ゲンロンカフェで『さやわか式☆現代文化論#26 今からでも間に合う! 正しい渋谷系入門』を観た

今からでも間に合う! 正しい渋谷系入門 | ゲンロンカフェ

ゲンロン友の会の特典のイベント無料券を使わなきゃなと思っているうちに有効期限が迫ってしまったのでこれに行ってきた。なにが聞けるのかあまり考えずに行ったんだけど(着くのがおそくなったのでばるぼらさんの限定コピー誌は手に入らなかった)、メディアからの印象でなんとなくしかわかっていなかった90年代前半の渋谷で起きていたことをきわめて厳密に主観的でなく語られていて、なるほどゲンロンカフェでおこなわれる意味のあるトークだなという感じだった。

冒頭さやわかさんからあえて直截に問われた「渋谷系とは何ですか?」という問いのばるぼらさんの答えは「洋楽リスナーが聴ける邦楽」というものだった。これは「邦楽を洋楽のレベルにする」とか「邦楽のリスナーに洋楽レベルのものを提供する」といった発信側の発想からなるスローガンではなく、80年代以降のDJカルチャー(とくに知られざる名盤をリヴァイヴァルするレアグルーヴの発想)に育てられ、ジャンルや年代を問わない洋楽の「よさ」を共有する若いリスナーたちが、自分たちと同じようなリスナーたちに向けて音楽を作り始めたというムーブメントであり、それが93〜96年ごろの渋谷において発見されたことを指して「渋谷系」と呼ぶべきだということらしい。一般に誤解されているような「いかにも渋谷系」な曲調やファッションはそうした本来の渋谷系(と呼ばれたムーブメント)の精神とは異なるもので、むしろそうしたスタイルを批評的に転倒させることこそが重要視されており(なのでサウンド的には共通点の少ないサニーデイ・サービスのフォーク路線も「これは渋谷系」とのことだった)、それゆえ中心を欠きムーブメントとしては短命に終わったのだと(ただその後邦楽を席巻した宇多田ヒカルを含め日本の音楽の系譜や方向性に影響を与えているのも確かだとされていた)。

トーク内でさやわかさんも言及されていたけど、ポストモダンにおけるこうした消費態度は他の文化にも共通して見られたもので(実際上のようにまとめるとデータベース消費そのものな感じ)、わりとめんどくさく見られがちな特定の音楽嗜好としてではなく、文化状況やその変化として研究されるべき、みたいな話だった。