三宅隆太『スクリプト・ドクターの脚本教室 初級編』を読んだ

スクリプトドクターの脚本教室・初級篇
三宅 隆太
新書館
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素晴らしい本だった。

良質の脚本がそうであるように、自らの殻を破り未来に立ち向かおうとするクライマックスの主人公に誰もが喝采するように、未精算の過去を抱えたまま現在をやり過ごそうとする自分に自分でケリをつけ、そうではない自分に変わるためのプロセスに向き合うべきだということ。そして、人が自分を変えるときに経験するエピソードの連なりや感情の波は、つまるところ人の心を動かす脚本(に限らないだろう)のマスターピースになるのだということ。このつながって循環する2つのモチーフを中心にして、シナリオ教本のようでもあり自己啓発本のようでもありその両方でもあるようなこの本自体が、同じモチーフのサブプロットを幾重も重ね合わせ、読者の感情をおおきく動かすシナリオとして成立している。すごい。実用書にさしこまれる短い実例エピソードがことこごく脚本として完成されててヘタしたら泣けるというのはズルい。ズルいというか普通こんなことできない。プロの脚本家は恐ろしいと思った。