赤堀雅秋『葛城事件』を観た

映画『葛城事件』公式サイト


WOWOWで録画してたやつを観た。陰惨な話だと聞いていたけど想像以上につらかったのは自分が男兄弟の長男で子供も男兄弟なのでまったく他人事に思えなかったから。ため息しか出ない。

とはいえ、問題の見て見ぬふりを続ける家族のありようを過剰な演出なしで日常の延長線上のものとして描ききっているのには感服。


山本裕介・今井勝信『IntelliJ IDEAハンズオン──基本操作からプロジェクト管理までマスター』を読んだ

IntelliJ IDEAハンズオン ――基本操作からプロジェクト管理までマスター | Gihyo Digital Publishing … 技術評論社の電子書籍


IntelliJ IDEAの本が出て電子書籍がある、というような話がTwitterで流れてきて、お、そんなのあるのかと思って調べてみたら、たしかにKindleにはあるんだけどhontoでは売ってない。あららと思いきや、あらためて考えたら技術評論社は直販の電子書籍サイト「Gihyo Digital Publishing」を持っていて、ここで買ったほうがpdfに加えてリフロー型のEPUB版もダウンロードできる(Kindle/KOBOはいわゆる固定EPUB(画像)型の電子書籍のみ)のでそっちで買った。まあKindleとかの電子ストアで買ったほうが値引きがあるとかポイントがつくとかはあるんだろうけど、スマートデバイスで読むよりはPCで開いて検索できたほうがいい技術書については書籍データがダウンロードできる直販で買ったほうがよいと思う。

あと、技評のリフローEPUBってすごいよくできてるんだよね。いわゆる横書きの技術書フォーマットはCSSのスタイリングと親和性が高いからというのもあるんだろうけど、ショートカットキーの囲みとかも再現されてて紙の本と比べても遜色ない。もちろん検索もできるし(他方こだわって作られているせいでこのリフローEPUBを他の電子書籍ストアには出せないんだと思う。固定EPUBの本を電子取次で配信せずKindle/KOBOにしか出してないのがなんでかはわからないけど、基本直販にしたいけどKindleは無視できないというとこなのかな)

ちなみに本の中身のほうはほぼ使っている機能の紹介でそれほど役に立つものではなかったけど、条件式のあとに拡張子のようにキーワードを書くと(arg1>arg2.ifのように)構文に展開されるPostfix completionという機能は知らなくてへー!と思った。


電源プラグの位置から考えるIoT/スマートホームデバイス

Amazon Alexaの日本展開が発表されたのもあり、各所で似たような話をしたのでまとめておく。

IoT/スマートホーム系のデバイスの現実解として、電源プラグに寄生するタイプのものがおもしろいなと思っていて、たとえばWiFiルータの電源プラグにはさんで自身でWifiネットワークのインターネット接続を監視し、接続が途切れたら(ルータが機能していないようだったら)接続されているルータの電源を遮断し強制的にリブートすることでネットの接続性を保つ『ResetPlug』みたいなやつ。『eRemote Pro』は「エアコン用の電源タップ」に着目したIoTスマートリモコンハブで、ほとんどの日本国内の住宅ならばほぼまちがいなく各部屋にある「エアコン用の電源タップ」に寄生することで「無理のない設置」と「エアコンの使用電力情報を監視してリモコンでのON/OFFの確実か」と「障害物の少ない高所からの赤外線リモコン制御」という強みを得ている。こういう電源タップの立地から考えたスマートホームデバイスがもっと増えるといいなと思う。「洗面所の化粧台据え付けの電源タップ」とか狙い目だと思うんだけどな。そもそも洗面所って一般的にWifiルータがあるような場所からは離れていて、風呂でタブレット端末を使ったりIoT体重計を使ったりするときのWifi電波強度がストレスの元なので、洗面台のタップに挿しておくとWifiブースターになっていてついでに天気予報が表示されるくらいのデバイスがあったら欲しい。

LED電球をIoTデバイスにする電球ソケット系のデバイス(Hueみたいなやつ)も同系統の発想だと思うけど、スマートスピーカーも電球スピーカー型のならいろんな部屋に無理なく設置できて普及する可能性あるじゃないかな。


Akihiko Taniguchi/Chie Taniguchi『nothing happens』


TRANS BOOKSで買った谷口暁彦さん、タニグチチエさんによる写真集『nothing happens』、物理写真集やポスターも素敵なんだけど、付録2である『nothing happens』アプリ版が予想以上におもしろかったというか、何か別のものの原型のように思えた。

