三宅隆太『これ、なんで劇場公開しなかったんですか?: スクリプトドクターが教える未公開映画の愉しみ方』を読んだ

株式会社誠文堂新光社 / これ、なんで劇場公開しなかったんですか?


Webで連載開始されたの知ってたんだけど長くてWebでは結局読み通せず本を買った。よみもの.comは連載が書籍にまとまっても連載時の記事を下げないで公開したままにしてるんだな。太っ腹だ。

劇場未公開映画の愉しみ方 | よみもの.com

日本では劇場公開されなかった(レンタルや動画配信サービスで観られる)作品のみを紹介する、という縛りでセレクトされた映画評論集。ともすれば劇場未公開作品である事実によって作品の程度が低いとみなされたり、無名作品のソフト化時のテコ入れとしてタイトルやジャケットに過度にエクスプロイテーション映画的な(特に性的な内容を期待させるような)打ち出しがなされたりした不遇な作品が、実際には「極めてまっとうな映画作品である」ことを、これまたありがちなマイナー映画を思い入れたっぷりに擁護するような態度ではなく、きわめて冷静に、関わったスタッフに本来与えられるべき評価を回復するように解説する。「劇場公開に能わず」という診断がなされた映画へのスクリプトドクターからのセカンドオピニオンというか。

三宅さんの『スクリプトドクターの脚本講座』を読んだときも文中にはさまれるちょっとしたエピソードにいちいち感動させられたけど、今回のコラムも映画のあらすじの紹介とそのシナリオの構造、監督のキャリアと資質、キャストの演技技術はもちろんキャストの技術不足(キャスティングが制約されるローバジェット映画では避けられない問題)がどのようにカバーされているかといった情報を語る構成が完璧で素晴らしいというかやっぱりプロの脚本家は恐ろしい。ちょうど『ゲンロン0』も平行して読んでいたので、「構成力」のプロの文章に打ちのめされた感じ。