとか言うのは危険だという感覚があるけど、今回の展示は完成作品と彩色前の原画が並べてあったことと、フォントで組まれた(きわめて繊細で理知的に見える)テキストと(こういってはなんだが、とてもつたなく見える)彼女直筆の文字が重ねられた画集冒頭のページにつながりがあるように思えたのが発見だった。

それはそれとして『No.1』のMVはいまだに強度あるなー


フランク・パヴィッチ『ホドロフスキーのDUNE』を観た

映画『ホドロフスキーのDUNE』公式サイト


Netflixにあるのを知ってようやく観た。DUNEという作品にもホドロフスキー監督にも思い入れがなくても(僕がそう)映画を見るだけでアガる、そしてホドロフスキーが好きになる作りになっていてドキュメンタリーとしてとてもよくできていた。

ホドロフスキー、弦人さんぽいよね? という話を鍵っ子に振ったら同意してもらえた。


赤堀雅秋『葛城事件』を観た

映画『葛城事件』公式サイト


WOWOWで録画してたやつを観た。陰惨な話だと聞いていたけど想像以上につらかったのは自分が男兄弟の長男で子供も男兄弟なのでまったく他人事に思えなかったから。ため息しか出ない。

とはいえ、問題の見て見ぬふりを続ける家族のありようを過剰な演出なしで日常の延長線上のものとして描ききっているのには感服。


山本裕介・今井勝信『IntelliJ IDEAハンズオン──基本操作からプロジェクト管理までマスター』を読んだ

IntelliJ IDEAハンズオン ――基本操作からプロジェクト管理までマスター | Gihyo Digital Publishing … 技術評論社の電子書籍


IntelliJ IDEAの本が出て電子書籍がある、というような話がTwitterで流れてきて、お、そんなのあるのかと思って調べてみたら、たしかにKindleにはあるんだけどhontoでは売ってない。あららと思いきや、あらためて考えたら技術評論社は直販の電子書籍サイト「Gihyo Digital Publishing」を持っていて、ここで買ったほうがpdfに加えてリフロー型のEPUB版もダウンロードできる(Kindle/KOBOはいわゆる固定EPUB(画像)型の電子書籍のみ)のでそっちで買った。まあKindleとかの電子ストアで買ったほうが値引きがあるとかポイントがつくとかはあるんだろうけど、スマートデバイスで読むよりはPCで開いて検索できたほうがいい技術書については書籍データがダウンロードできる直販で買ったほうがよいと思う。

あと、技評のリフローEPUBってすごいよくできてるんだよね。いわゆる横書きの技術書フォーマットはCSSのスタイリングと親和性が高いからというのもあるんだろうけど、ショートカットキーの囲みとかも再現されてて紙の本と比べても遜色ない。もちろん検索もできるし(他方こだわって作られているせいでこのリフローEPUBを他の電子書籍ストアには出せないんだと思う。固定EPUBの本を電子取次で配信せずKindle/KOBOにしか出してないのがなんでかはわからないけど、基本直販にしたいけどKindleは無視できないというとこなのかな)

ちなみに本の中身のほうはほぼ使っている機能の紹介でそれほど役に立つものではなかったけど、条件式のあとに拡張子のようにキーワードを書くと(arg1>arg2.ifのように)構文に展開されるPostfix completionという機能は知らなくてへー!と思った。