『nothing happens』は、谷口さんの先日まで展示されていた新作『何も起きない』からいくつかのシーンを切り取って写真集にまとめたもので、それを買うとついてくるUSBメモリに納められているアプリ版『nothing happens』はその電子版…といいつつpdfとかではなくて「写真集を再現した3Dモデルデータをリアルタイムレンダリングで読めるアプリケーション(Unity製)」になっている。

そこまでは知っていてなるほどおもしろいなと思って買ったんだけど、実際に起動してみて驚いたのは(実際はよく読むと上のツイートにも書いてあるんだけど)この「写真集を再現した3Dモデルデータ」が配置されているのは、この写真集の題材である『何も起きない』という作品の舞台である「あの部屋(の3Dモデルデータ)」なのであり、つまりこれは、作品の一部を編集した本がその作品の一部であることが、現実として目の前で体験できるアプリケーションなのだった(起動したままにしておくとアプリ内で時間が経過して日が暮れたり昇ったりもする)。何も起きていないかわりに大変なことになっていた。

あと、今回このアプリを体験してみて、「読書環境も含めて提供されるVRによる未来の本」というものが他にもあり得るんじゃないかと感じた。本1冊のために専用のシーンを作り込んだりするのはオーバースペックだろうなとは思いつつ、なんとなく「VR読書」みたいな話には鼻白むものを感じていたなかで今回の体験は新鮮だった。「VR『はてしない物語』」とかあったら読んでみたいよね。

ちなみにアプリ版『nothing happens』は書いてないけどCmd/Ctrl+qで終了だそうです(ESCキーは効かない)。

Trans Booksで買った谷口さんの「nothing happens」

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nothing happens

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仲川麻子『飼育少女』を読んだ

#飼育少女 - ベビモフ|子育てはカラフル!マンガ+よみもの


講談社の女性誌『FRaU』編集部がつくってる育児世代むけのWebマンガマガジン(なんだと僕は思っているけど違うのかもしれない)で連載されている女子高生が生物の先生と水生生物を飼育するマンガ。このサイトがちょっと前まで『Baby!』って名前だったのが『ベビモフ』にリニューアルした記念で11月末まで全部読める。

流麗な絵で古くさい脱力ギャグが特徴というマンガだけど、なんか好き(アフタヌーンぽいのかな)。仲川麻子さんの他の作品はどうなのかなと思って前作『ハケンの麻生さん』も読んだけど、これはハートウォーミングすぎて(これはモーニング連載だからなのかな)ちょっと物足りなかった。

ハケンの麻生さん / 仲川麻子 - モーニング公式サイト - モアイ


TRANS BOOKSに参加した

TRANS BOOKS | 2017年11月4日(土)、5日(日) 11:00 - 18:30 @ TAM コワーキング 神保町


メディアの横断をテーマにしたブックフェアというかポップアップストアというかグループ展というかのイベント『TRANS BOOKS』が11月4日と5日に行われていて、BCCKSも参加していた。実行委員から「BCCKSは本が様々なメディアを横断するサービスとしてテーマに合致すると思う」というオファーをいただいてなるほどと思ったものの、BCCKSはあくまで出版プラットフォームなので「作家」として何かするのも変な話で、BCCKSからはじゃあむしろ『TRANS BOOKS』のドキュメント本をリアルタイムで制作、出版するとかかな? とかアイデアを出していた。ちなみにこの「アートイベントに『アートイベントをリアルタイムにドキュメントした本』という作品で参加する」というのは以前『トランスメディアーレ2014』に参加したときにやってたスタイル(このときのは結果的には松本弦人の驚異的な作業量からなる松本弦人の作品ですが)。


Buch—transmediale』 tmbccks著

いま見てもすごいなこの本

今回はイベント的にライブドキュメントを残すべきものでもないのがわかったので、ディスカッションのすえプラットフォームらしく「BCCKSで出版された本のQRコードを使ったポスターを作り、QRコードリーダーを使った偶然的な本との出会いの場をつくる」という企画になった。さらに最終的には単なるポスターではなく「BCCKSの本のレイアウトに、文字の代わりにBCCKSの本のQRコードが組まれている」というポスターを作ることになり、それを可能にするBCCKS側の実験的機能追加もしつつ形にした。このへんは今後に生かしたい。

