庵野秀明・樋口真嗣『シン・ゴジラ』を観た

怪獣映画・ゴジラ映画はもともとそれほど思い入れがないし(平成ガメラシリーズはリアルタイムに熱狂したのでそれなりに思い入れがあるけど)、今回の座組みや流れていた特報やなにより『シン・ゴジラ』というタイトルの「(予定調和的に)にひねってきた感」にはあんまり興味が持てなかったんだけど、観てみればそんな予想とは真逆の圧倒的に本道を行く、しかも2016年に日本が作りうる怪獣映画として最良の映画だった。一回みただけだと何も言えない感じだったのでとりあえず朝と夜で2回観た。

90年代に平成ガメラシリーズがアップデートした「日本における災害(軍事)シミュレーションとしての怪獣映画」という路線を3.11以降の環境に再アップデートするにあたり、「日本の政治状況の不条理劇性」を強調するのは圧倒的に正しい。それを皮肉って終わるのではなく、執拗にクローズアップされる「日本人の顔」が、悲壮な決断を経て変化(進化!)していく様を追い、怪獣映画ならではの荒唐無稽さで現実を上書きする。他方指摘されるようにシミュレーション映画のディテール以外の筋は完全に捨ててあるわけだけど、まあそのへんは各自二次創作で補完してくれということなのかなとも思う。

この映画の広告戦略(上に書いた公開前のこの映画に関する僕の印象そのものが、この映画の貫通力を最大限に高めるために企まれたイメージ戦略だったのではないかとささやかれている)ふくめ、「好きにする」ことが本道を切り開くのだと信じ切り、そのために万難を排し、それを体現するような作品が完成したこと、そしてそれが受けいれられているということが素直に素晴らしいことだと思う。