渡邊恵太『融けるデザイン』

融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論
渡邊恵太
ビー・エヌ・エヌ新社 (2015-01-21)
売り上げランキング: 4,510

コンピュータのインターフェイス研究の世界ですごくユニークなスタンスで研究をされている渡邊恵太さんの待望のインターフェイスデザイン理論書。ようやく読めた。

冒頭から宣言されるように、世界は既にすべての情報を飲み込んだ1つのメディアとしてのインターネットと、それに文字通り「触れる」ためのインターフェイスとしてのセンサーを持ったコンピュータとソフトウェアとが「融けた」環境にある。こうと決まった形をもたなくなった環境が「手ごたえ」を持つとき、そこで何が起きているのか。たとえばこの融けた環境を爆発的に広げたといってよいiPhoneのインターフェイスで、ユーザーはなにを経験しているのか。そうしたインターフェイスの身体論を「自己帰属感」というキーワードで解説していく。

アフォーダンスについて紹介、解説する本は世にあまたある。デザインにおいてアフォーダンスの考え方が重要だとする本もたくさんある。しかしたぶんこの本はそうではなくて、 アフォーダンスに代表される生態心理学の世界観において、情報のデザインとはなんであるか を問いなおす本なんだと思う。身体性が重要だからといって「モノ」が重要なわけではない。情報であったとしてもその持続のあり方によって主観的なリアリティが生まれる(ここの議論はインターネット・リアリティ研究会の話にも通じているなとおもった)。そのように発想することで、プロダクトデザインを超え、メタファに堕さない、まったりとしてコクのあるインターフェイスが生まれるのだろう。