堀越英美『女の子は本当にピンクが好きなのか』を読んだ

女の子は本当にピンクが好きなのか (ele-king books)
堀越英美
Pヴァイン (2016-02-26)
売り上げランキング: 6,239

GW帰省で読もうと持っていった本はこれと真魚八重子さんの『映画がなければ生きていけない』だった。このところのこうした同時代の女性ライターによる単著(僕が読んでいるところだと雨宮まみさんやジェーン・スーさんなど…どなたもこうして一絡げにされるのは好まないと思いますが)には輝かしさというか、自分たちの世界のことを自分たち自身で、しかもほかの権威に依拠せずに言葉にしようとする誠実さにあふれいて大変素晴らしいとおもうのだけど、ひるがえって見ると同様の共感を感じる男性のライターにはあまり思い当たらない。強いて言うと林雄司さんとかブルボン小林さんとかなんだけどちょっと違う感じもする(それぞれ別の顔で権威を保持している面もあるし)。

本はといえば期待した通りおもしろくて、ピンクという色が過去にそこまで役割をもたない色だったにもかかわらず、次第にその色とそれに象徴されるステレオタイプが「女性の社会的可能性に対する足枷」として定着する歴史(第1章)やそのステレオタイプに対する反逆運動としての「アンチ・ピンク」の歴史(第2章)は、あまりにも当たり前に存在するように見える価値観を裏返して見せられるようなスリルがある。他方ピンクという色が(とくに女児に対して)事実持つ吸引力や、女児や女児の友達同士がより受け入れやすい要素(ファッションアイテムとか、ストーリー性とか)をうまく使うことで、ファンタジックなプリンセスから知的でクールな女性へとロールモデルの橋渡しをしようとする「女子向けSTEM教育玩具」の最先端事例の紹介もおもしろかった。でもやはりとりわけ響くのは、まるで国民の半分が閉じ込められているような日本の「ピンクの牢獄」について、高畑勲『かぐや姫の物語』に例えながら語られる四章だった。

小学生の頃は誰にも教わることなく図書館で借りた本を見ながらBASICのプログラムを楽しんでいたし、微積分だって解けたのだ。今となっては微積分の意味さえわからない。残業の多い正社員の職は妊娠前に辞し、今は二児の育児をしながらフルタイムの派遣社員として働いている。私はきっと、典型的な日本女性の生き方をしているのだろう。結局三角関数を活用したのは、小学生時代の趣味のプログラミングだけだった。

- 堀越英美『女の子は本当にピンクが好きなのか』 第四章「ピンクカラーの罠 日本お世の社会進出が遅れる理由」

そういえば、著者のデミさんはScratchを使ったプログラミング入門書も準備してるという話を風の噂で聞いていたけど、あれはどうなったのかな?