というわけでどういうイベントになるのかよくわからないまま当日を迎え、ちょっとだけ会場にもおじゃましてたけど、客としてはものすごくおもしろい「本屋」になっていたと思う。「メディアの横断」や「メディアとしての本を更新する本」に僕が関心があるからというのもある(し、そもそも興味のある作家が参加してたことも大きい)けど、ひさしぶりに「これもこれもこれも欲しい! 全部買いたい!」という気分になった。 いわゆる長机で出展者が売り子をする即売会スタイルじゃなかったのもよかった(それだったら絶対今回みたいにたくさん買う気にならなかったと思う)。単価が高めなのもよかったというか、高くても「本」だとがばがば買ってしまうというあのマジカルなやつが発動してた。運営のみなさまにはぜひとも次回の開催を期待したい。


google sheetsのimage関数

IMAGE - ドキュメント エディタ ヘルプ


google sheet作ってて、こういうのあったら便利なのになと思って調べたらあった、セルの内容をソースとしてロードした画像をセルに表示する関数。表示モード(セル内にfitさせるか、サイズを指定するかなど)も選択できる。Excelでは同様の機能を関数のような簡単な手順ではできなそう。


ルチアーノ・フロリディ『第四の革命 情報圏(インフォスフィア)が世界をつくりかえる』を読んだ

第四の革命


弊社代表石橋の推し哲学者ルチアーノ・フロリディの単著としては初の邦訳(でいいのかな?)。フロリディさんは「有形無形問わずあらゆるものは情報であり、情報の『よさ』を中心とする情報倫理を構築すべき」という非常にラジカルな世界観を提唱する情報哲学者なんだそうだけど(参考:情報/ITアーキテクトのための「使える!フロリディ情報哲学」)『第四の革命』はその情報哲学の入門編ともいえる内容で、ドライブ感ある文体や独特の(センスオブワンダーを感じる)造語が読みやすく訳されていてたいへん楽しめた。

この本のいう「第四の革命」とは、コペルニクス、ダーウィン、フロイトに次ぐ第四の脱人間中心パラダイム(の転換期)として、昨今のITC技術による情報爆発とその自律エージェント化を位置づけるもの。人間環境のデフォルトと化した人工物を「新しい自然」と見なしたり、IoTやスマートエージェント技術の描く未来像に人間中心主義の終わりを見いだすような発想はとりわけ新しいというわけでもないかなと思いながら読んでいたんだけど、人間を情報エージェントととらえたとき、これまで「人間性」を基礎づけてきたシステム(たとえばプライバシー、たとえば政治)がどのような物理的制約のもとで成り立ってきたのか、そしてすでにわれわれが手にしている高度に発展し民主化されたICTが、そうした「人間性」をどのように作り替えているのか、つまり、すでに情報エージェントであるわれわれが、いま「人間性」とは実際には何だと思っているのかをここまで詳細に網羅的に分析していると説得力が違うなと思う。そしてやっぱり数々繰り出されるキャッチーな造語が「第四の革命」感あって最高。inforg(情報有機体)! e-mortal(e-不死)! 情報摩擦! 政治的アポトーシス!

「世界の見方を変える」という意味ではまさしく哲学書なんだろうけど、いわゆる「哲学書」的な語彙は少なく前提知識も不用だし、むしろIT技術書のようなプラクティカルなセンスにあふれている(「社会契約説では人は法的にオプトアウト」みたいなパンチラインがぼんぼん出てくる)のでまあ分厚いけど恐れずにノリでどんどん読んで情報圏インフォスフィアに取り込んで作り替えていくといいと思う。

石橋さんとオーバーキャスト大林さんのフロリディ対談は、あんまり本書の内容に触れてなくて残念だったな。この本の内容にこだわった読書会的なやつ希望。


ドゥニ・ヴィルヌーヴ『ブレードランナー2049』を観た

映画『ブレードランナー2049』 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ


ブレードランナーはなんというか先輩の映画って感じで、LDで何度も見せてもらったなーという思い出はあるけどあんまり個人的な思い入れはなく、どちらかというとヴィルヌーヴ監督の前作『メッセージ』がよかったのでそっちの期待が大きかった。それでいうと僕は映画としては『メッセージ』のほうが好きかなという感じだけど、とりあえずこの映画の話を先輩としなきゃって感じかな。

ブレードランナー的なヴィジョンは僕なんかはアニメやゲームでおもにインストールしているわけだけど、『ブレードランナー2049』は映画として際立つヴィジョンが提示されてたのはよかったと思う。ラブシーンのとこ3Dで観てみたいのでIMAX3Dやってるうちにもう一度観たい。


2017年10月のまとめ

18エントリ。新規開発案件に没頭してたのもあり10月短すぎだろと思ってたけど、まとめてみるとけっこういろんなことしてたな。