電源プラグの位置から考えるIoT/スマートホームデバイス

Amazon Alexaの日本展開が発表されたのもあり、各所で似たような話をしたのでまとめておく。

IoT/スマートホーム系のデバイスの現実解として、電源プラグに寄生するタイプのものがおもしろいなと思っていて、たとえばWiFiルータの電源プラグにはさんで自身でWifiネットワークのインターネット接続を監視し、接続が途切れたら(ルータが機能していないようだったら)接続されているルータの電源を遮断し強制的にリブートすることでネットの接続性を保つ『ResetPlug』みたいなやつ。『eRemote Pro』は「エアコン用の電源タップ」に着目したIoTスマートリモコンハブで、ほとんどの日本国内の住宅ならばほぼまちがいなく各部屋にある「エアコン用の電源タップ」に寄生することで「無理のない設置」と「エアコンの使用電力情報を監視してリモコンでのON/OFFの確実か」と「障害物の少ない高所からの赤外線リモコン制御」という強みを得ている。こういう電源タップの立地から考えたスマートホームデバイスがもっと増えるといいなと思う。「洗面所の化粧台据え付けの電源タップ」とか狙い目だと思うんだけどな。そもそも洗面所って一般的にWifiルータがあるような場所からは離れていて、風呂でタブレット端末を使ったりIoT体重計を使ったりするときのWifi電波強度がストレスの元なので、洗面台のタップに挿しておくとWifiブースターになっていてついでに天気予報が表示されるくらいのデバイスがあったら欲しい。

LED電球をIoTデバイスにする電球ソケット系のデバイス(Hueみたいなやつ)も同系統の発想だと思うけど、スマートスピーカーも電球スピーカー型のならいろんな部屋に無理なく設置できて普及する可能性あるじゃないかな。


Akihiko Taniguchi/Chie Taniguchi『nothing happens』


TRANS BOOKSで買った谷口暁彦さん、タニグチチエさんによる写真集『nothing happens』、物理写真集やポスターも素敵なんだけど、付録2である『nothing happens』アプリ版が予想以上におもしろかったというか、何か別のものの原型のように思えた。

『nothing happens』は、谷口さんの先日まで展示されていた新作『何も起きない』からいくつかのシーンを切り取って写真集にまとめたもので、それを買うとついてくるUSBメモリに納められているアプリ版『nothing happens』はその電子版…といいつつpdfとかではなくて「写真集を再現した3Dモデルデータをリアルタイムレンダリングで読めるアプリケーション(Unity製)」になっている。

そこまでは知っていてなるほどおもしろいなと思って買ったんだけど、実際に起動してみて驚いたのは(実際はよく読むと上のツイートにも書いてあるんだけど)この「写真集を再現した3Dモデルデータ」が配置されているのは、この写真集の題材である『何も起きない』という作品の舞台である「あの部屋(の3Dモデルデータ)」なのであり、つまりこれは、作品の一部を編集した本がその作品の一部であることが、現実として目の前で体験できるアプリケーションなのだった(起動したままにしておくとアプリ内で時間が経過して日が暮れたり昇ったりもする)。何も起きていないかわりに大変なことになっていた。

あと、今回このアプリを体験してみて、「読書環境も含めて提供されるVRによる未来の本」というものが他にもあり得るんじゃないかと感じた。本1冊のために専用のシーンを作り込んだりするのはオーバースペックだろうなとは思いつつ、なんとなく「VR読書」みたいな話には鼻白むものを感じていたなかで今回の体験は新鮮だった。「VR『はてしない物語』」とかあったら読んでみたいよね。

ちなみにアプリ版『nothing happens』は書いてないけどCmd/Ctrl+qで終了だそうです(ESCキーは効かない)。

Trans Booksで買った谷口さんの「nothing happens」

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nothing happens

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仲川麻子『飼育少女』を読んだ

#飼育少女 - ベビモフ|子育てはカラフル!マンガ+よみもの


講談社の女性誌『FRaU』編集部がつくってる育児世代むけのWebマンガマガジン(なんだと僕は思っているけど違うのかもしれない)で連載されている女子高生が生物の先生と水生生物を飼育するマンガ。このサイトがちょっと前まで『Baby!』って名前だったのが『ベビモフ』にリニューアルした記念で11月末まで全部読める。

流麗な絵で古くさい脱力ギャグが特徴というマンガだけど、なんか好き(アフタヌーンぽいのかな)。仲川麻子さんの他の作品はどうなのかなと思って前作『ハケンの麻生さん』も読んだけど、これはハートウォーミングすぎて(これはモーニング連載だからなのかな)ちょっと物足りなかった。

ハケンの麻生さん / 仲川麻子 - モーニング公式サイト - モアイ